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13話 シフル村

 シフル村。


 人口200人程の小さな村。

 村の周囲は高さ1メートル程の木の柵で囲まれており、柵の外側には耕された畑がいくつも見られた。

 畑には見たこともある野菜から見たこともない野菜まで、色とりどりの瑞々しい野菜がたくさん実っている。

 村の西側には水が綺麗な小川が流れており、そこから村や畑に水を引いているため、この村で採れる野菜は美味しいらしい。

 また、この村周辺の魔物はジャイアントラビット等の驚異度1の魔物しか出ない上に、村や畑周辺には魔物除けの対策が為されているらしく、村人も安心して農作業ができるとのこと。

 

 これから向かう村について、モーケルさんからそんな説明を受けた。


 遂に異世界に来て初めての村か。

 ここまで来るのに馬車で3時間程かかり、あと数時間もすれば日が落ちるだろう。

 俺がモーケルさん達と出会った場所はちょうど村と村の中間付近であったとのこと。

 徒歩だとどのくらい時間が掛かったかわからないし、色々と話を聞かせてもらえたので本当に感謝したい。

 モーケルさん達も今日はこの村で宿泊するらしい。今日中に商品の荷下ろしを終え、明日の朝一番に野菜等の仕入れを行った後、来た道を戻って、何泊かしながらいくつかの村を経由し、モーケルさんが店舗を構えているというグロシアという町に戻るらしい。

 トムとエミリーもその町を拠点としているそうで、その町に戻るまで護衛するのが今回の仕事だということであった。

 モーケルさんからは「グロシアまでなら乗せて行けますよ」と言ってもらえたが、スキルを使ったり、ミッションを達成したりするためには一人の方が都合が良いので断った。

 断ったことで3人は残念がってくれたので、そのうち会いに行く約束をした。

 今日は手助けしたお礼ということで宿の宿泊費と食費を出してくれるそうだ。

 まだお金を入手していないので、お言葉に甘えさせてもらった。

 食事については、畑になっていた野菜も気になるし、この世界の料理を食べたことがないから楽しみだ。

 あとは服もスーツ姿だと動きづらいし、見たこともない格好だということで目立つだろうから、トム達みたいな冒険者っぽい服か、いかにも一般人っていう服が欲しいな。

 モーケルさんが俺が創った回復ポーションに興味を持っていたから、寝る前に【創生】スキルで創って明日買い取ってもらえるか聞いてみよう。


 そんなことを考えているうちに村の目の前までたどり着いた。

 平和な村だからか、木でできた門は開放されており、門の脇には門番と思われる男性が椅子に座って眠りこけていた。


 こんなんで大丈夫なのか?


 俺は不安に思ったが、それだけ平和な村なんだろうと気にしないことにした。


 モーケルさんがそんな門番の男性に声を掛けて起こすと、男性はびっくりしたのか椅子から転げ落ちてしまった。


「ようこそ、シフル村へ!」


 男性は転げ落ちたことがなかったことのように平然と立ち上がり、モーケルさんにそう声を掛けていた。


「お久しぶりです。今日は村長さんに頼まれていた商品をお持ちしましたので、村長さんに伝えてきてもらってもよろしいでしょうか」


「はい、わかりました!」


 そう言って、男性は駆け足で村の中へ入って行ってしまった。


「なんかすごい人ですね…この後はどうするんですか?」


 身元の確認や荷物の検査なんかがあると思っていたのだが、門番がいなくなってしまったのでここで待っていなきゃいけないのか確認すると


「村の中に入って宿をとってしまいましょう。いつものことなので、村長さんが宿に顔を出しに来てくれるはずです。他の村や町では所持品検査や身元に確認をされるかもしれないので注意してください。町によっては住民以外だと入るのにお金が掛かるところもありますよ」


等と教えてもらった。


 そりゃあ、普通はそうだよな。


 そんなことを思いつつ、俺たちは村に入ったのであった。


 村に入ると、木造の平屋がいくつも建ち並んでおり、畑仕事の帰りとみられる鍬やスコップを持った大人や遊んでいる子どもの姿が見られた。  

 服装はやはり麻っぽいシャツにズボンといった格好が多く、自分の格好が浮いているのに居心地が悪くなる。

 俺たちはまず、この村で唯一の宿屋に向かった。


 宿屋は村で唯一の木造二階建ての建物でわかりやすく、食堂も兼ねているらしい。ちなみに村に1軒しかないため屋号は無いらしい。


「いらっしゃい。モーケルさんじゃないか。久しぶりだね。今日は泊まってくれるのかい」


 建物の中に入ると、宿屋の人と思われる年齢40歳位の割腹がいい快活な女性がおり、モーケルさんに声を掛けてきた。


「はい、そうです。一人部屋を2部屋、二人部屋を1部屋用意できますか?」


「空いてるよ。夕食と朝食付で一人部屋が1部屋3000K、二人部屋が5000Kだから11000Kね。食事はいつでも出せるからお腹が空いたら食堂に来ておくれ。これが部屋の鍵で、体を拭きたいときは村の中にある井戸の水を使っておくれ」


 そう説明された後、鍵を渡され、部屋に案内された。

 部屋分けは俺とモーケルさんが一人部屋、トムとエミリーが二人部屋であった。

 部屋はベッドが1つ置かれているだけで狭かったが、掃除はきちんとされており、シーツも綺麗に洗濯されている様子であった。


 食事については、モーケルさん達は村長が宿に来たら商品の荷下ろしをするとのことで、先に食べていても良いと言われたが、1時間もあれば戻ってくるとのことだったので、3人が戻ってきたらみんなで食事することにした。


 その後、3人は宿に来た村長と荷下ろしに向かったので、俺は村の散策を行うことにした。

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