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 エイトに指示されながら集めた食料は、ナップザックに入りきる訳もなく、いくつか抱え込む事になった。乾燥したものが大半なので重さは感じないのだが、かさばるので早急になんとかしたいところだ。

 相変わらず薄暗い廊下を歩く。目の前にはエイトと、エイトのマニピュレータと手を繋いだニーナの姿。一見微笑ましいのだが、彼女は裸足のままだ。ニーナのテリトリーだった周辺は問題なかったのかもしれないが、ここから先鋭利なものが落ちているとも限らない。急にロボットが襲ってくる可能性だってある。

 それに、持っていたナイフはサソリをぶっ壊した際に刃が欠けたらしく、使い物にならない状態だった。そうなると、上の階層に行く前にまずは服などが必要になるだろう。

「エイト、この辺に服とか、武器とかそういうの補充できる場所あるか?」

『検索……五百メートルほど先にあります。その先にエレベーターも確認できました』

「じゃ、そこ目指すかね」

 今回の目的地は少し遠いらしい。

 目的地が決まったところで、再び感じる視線のようなもの。振り返っても誰もいない。エレベーター付近で感じた気配はニーナのものだと思っていたのだが、また感じたという事は違うのだろうか。

「いち?」

『どうかしましたか?』

「いや……なんでもない」

 だが、確証がない。

 だからそう言うしかなかった。


 少しだけ不穏な気配を感じながらも、案内通りに道を進む。

 二回ほど角を曲がったところに、ネオンがちかちかと点滅する看板が置いてある扉があった。それもいくつかある。

「ここ?」

『肯定。恐らくこの階層の住民が利用していたようです。更に進めば住居があります』

「なるほどな」

 つまるところ、ここは商店街のようなものらしい。試しにそのうちの一つに入ると、店内には棚が並んでおり、奥にはカウンターがある。そこには、すでにこと切れたロボットが立っていた。

「……復旧できるか?」

『…………不可能です』

 できれば話を聞きたいとエイトに聞いてみるが、暫くの沈黙の後帰って来た返答は無理の一言だった。

「そうか」

『当個体のようにパーツの破損であれば、修復可能ですが、この個体は意識回路が壊れています』

「骨折したか、脳や心臓を破壊されたかの違いってこと?」

『概ね間違いはありません』

 エイトは暫くそのロボットをスキャンすると、こちらにふわふわと戻って来た。

『経年劣化による、意識回路の損傷のようでした

 仕方ないので、必要物資だけいただきましょう』

「そうだな」

 所謂老衰と同じらしい。

 入ったところはちょうど服の販売をしていたので、生きていた端末をタップすると、最下層でお世話になったCC社の販売ページが出た。会社が今現在も生きているのか謎だが、購入できるし商品も届くので一旦考えないでおく。

 ニーナに聞きながら、タップし商品を購入する。と、暫くすると商品がカウンターにあるシューターから服やらが滑り落ちてきた。


「ニーナ、これ着な」

「ん」

 さすがに俺のパーカーと手術着では色々とまずいので、購入した服を渡すと――


「だああああっ!!」


 その場で脱ぎだしたので慌てて止めた。

 人前で脱いではいけないとか、教えるべきなのだろうか……。


 とりあえずニーナが着替え終わるまで後ろを向いておく。暫く衣擦れの音が聞こえ、それがやんだところで振り返ると、着ていた手術着片手にこちらを見る女の子の姿があった。


「あれ、ニーナ

 パーカー着ないのか?」

 黒いノースリーブのワンピースに、しっかりした作りのブーツを履いているのはいいが、購入したパーカーを彼女は着ておらず、俺のものを着ていた。すると、彼女は少しだけ考える素振りをみせる。何か言いにくい事でもあるのだろうかと思っていれば

「こっち、が、いい、です」

 なんて可愛い事を言い始めた。

「あ、あー……うん」

「だめ?」

「ダメではないんだけど」

 明らかサイズが合っていないのだ。ニーナの身長は俺のへそより少し上の位置なので一四〇センチいくかいかないか。そんな体格差だし、なにより元々でかいサイズのパーカーを購入していたのだから、裾も袖も余るに決まっている。着るというより着られているのが正しい。

「とりあえず、袖は捲ろうな」

 転んだ際危険なので、パーカーの袖を折る。我ながら彼女に甘い自覚はあるが、これくらい我儘の範疇に入らない。別にパーカーは新しいものを買えばいいのだから。

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