15話 別れ
自室に戻った俺はまず各種ミッションの達成状況を確認することにした。
今日はモーケルさん達の3人がいてスマホを弄れなかったから、ミッションの達成状況が気になる。
色々達成してれば、また召喚ができるから楽しみだ。
俺は早速、【ミッション】を確認すると、【デイリー】は
■【ログインする 報酬:魔結晶10個】
■【魔物を1体倒す 報酬:魔結晶10個】
■【デイリー召喚を行う 報酬:魔結晶10個】
■【スキルを5回使用する 報酬:魔結晶10個】
■【デイリーミッションを全てクリア 報酬:魔結晶10個】
と全て達成していた。
無事にデイリーミッションは達成しているな。
達成するか、しないかで地味に魔結晶の貯まる数が変わるから、毎日達成したい。
魔物と遭遇できるかがネックだから、せっかく村に来たけど、明日には村を出てあんまり強くなさそうな魔物が多い場所に向かうか。
魔物が出る場所については、明日の朝、モーケルさん達に聞いてみよう。
俺は報酬を受け取った後、【デイリー】を閉じ、次に【メイン】を確認した。
■【魔物を1体倒す 報酬:魔結晶50個】
■【スキルを10回使用する 報酬:魔結晶50個】
■【☆1アイテムを初めて入手 報酬:魔結晶50個】
■【異世界生活2日目記念 魔結晶50個】
■【初めての村へ到達 魔結晶50個】
■【フレンドを1人つくる 魔結晶50個】
■【フレンドを2人つくる 魔結晶50個】
■【フレンドを3人つくる 魔結晶50個】
□【薬草を10個採取する 報酬:魔結晶50個】
…
…
… etc
おぉー! 結構達成してるな。これなら明日にはまた【召喚】できそうだ。
フレンドはきっとモーケルさん達3人のことだと思うけど、フレンドかと言われると微妙な気がする。
まあ、魔結晶がもらえるのはありがたいから気にしないようにしよう。
俺は報酬を受け取り、【メイン】を閉じた。
そして、俺は寝る前に【創生】スキルで回復ポーションとガラスの小さな置物を創ることにした。
服を創るか迷ったが、ズボンや靴まで創るとなると明らかに魔力が足りないこと、今まで着ていなかったのに明日着ていたらどこで買ったか聞かれても面倒なので服等は明日以降コツコツ創ろうと思った。
まずは回復ポーションだな。
エミリーにあげるために一度創っているので、同じように魔力を込めながら、薬草の効能や作業工程を意識しつつ【創生】スキルを使った。
光を放出しながら、「ポンッ」という音がして床の上にエミリーにあげたのと同じ、丸底フラスコに入った緑色の液体が出来あがっていた。
ちゃんと出来てるとは思うけど、売るつもりなら効果を試さないと駄目だよな…
気が進まないが、ナイフで指を少し切って傷を付け、そこに緑色の液体を垂らすと、あっという間に傷が塞がった。
うん。大丈夫だな。
俺は出来に満足しつつ、魔力にまだ余裕があったので、続いてガラスの小さな置物を創ることにした。
創るとしたら何だろうな? とりあえずジャイアントラビットでも創ってみるか。
でも小物だと只のウサギだよな。
気にしてもしょうがないから、試しに創ってみよう。
ガラスに使える良質な砂と石灰、あとは何が必要かはお任せ。温度もわからないから、全てを溶かす炎をイメージ、あとはウサギをイメージしながら魔力を込めた。
すると光が放出され、「ポンッ」と床に3センチ四方の透明なガラスのウサギの置物が出来あがった。
出来あがったガラスの置物は濁りや傷等はなく、透き通っており、デザインとしては、デフォルメされた姿のウサギが二つ足で立っている様子が再現されていた
おぉー! 適当だったのに思ったとおりにできた。可愛いらしく出来たから女性受けはするだろう。
俺は出来あがったウサギの小物を持ち上げ、色々な角度から眺めてみたが、自画自賛ながら中々の出来であった。
よし、後はこれが売れるかどうかモーケルさんに聞いてみよう。エミリーの反応も気になるし、ついでに後1個分なら魔力が足りそうだから創っておこう。
俺は同じようにウサギの置物を創りだした後、魔力を消費したことによる倦怠感や今日1日の疲れからベッドに横になるとすぐに寝てしまった。
…
翌朝、目を覚ました後、モーケル達と一緒に朝食をとり、その際にモーケルさんに回復ポーションについて話をしてみると効果が気になっていたのか通常の回復ポーションより高めの1500Kで購入してくれることになったが、ガラス製のウサギの置物については、透明度が高すぎる上に、ガラスを使った置物を取り扱ったことがないらしく値段がつけられないと言われてしまった。
「ふわ~…綺麗で可愛い…」
エミリーがそんなことを呟いていたので、エミリーとモーケルさんに1個づつプレゼントをすることにした。
二人には最初は高価な物を受け取れないと言われたが、特殊な方法で簡単に作れることを説明し、色々教えてもらったことや宿代のお礼ということで受け取ってもらった。
そして、食事を終えた後、3人は野菜を仕入れた後、町へ戻るということだったので、一足先に村を出発することにした。
「モーケルさん、今回は馬車で村まで連れてきてもらっただけではなく、宿代まで出していただいてありがとうございました」
「いえいえ、こちらこそ危ないところを助けていただきましたし、こんな高そうな物までいただいてしまいましたので気にしないで下さい。もしグロシアの町まで来ることがありましたら、商品を安くさせていただきますので、ぜひ私のお店にいらしてください」
「はい。その時はぜひ寄らせていただきます。トムとエミリーも色々教えてくれてありがとう。俺もとりあえずは冒険者として活動しようと思うからまたどこかで会ったらよろしく」
「あぁ、こちらこそ今回は助かった。エミリーの傷も治してくれてありがとな」
「アタル、ポーションとウサギの置物ありがとね。もしグロシアの町に来たら冒険者ギルドに来たことを伝えて。そうすれば私たちに来たことが伝わるようにしておくから」
「うん、わかった。それじゃあ、みんなお元気で」
俺は別れを惜しみつつ、村を出発するのであった。




