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1話【女神の楽園】

 目を覚ますと、そこは広大な草原であった。


 空は澄み渡った青空で、そよ風が心地よく感じられた。


 体を起こし周囲を見渡すと、見える範囲は草原であった。

 所々に見たこともない不思議な草や木が生えており、謎の動物の鳴き声が聞こえたりした。


「ここは死後の世界なのか」


 俺は独り言を呟きながらも、夢や幻ではありえないリアルな景色や五感から、現実であると感じられた。


 俺が意識を失う直前、「私の世界でも100連できるようにしておきましょう」と女性の声が聞こえた気がするから、ここが女性の言った世界なのだろうか。


 しかし、この世界でも100連できるようにしてくれるという言葉がすごい気になるな…

 いつできるようになるのかはわからないが、異世界ならではのとんでも仕様であることを期待したい。


「私の世界」と言っていたから、聞こえた声の女性はこの世界の神様だったのだろうか。


 人助けをしたことが理由になるのかわからないが、死ぬ寸前の俺をこの世界に転移させてくれたおかげで俺はこうして生きている。

 まさに命の恩人だ。


 助けてくれてありがとうございました。


 俺は神様かどうかもわからないが女性に感謝しながら、現在の状況を確認することとした。


 体については、トラックに轢かれたにも関わらず怪我はなく、むしろ以前よりも調子が良い気がする。


 もしかするとこれは異世界に飛ばされると若返ったりするご都合主義的なものか。


 自分の見た目がどうなっているか気になるが、今は確認する方法がないことから、見た目のことは後回しにし、次に服装を確認した。


 服もぼろぼろになっていてもおかしくはないはずなのだが、そうなっておらず、仕事帰りのスーツ姿のままであった。


「何か使えるものなかったかな」


 俺は独り言を呟きながら、服やズボンのポケットを探ると、ズボンのポケットにスマホが入っているのに気付いた。


 そういえば、100連もできるようにしてくれるって言っていたよな。何かアプリが増えているかもしれないから確認するか。


 俺は女性の言葉を思い出し、スマホを起動させ確認してみたところ、俺がインストールしていたアプリが全て消えていた。


「うおぉっっ マジか!! ふざけんなよ!!」


 俺はこれまでやり込んだゲームのプレイ時間やレアアイテム等のことを考えると絶叫してしまった。


 憂鬱な気分に落ち入りながらも、もう一度スマホを確認するとインストールした覚えのない【女神の楽園】というアプリがインストールされているのに気が付いた。


 とりあえず、どんなアプリなのか気になったのでアプリを立ち上げてみると、勇者っぽい人物やその仲間らしき人達が剣や魔法などでドラゴン等の魔物と戦っているありきたりのオープニングムービーが流れ始めた。


 これは何かのゲームなのか?ロールプレイングゲームっぽいから確かに100連とかできそうだな。


 オープニングをぼんやりと眺めながら、色々なことに考えを巡らせていると、いつのまにかオープニングが終わってタイトル画面になったのか、異世界っぽい風景の中にでかでかと【女神の楽園】と表示されていた。


 画面下には【Tap to Start】という文字が表示されていたことから、俺はそれに従い、画面を指でタップするとそこには5つの大きなアイコンといくつかの小さなアイコンが表示された。


 これはホーム画面かな。


 そんなことを思いながら。大きなアイコンを確認すると【ミッション】、【スキル編成】、【図鑑】、【アイテム】、【召喚】と書かれおり、俺はその中のひとつのアイコンに目が釘付けになってしまった。


 それはもちろん【召喚】であり、スマホゲームで【召喚】といえば、俺が楽しみにしていたランダム型アイテム提供方式サービスであることは間違いない。


 おぉー本当にこの世界でも100連できそうだな。


 俺は期待を胸に早速【召喚】をタップしてみた。




 


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