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14話 村の散策

 村の中を適当にぶらぶらしつつ、村の様子を眺めていると、住民の住居である平屋には採光や換気用の木製の突き出し窓はあるものの窓ガラスは見当たらなかった。


 この世界ではガラスは高価なのか?


 もしそうだとしたら、【創生】スキルなら創れるだろうから、後でモーケルさんに聞いてみよう。

 売れるようなら、ガラスのコップのような日用品からや鳥や猫の置き物等の小物等、色々創ってみるか。

 細かいことは知らないが、確かガラスは何らかの砂とか石灰を高温で加熱すればできた気がするから、ある程度イメージすれば魔力も温存できるだろう。


 そんなことを考えながら歩いていると、チラチラと住民たちからの視線を感じた。


 うーん…やっぱりスーツ姿や黒髪黒目が珍しいのかな。


 住民の多くは、金髪や茶髪が多く、時折赤髪の人もいる。顔つきは彫りが深く、鼻も高い等、イケメン外国人って感じの人が多いので日本人の顔つきも珍しいのだろう。


 髪や目の色とかはしょうがないけど、服装はやっぱり早いうちに替えたいな…

 金はないけど、服屋があるか探してみるか。


 …


 探し回った結果、服屋はなかったが、服は古着が雑貨屋で数着だけ売っていた。

 しかし、俺は今更ながらわざわざ買う必要がないことに気が付いてしまった…


…なければ【創生】スキルで創ればいい。


 なぜ、そんなことにも気が付かなかったのか…


 俺は無駄に時間を消費してしまったことを後悔したが、色々と村の様子を見て回れたから有意義な時間だったと思うことにした。


 実際、服屋を探している間に住民から、見たことある野菜については日本と名前が変わらなかったことやお風呂の習慣がないこと、トイレは汲み取り式便所だが穴の中にいるスライムがいるから汲み取りは不要なこと等、為になる話からどうでもいい話まで色々と聞くことができた。


 時代的には中世っぽい感じかな。


 村の雰囲気や住民の話からこの国の発展具合については、その位に感じられた。

 しかし、魔法があるからか独自の発展を遂げており、魔導具と呼ばれる魔石が利用されている道具には仕組みがわからない便利グッズがたくさんあるらしい。


 村の散策やそういった話を住民から聞いているうちに宿を出てから1時間経ちそうだったので宿に戻ることにした。


 宿に戻ると、3人はまだ戻ってきていなかったので、戻ってくるまでの間、自室でゆっくりすることにした。



「アタル、戻ってる?」


 少しした後、ドアをノックされ、ドアの外からエミリーに声を掛けられた。


「戻ってるよ。もしかしてこれから食事?」


「うん。だから呼びにきたんだ。モーケルさんと兄は食堂で待ってるから、準備ができたら来てね」


 その後、エミリーの足音が遠ざかっていったことから、身だしなみを簡単に整えつつ、俺も食堂に向かった。


 1階にある食堂に行くと、村人たちが食事やお酒を飲みながら談笑しており、賑やかな雰囲気がみられた。

 

「アタル、こっちだよ」


 俺が食堂内の様子を眺めていると、エミリーに呼ばれたのでそちらを向くと、3人が四人掛けのテーブル席に座っていたので、自分も空いている席に着席した。


「待たせてしまってすみません」


「ほとんど待っていないから大丈夫ですよ。食事はまもなく持ってきてくれるみたいです。それより村の散策はいかがでしたか」


「私が住んでいたところでは毎日のようにお風呂に入ったりしてましたし、トイレにスライムを利用していなかったので風習の違いに驚きました」


村を散策した感想やモーケルさん達の商品の荷下ろしのこと等について会話を楽しんでいると


「おまちどおさま! 今夜はうちの村自慢の野菜とジャイアントラビットの肉が入ったシチューだよ。黒パンは固いからシチューによく浸けてから食べな」


 そう言って。宿屋の女性がテーブルに料理を並べていった。


 料理はぱっと見、ホワイトシチューで大きめに切られた色とりどりの野菜が見栄えを良くしており、美味しそうであった。


 早速、食事をいただくとシチューはまろやかな口当たり、野菜やジャイアントラビットの肉の旨味がコクと濃厚さを引き出していてとても美味しかった。

 ジャイアントラビットの肉も処理が上手なのか、特に臭みなどの癖は感じずに鶏肉のような味や感触であった。


 初めての異世界料理に舌鼓を打ちつつ、モーケルさんに聞こうと思っていたガラスについて聞いてみると、曇りがない品質の良いガラスは高級だが、曇りが多い品質が悪いガラスで有れば普通の町なんかでも使われているらしい。

 俺が創ろうと思っていたコップや小物なら売れそうか聞いてみたところ、質が良ければ高値で売れるとのことだったので、寝る前に創ってみようと思った。

 小物の話をしているときにエミリーが話に食いついてきたので、どの世界でも女子は可愛いものや小物が好きなのだろう。


 そんな楽しい食事の時間を終え、俺は自室に戻るのであった。

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