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24話 猪肉

 拠点に帰った後、俺は採取してきた草木を土魔法を使って出入口の周りに植え直して、カモフラージュした。


 うん、ぱっと見ではわからないから十分だろう。

 

 今更だが西部劇に出てくるような両開きドアを作れば、ポメラ達も押して出入りできたか……

 いや、どういう仕組みになっているかわからないから駄目だな。

 機会があったら大工の人にでも質問してみよう。


 後は【創生】スキルで鳴子代わりの鈴を何個か創り出し、ロープに通した後、その鈴付きのロープを草木に張り巡らせ、出入口から拠点内まで通せば完成だな。

 そうすることにより、草木が揺れれば、その振動がロープに伝わって居室内の鈴が鳴るという寸法だ。

 まあ、風とかでも鳴ってしまうかもしれないから、追々調整は必要だろう。


 鳴子を設置しても、寝た後に出入口が出入り自由なのはやっぱり不安だから、毎回寝る前に薄めの土壁を作って塞いでしまうか。

 ポメラ達が外に出たい時には土壁を壊してもらえばいいだろう。


 それと今まで雨が降っていなかったから気にしていなかったけど、よくよく考えたら雨が降ったら、拠点に浸水してしまうよな。


 うーん……どうしようか……


 とりあえず溝を掘って水が溜まらないようにして、天井や壁は圧縮して固めてみて駄目ならその時に考えようかな。


 色々気になることはあるけど、とりあえず夕食を作ってしまいますか。


 俺は拠点の外に土魔法で窯を創り出し、探索中に回収しておいた乾燥した枝などを入れて、旅の道中に購入しておいた着火用の魔導具で火をつけた。


 さて、メインは猪の魔物であるビッグタスクの肉であるが、どう料理しようか。


 とりあえず焼いて味見してみるか。


 俺は収納バッグからフライパンを取り出し、窯に乗せて熱した後、ひと口サイズに切り分けたビッグタスクの肉をフライパンに入れた。


 ビッグタスクの肉は、脂身が多く、赤身がしっかりしていたため、油は使わなかったが、フライパンに入れた瞬間から脂身が溶けだし、肉の焼ける香ばしい香りが周囲に広がった。


 やばい……すごい美味しそう……


 俺は香ばしい香りに反射的に出てくる唾を飲み込みながら、肉が焼けるのを固唾をのんで見守った。


 生だと食中毒が怖いので、ちゃんと火がとおったのを確認してから、俺は味付けせずに焼いたビッグタスクの肉を口に入れた。


 口に入れた瞬間、濃厚な旨味が口の中に広がり、脂身も甘く、生臭さや癖は感じられなかった。

 味は豚肉に似ており、肉質は若干硬めだが、噛めば噛むほど旨味が広がり、とても美味しかった。

 

 俺がビッグタスクの味に舌鼓を打っていると、いつのまに近付いていたのか、ポメラ達3匹がよだれを垂らしながら俺の方を凝視していた。


「うわっ…自分だけ食べててごめんな。ポメラ達は生で食べるか? それとも焼いた方がいいかな?」


 そう尋ねながら、生肉と焼いた肉を皿代わりの葉っぱの上に置いてやるとポメラ達は両方の臭いを嗅いだ後、生肉と焼いた肉の両方の近くを前足でぽふぽふと叩いた。


「どっちも食べたいってことでいいか?」


「「「ワオン」」」

 

「了解。肉は今からどんどん焼いていくから。先に生肉を食べていてくれ。」


 生肉については、塊のまま出して提供し、焼いた肉についてはポメラ達なら生焼けでも大丈夫だろうと思い、ある程度の分厚さに切った後、大量に焼いて提供した。


 3匹はワフワフいいながら、両方の肉を食べていき、みるみるうちに大量の肉が消費されていった。

 

 この勢いなら、明日か明後日にはビッグタスクの肉は無くなりそうだな……

 

 とりあえず俺も食べるとして、牡丹鍋はそもそも味噌やみりん、出汁などが無いから作れないな。

 けど、そのうち食べたいから余裕がある時に【創生】で創ろうと思う。

 今日は塩胡椒で味付けした焼いた肉、チーズをパンに挟んでハンバーガーもどきにして食べるか。

 

「うん、美味い!」


 チーズは何にでも合うし、ビッグタスクの脂がパンに染み込んでいて美味しいな。


 パンもいいけど、やっぱり米と一緒に食べたくなるな……

 米も【創生】スキルで創るしかないな。


 俺は肉の美味さに感動しつつも、この世界でまだ巡り会えていない主食を【創生】スキルで創ってしまおうと決意した。


 ……


 そして、食事を終えた後、俺は3匹の汚れを簡単に落としてから、3匹を連れて地下の拠点に戻った。


「さて、後は寝るだけだけど、3匹とも寝るのはここで大丈夫か?」


「「「ワフン」」」


 3匹が鳴きながら、頷いたのを確認して俺は適当に地面で寝るように指示し、トイレについては土壁を壊していいから外でするようにお願いした。


 …


 俺は満腹感から今すぐ寝てしまいたい気持ちにかられたが、【デイリーミッション】の報酬を受け取っていないことを思い出し、スマホを取り出し【女神の楽園】を起動した。


 起動した後、【デイリーミッション】を確認したところ、【デイリー召喚を行う】が達成されていないことに気付いた。


 うわぁ……完全に忘れてたわ。危うく損するところだった。


 ポメラ達が【召喚】の演出に驚くかもしれないから、外で行うか。


 俺は外に出て、ささっと【デイリー召喚】を行うと☆2【料理】スキルが当たった。


 おぉー! 地味に嬉しい。


【料理】スキルは包丁の扱い方から調理手順、材料の切り方、味付けなどが上達する実用的なスキルであった。


 このスキルを使えば、色々な美味しい料理が作れそうだ。


 俺はにんまりしつつ、拠点内に戻り、【デイリーミッション】を再確認した。


 よし全て達成になったな。

 そういえば【魔物を1体倒す】も達成したことになってるけど、穴に落としたレッドグリズリーが死んだのかな。

 

 これなら、その日に最初に相対した魔物なら、倒せたかどうか確認できるな。

 わざわざ使うかはわからないが……

 

 俺は報酬を受け取り、ついでに【ミッション】を確認すると


■【脅威度4の魔物を初めて倒す 魔結晶50個】

■【魔物を1体使役する 魔結晶50個】


を達成していたので報酬を受け取った。


 う~ん、現在の魔結晶は830個か……

 色々なスキルが欲しいから【召喚】したいけど、徐々に魔結晶の貯まるのが遅くなってきたな。


 魔境の開拓をしつつも、達成できそうなミッションは積極的に達成していく方針にするかな……


 ……そんなことを考えつつ、俺はポメラ達をもふもふしつつ眠りにつくのであった。

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