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ブラックエデン(仮)  作者: 大便ズざぶ郎
4/6

四話


校長室での用事が済み、僕は先輩と共に学校外に行く事になった。


時刻は17時を回ったところであり、1月下旬と言う事もあり日は落ち始めてきた。


「先輩用事ってどこに向かうんですか?」


「それは小学校だろ。」


「彩木先輩………貧乳のどこが良いんです?」


「お前…もしかして巨乳派か?」


「僕は年上お姉さんの巨乳派ですよ!」


「ふざけんな!年上で巨乳だと!どこが良いんだあのおばさん共が!!俺は純粋で清楚なロリ!ロリこそ至高であり、癒し…全てを浄化する天使だ!」


「………」


「彩木先輩…やっぱりロボコンの「ボ」が「リ」に変わった感じのヤバいやつですよね。」


「お前、遠回しにロリコンって言いやがってややこしいんだよ!」


「彩木先輩を傷つけないための配慮ですよ。」


「馬鹿にしてるだろ?」


「まぁ、貧乳好きのロリコンって僕には理解できないので。」


「黙れ熟女好き。と言うかそんな話している場合じゃないんだよ。」


「そうでしたね、かなり話が脱線してしまいました。それで小学校を覗きに行ってどんなプレイをするつもりなんですか?」


「言い方止めろ!はぁ…いいか、小学校に行くと言ったが妹を迎えに行くためだ。」


「すみません、勘違いしてしまいた。」


「分かれば良いんだよ。」


「でも、僕って行く必要ありませんよね?」


「それが最近小学生を狙うゴミ野郎が妹の学校付近で出没しているらしいんだ。」


「なる程、もし遭遇した時に男が1人よりは2人の方が良いですからね。」


「そうだ、雄馬を囮にし、じゃなくて助けてもらおうと思ってだ。」


「そうですか…でも何で僕なんですか?僕はっきり言って雑魚ですよ。」


「まぁ、確かにあんまり強く無さそうだしどちらかと言ったらモブキャラみたいだしな。」


「酷い…」


「でも雄馬、お前は特別推薦枠だろ?」


「そうですが…」


「特別推薦なんて普通の人間がなれるようなチャチな物じゃない。本当の変人だけだよ…」


「それって馬鹿にしてます?」


「いや、馬鹿にしてないよ。ただ期待しているだけだ、どんなヤバい奴なんてな。」


「馬鹿にしてますよね。」


「おっ、話していたら着いたな。ここが杏奈と霞が在籍している小学校だ。」


「ブラックエデンにも小学校があるんですね。」


「ブラックエデンは高校生がメインにカリキュラムが作られているが、小学生からも受ける事が可能だから。お金の支援もあるからお金がない親にとってはかなり好都合なんだろ。」


「なる程。」


「雄馬は外で待ってろ、俺が霞と杏奈を連れてくる。」


「分かりました。」


そう言うと彩木先輩は学童保育の教室に向かって行った。


「にしても、ここに来てからまともな人と話した事が無いんだけどどうなってるんだ?」


僕は思ってしまった。ブラックエデンに来てから、ロリコンの先輩、男子中学生のファンになる変態校長。ろくな人間に会ったことが無い。


「まぁ、お前も普通な人間か?って聞かれたらノーだろうがよ。」


ふと考え事をしたら声が聞こえた。


ミラである。


「そうかな?僕ってまともな部類だと思うけど。」


「友達がいないからエア友達を作って独り言、そして挙げ句の果てには熟女好きの変態野郎だろ?」


「熟女では無い、お姉さんだよ!」


僕は全力で否定した。だってお姉さんの事を熟女とかありえない!全てを包むように受け入れてくれる女神を熟女なんて!酷すぎる。


「お兄ちゃん、この人怖い…」


「やば…」


「雄馬………人目は気にした方が良いぞ。」


「…………」


マジかよ!!!!!見られてた…彩木先輩と一緒にいる2人の少女もドン引きしてる…本当に軽蔑の目が心に来る…


後そこ!うんうんと頷くな変態!僕はロリコンと肩を並べるつもりは無いですよ!


「お兄ちゃん…友達はしっかりと選んだ方が良いよ。」


「同意…」


「………」


彩木先輩の視線が痛い…凄く怒ってるよこの人、少女が絡むとこの人ヤバい。


今ので確かに最悪の印象を持たれただろう。だがしかし、ここから挽回する秘策があるのです。


「実は友達と話していたんですよ。ほら、これ電話です。」


「お前、友達いないだろ。」


「何でそんな酷いこと言うんですか!」


泣いて良いよね、何でここまで言われなきゃ行けないんだ!あんまりですよ。


「それじゃあ、帰るか。」


先輩はハーレムを築くように両手に少女の手を握り、家へと歩き出す。


まぁ、家族なら普通なのか?


「雄馬、お前夜はうちで食ってけ。」


「え…良いんですか?」


「まぁ、付き合わせたからな。」


「ありがとうございます!」


確かにロリコンだが先輩は良い人だ。


「そ、そう言えば2人の名前を教えて貰ってもいいですか?」


「私は個食杏奈よ。」


「田愛霞…」


「呼び方は杏奈ちゃんと霞ちゃんで良いかな?」


「ダメに決まってる!馴れ馴れしい!「さん」付けにしろ!」


「そう言えば先輩と苗字が違いますが…」


「お兄ちゃんが自分の事は「お兄ちゃん」と呼べと言ってからはそう言うようにしたわ。だって言わないと拗ねるんですもの。」


「面倒くさい…」


「えっ………………」


「へへへぇ、良いだろ。」


「そーですねー」


もうダメだこの人、自分にお兄ちゃんと呼ばせるなんて正気の沙汰じゃ無い。


僕は軽蔑の目を先輩に送っていた。


「霞!杏奈!俺の後ろに来い!!」


先輩はいきなり慌てたように言う。


僕は慌てて先輩を見ると先輩に向かって大きな火の塊が近づいている。


一瞬だった、その火の塊が気付いた時には先輩にあたりそうになっていた。


「魔力開花…」


そう先輩が一言呟くと当たりそうになった火の塊は一瞬にして消え去った。先輩を中心に凄まじい風圧が辺りを吹き飛ばす。


それはもちろん僕にも容赦なく襲うのであった、その衝撃は台風によって生じた風の強さと同じような強さであった。


しかし、霞と杏奈にはその衝撃は当たっていないようだった。


「お前か?」


建物に隠れている人物に対して質問をする。その場所は先程炎の塊が飛んできた場所である。


「ひぃ、ひぃぃぃいいいぃぃぃ!!」


書かれていた人物はいきなり逃げ出した。


その人物はいい歳した中年のおっさんである。身長は160センチほどでハゲかけている頭、ぷっくりとしたお腹に右手に何か筒状の電子機器のような物を持っている。


「逃すわけないだろ。」


先輩の声色は完全に切れている人のそれだった。その言葉と共に全力で走っていたおっさんは足を何かにつまずき転んでしまう。


それと同時に強烈な風がおっさんの向きから吹き上がる。

そしておっさんの向きから何かが割れるような音が鳴り響いた。


「ひぃいいぃぃ!何で割れるんだよ!!」



アーマー、魔道具を利用して魔力を供給し始めたら自動的に使われる保護魔法である。


人間が死ぬような攻撃を受けても一度だけならアーマにより防ぐ事ができる効果を持つ、そのアーマーがたった一撃により壊れてしまったのである。


普通ではあり得ない出来事である。


「雄馬、2人を連れてちょっと俺が見えないところまで離れてくれないか。」


完全にやる気だこの人。その目は怒りに満ちており、妹には見せられない事をやるのだろう。


そりゃそうだ、ロリコン目の前でロリに手を出そうとしたんだ。怒るのも当たり前だろう。


「分かりました。」


僕はそう言って2人を連れて先輩が見えない場所まで移動した。


そして電話に手を伸ばした。


通報しよう。これは本当に洒落にならないなと思ったからである。


「何でお前が練習用魔道具を持っている?これは学生しか手に入れられる事が出来ないはずだろ?」


「い、言えぇないぃぃぃいー!」


転んでいるおっさんに容赦なく先輩は腹を蹴る。


蹴りを受けた衝撃でおっさんの服のポケットから、カチューシャやリップやアイライン、リボンなどが辺りに散らばる。


「ちみちゃ〜ん!あかねちゃ〜ん!!こまちゃ〜ん!!大丈夫かぁ!!!」


おっさんは散らばったカチューシャなどの女の子が使っているような道具を庇う。


「やめてくれ!僕のラブリングッズは何も悪くない!!やるならぼ、僕だけをやれ!」


覚悟ができたのかおっさんは両手を広げ、道具を守り始めた。


「……それは誰の物だった…?」


「ちみちゃん8歳と小柄の可愛い女の子とあかねちゃん10歳、少し気が強い女の子でもうこれが可愛くて…後、」


うっとりとした目をしながらカチューシャなどを舐め回すように自分の頬に擦り付ける。


しかし、途中で話が途切れた。


「お前もう喋るな。」


バンバンチェンジャーを片手に先輩は魔法を使用する。


「お前は俺の天使達に手を挙げたんだ。ただで済むと思うなよ…」


「馬鹿め!!僕がラブリングッズを持ってるのは僕の欲を刺激するためだぁーー!ちみちゃんー!あかねちゃんー!こまちゃんー!僕に力をぉおぉおーー!!」


ラブリングッズと呼ばれるカチューシャやメイク道具などを体にこねるようになすりつけながら、おっさんは魔道具を使用する。


先程とは比べ物にならない程の大きな火の玉が筒状の魔道具の先端に出現する。


「へへへぇ!!いくら魔道士と言えど僕の愛の結晶には勝てないんだよぉ!!!」


「馬鹿が…」


「あぁ?」


「何が愛の結晶だよ。力を使い天使を脅して愛されてるとか勘違いしてる馬鹿が。ロリコンってのはな、決して少女に手を挙げちゃダメなんだよ!!それはロリコンじゃない!ただの変態だ!ロリコンってのは紳士で無ければならない、だが貴様は!禁忌を犯した!!」


「………」


「この俺、幼女騎士の名を持つ王版彩木が貴様に鉄槌を下す。」


「お、お前はあの…幼女騎士だと…」


「風力操作×温度操作…『天使の羽風』」


そう呟くと火の玉は内側から突如破裂し始めた、そして破裂して辺りに火の玉の残骸が飛んでいこうとしていたが、それは内側から発生したブリザードにやって凍ってしまう。


風力操作の魔法を使用して火の玉の中心に強力な竜巻を発生、その風の温度を温度操作の魔法で絶対零度に近しい温度まで低くする。


それが『天使の羽風』、〇〇高校で在籍する高等魔道士の1人、幼女騎士の実力の一部である。


「ば、馬鹿な!!」


「お前には幼女の事を考える事が出来ていない、自分の感情が暴走して幼女に危害まで与えてる!分かるか?同胞よ。初めはこんな事しなかっただろ?もう一度で良い、幼女を守るべき存在にならないか?」


「ぐっふぅん……幼女騎士…僕はぁ!僕はぁー!決してやってはいけない事をしてしまったぁぁあー!!」


「お前は一度頭を冷やせ、そして幼女のために自分が何ができるのか。それを見つけてこい…」


「ありがとう…!ありがとう…幼女騎士さんのおかげで目覚めました!僕はただ幼女を遠くから見守る事が生き甲斐だったんだって!狂っていた僕を助けてくれてありがとうございます!」


「馬鹿が…お前は許されない大罪を犯している。これは決して覆らない事実だ。その罪と見つめ合い自分にできる事をしろ。」


「は…い!」


最後の会話が終わると僕が呼んだ警察官の人におっさんは連れられていく。


「なんかカッコいいこと言ってたけど、結局同じロリコンなんだよな…」


パトカーに乗るおっさんを見送りながら僕は先輩とおっさんを見ていた。



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