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百三話 オーバードーズ

* * * *



 ────割れる。砕ける。血飛沫が、舞う。


 お前は未来でも見えてるのかと喚きたくなる程に、ロンの力量というものは理不尽の塊であった。

 魔法を発動しても、発動をしても防がれる。

 それが、効力を僅かでも発揮した後ならばまだ理解が出来た。

 しかし、繰り出した攻撃のその殆どが、どこに展開するのかも一瞬で突き止められ、本来魔法では破壊不可能な〝古代魔法(ロストマジック)〟を発動前に無力化してくるのだから最早、手に負えない。


 ただ、元々戦闘を得意としている人間ではなく、寧ろ裏方に徹する後方支援に適したグランだからこそ、そのタネに気付けた。

 ロンは決して未来視をしている訳ではなく、この空間に広がる紫の靄。

 その揺らめきを用いて判断している。


 僅かな空気の変化。振動。違和感。


 それらを使う事で、タイムラグなしで魔法の出どころを突き止めて効力を発揮する前に無力化しているのだ。

 恐らくは、この空間そのものが『夢』魔法によるものだろう。


 ────……嗚呼、本当に。


「やってらんねえな……! くそったれが」


 ジリ貧だ。


 表情を歪めるグランの脳内は、その言葉で埋め尽くされている。


 そもそも、有用であった筈の〝古代魔法(ロストマジック)〟が廃れた理由は、その難度と適性を持つ人間の少なさが原因ではあったが、それだけではない。

 単純に、それだけの効果を見込める代償として、通常の魔法と比べて非常に燃費が悪かった。故に、こうして使い手はひと握りとなってしまっている。



 だからこそ、グランは決断を迫られていた。



 千日手に陥ったこの状況。

 一応は拮抗した状況を作れているが、グランの魔力残量は既にあまり余裕はなく、対してロンは殆ど魔力を消費していない。


 時間稼ぎ目的だったのだから、本来はこれで問題ないのだ。

 どうにか最後の最後まで時間稼ぎをすれば問題はなかった。

 メアと共に恐らくここに駆け付けているであろう人間が、『カルラ・アンナベル(大陸十強)』ならば、何も問題はなかった。

 しかし、現実は違う。


 万全の状態。

 尚且つ、既に夢魔法を展開しているロンに優位な状況で彼を打倒できる人間は、果たして世界に幾人存在するだろうか。


 少なくとも、『大陸十強』レベルに肉薄している人物でなければ土台無理な話だろう。


 メイヤードにいる人間に限るならば、きっとカルラしかいない筈だ。

 だが、ダンジョンの中にカルラはいない。

 向かっているのは別の人間。

 ならば、この状態のまま託せばどうなるかなぞ未来は透けて見えている。


 このまま時間稼ぎに徹するか。

 はたまた、『賭け』に出るか。


 眉間に皺を刻みながら、グランは懐に手を忍ばせた。その時だった。


「実に、イラつくものだねえ」


 息一つ乱していないロンがぽつりと呟く。


キミ(、、)を見ていると、昔の自分を思い出す。まるで昔の自分の映し鏡でも見させられているかのようだよ」


 忙しなく攻撃の応酬を繰り広げていた事もあり、若干解けた時期はずれのマフラーを巻き直しながら、ロンは苛立ちめいた様子で言葉を続けた。


「特に、自分の都合じゃなく、誰かの為に戦おうとするその姿にどうしようもない苛立ちを覚える────その先には、地獄しかないと言うのに」


 かつて国を守る騎士であったロン・ウェイゼンの名声は未だに残っている。

 以前の彼が、どれだけの騎士であったのか。

 どれほど慕われていたのか。

 二十年以上経過した今でも、その名声が色褪せていない事実が全てを物語っている。


 少なくとも、ロンが誰かの為に戦う騎士であった事は疑いようもない。


「キミは先程、ワタシに娘が本当にこんな事を望んでいるのかと問うたが……その問いに改めて馬鹿正直に答えてやるとすれば、答えはノーだ。恐らく。いや、間違いなく、娘はこんな事は望んでいまいよ。だが、それがどうした(、、、、、、、)


 何もかもを知った上で。

 自覚した上で行っているのだと告げるロンを前に、グランは感情を隠しきれなかった。

 下唇を強く噛み、どうにか冷静さを保たせる。これが、相手の策略とも限らないから。

 だが、ロンが何かを仕掛けて来る様子は不思議となかった。


「父としての誇りも、何もかも。娘を死なせてしまったあの時に全て無くなった。顔向け出来ないとも。結果的に、娘に自刃させてしまったワタシが、顔向け出来る訳がないだろう」


 だから、どれだけの汚濁を被る事になろうと、今更でしかないとロンは言う。


「そんなワタシがこの罪を贖えるとすれば、あの出来事をなかった事にする他あるまい。娘の死を、なかった事にする他あるまい」


 その為だけに、今という時を生きてきた。

 その為だけに、テオドールの手を取り、闇ギルドという場所に身を寄せた。


 恨みも買った。殺しもした。

 偏に、その贖いを成就させるが為に。


「仮にワタシの立場だったとして、キミは、そう思わないかね」


 用意が出来たと言わんばかりに、影の刃が四方に展開され窮地に立たされる中、グランはそんな事を思う。

 見え透いた引き延ばしの時間は終わりだとでも言いたかったのだろう。


「……さあ。どうだろうな。悪いが、生憎おれの頭ん中には記憶が殆どなくてね」


 恍ける。

 本当は、微かな記憶がある。

 小さな感慨がある。


 顔も、名前も、もう何もかもが靄がかって真面に思い出せないが、それでも確かに己にもそう思えるだけの大切な存在が────沢山いた事は自分の中の奥深くでちゃんと覚えている。


 だから全く共感出来ない訳ではない。

 ただ、グランは。


「でもおれは、仮にあんたの立場に立っていたとしても、その道だけは選ばねえと思うな」

「…………」

「死は悲しいもんだ。ああ、二度と会えなくなる。それは、悲しいもんだ。泣きたくなる。後を追いたくなる。でも、だとしても、死んだそいつの覚悟や死を『嘘』に変えるのは違うだろうよ」


 記憶がない筈なのに、珍しく饒舌にグランの口はぺらぺらと回る。


「死に報いる方法は、きっとそんなんじゃねえ。もっと、尊いもんだ。誰かの生を犠牲にして生み出された二度目の生の押し付けなんかじゃねえ。……少なくともおれは、そいつの分まで、胸張って生きれる生き方をする事だと思う。どれだけクソで、消したい過去だらけだろうとな。まぁ所詮、綺麗事である事は否定しないがな」


 グランは知り得ない事だが、その言葉は、レッドローグにてアダムの前で誓いをこぼしたリクの血を吐くような叫びに、どこか似ていた。


 死んだからには、理由があるのだろう。

 誰かを庇って死んだ奴。

 理不尽な不幸に見舞われて死んだ奴。

 誰かの為に、命を捨てた奴。


 世界には様々な人間がいる筈だ。

 でも彼らは、どんなに悔いだらけでもたった一度の人生を泣いて、後悔して、足掻いて生きてきた。

 そしてたった一回の人生だからこそ、身を切られるような思いでその選択を掴み取ってきた筈だ。

 何物にも代えられない『覚悟』を以て、生き抜いた筈だ。そんな奴らが、多くの人間の犠牲の上で成り立つ仮初の二度目の生を与えられて────果たして喜ぶのだろうか。

 その為に、更なる犠牲を招く結果に見舞われるとして、果たして喜ぶのだろうか。


「……綺麗事だな。キミも、あいつも。虫酸が走るような綺麗事をよくもまあ宣うものだ。……そして、それが正しいと信じて疑っていないその顔も、癪に障るね」


 そう、これは綺麗事。

 大事な人間との記憶一つ思い出せないグランだからこそ口に出来る綺麗事。


 自覚があるから、グランは自嘲めいた笑みを自分の表情に軽く刻んだ。


「でもおれは、それが正しいと思ってる。そもそも、じゃなきゃこうしてお前と相対してないだろうよ。それにおれは、子供の頼み事には弱いんだよ」


 ────お父さんを、止めて(助けて)くれませんか。


 研究者達に取り囲まれ、利用され、得体の知れない実験台にされ掛けていた少女の言葉。

 何故、そこまで事情を理解しているのか。

 どうして、グランが闇ギルド側の人間じゃないと思ったのか。


 疑問符が浮かんだが、グランはその言葉に拒絶で応える事はしなかった。

 何故なら彼は、子供の頼みには弱いから。

 恐らく、記憶を失う前にそうなるに至るだけの出来事に見舞われていたのだろう。


「タソガレからの頼み事でもあるんだ。だから、止められないにせよ、せめて力を削ぐくらいしとかねえとな」


 忍ばせていた手を引き抜き、そのまま口元へと持っていく。

 次の瞬間────ガリ、と音を立てて何かを飲み込んだ。



 ────〝過剰摂取(オーバードーズ)〟────。



 グランは本来、戦闘に特化した人間ではない。寧ろ、研究者側の人間。

 だからその考えに至った。


 足りないならば、補ってしまえばいい。

 魔力が足りないならば、増やしてしまえばいい。身体の負担は計り知れないが、それでも限定的に魔力の限界値を、薬で取り払ってしまう。


 それが、〝過剰摂取(オーバードーズ)〟。


「……ちょいと負担がでけえが、そうも言ってられんだろ」


 何処か呆れながら。

 しかしそんな様子も一瞬。


 眦を決してグランは言葉を紡ぐ。

 意識は己の足下へ。


「────〝飛翔しろ(タラリア)〟────!!」


 視覚化された呪詛のように、文字列がグランの脚に絡みつく。

 転瞬、その場からグランの姿が掻き消えた。


 移動した先は、ロンの正面。

 そして再び、グランは懐に手を忍ばせる。


 ────もう一度〝過剰摂取(オーバードーズ)〟だろうか。


 ロンの思考に割り込むその可能性こそが、あえてわざわざグランが見せ付けるように披露してみせた一番の理由。


「────っ」


 懐から取り出したのは小瓶。

 器用に蓋を開けながら、毒々しい色に染まる中身をグランはぶち撒け、飛び退いていた。


「…………流石に、簡単には決まっちゃくれねえか」


 魔法の力量は、ロンの方が圧倒的に上。

 発動兆候を見せるだけで防がれてしまう。

 

 多少の魔力量を上げたところで、時間稼ぎが少しだけ長く出来るようになる。

 それが関の山だ。


 だからこそ、油断を誘い、魔法以外のものでどうにかしようとしていたグランだったのだが、その不意打ちでさえも躱された事実に奥歯を強く噛み締めた。


「────毒、か」


 ぶちまけられた小瓶の中身を浴びた場所は、容赦なく溶け始めていた。

 〝毒王〟────タソガレ。


 タソガレの下で過ごしていたグランだからこそ、毒の心得や、毒の常備もしていた。


 そして勿論のこと、


「ああ。そうだ。それは正真正銘、タソガレの毒だ。出来れば決まってくれると嬉しかったんだがな」


 見事に躱された。

 直接浴びてくれれば文句はなかった。

 けれど、ロンは見事に躱してくれた。


 最低限だが、グランの予想通りに。


「正直、この環境(、、、、)で戦うのはあんまり好きじゃないからよ」


 じゅわり、と未だに音を立てて煙を上げながら溶け続けるソコへ、グランは意味深な言葉と共に声をやる。


 ロンの頭の中には妙な引っ掛かりが。


 仮にも『大陸十強』。

 〝毒王〟とまで呼ばれた人間が作り上げた毒が、こんなに生易しい訳がない。

 グランが嘘を吐いている可能性もあるが、そうでなかった場合────。


「さぁて、ようこそ────」


 ロンは危機を察知した己の本能に従い、展開していた影の刃を殺到させる。

 加えて、グランがぶち撒けた正体不明の毒をどうにかしようとする。


 だが、殺到させた筈の刃はロンの意思を無視し、的外れな方角へと飛来してゆく。

 その結果に違和感を抱く最中、喜色に染まったグランの声がやって来た。


「────歪みの世界へ」


 ぐにゃり、とロンの世界が歪んだ。


 この紫の靄に包まれた場所全てが、『夢』によるもの。

 にもかかわらず、それすらも上回り、効果を齎している。


「……これ、は、神経に作用してるのかね」


 魔法で上回った訳ではない。

 これは単に、上回っているように見せ掛けているだけ。


 瞬時にタネを看破したロンの洞察力の高さに、グランは嫌気がさす。

 グランが〝過剰摂取(オーバードーズ)〟を使用した理由は、この歪みの世界での耐性を得る為でもあった。

 片や真面な視界。

 片や歪みに歪んだ視界。


 この差は歴然だ。


 状況的有利は最早、ロンにはないと言えるだろう。


「だが、それがどうしたという。五感がままならないなら、攻撃対象を全てに変えてしまえばいいだけの話ではないのかね?」


 ぱちん、と指を鳴らす音が一度。

 直後、先程までとは比べ物にならない程の物量の影の刃が展開される。


 上下左右。

 文字通り、それは視界の悉くを埋め尽くす。


「……普通、そういう対処は出来ねえから想定してないんだけどな。ったく、化け物がよ……ッ」


 視覚だけではない。

 仮にも〝毒王〟が用意した毒だ。

 タソガレの毒が狂わせるのは視覚だけではない。聴覚も狂っている筈だ。

 恐らく、ロンの耳にはグランの声がすぐ側に聞こえている事だろう。


 なのに、即座に目だけではないと勘付き、全方位に攻撃を展開する。

 その冷静さを前にして、やはりタソガレの下馬評は間違っていなかったとグランは自覚させられる。


「だけどよ。その状態じゃ、これは防げねえだろ」


 文字列が、大気に走る。

 上書きでもするように、それはロンが展開した影の刃にまで侵蝕を始め、呑み込んでゆく。

 〝古代魔法(ロストマジック)〟が防がれていた理由は、ロンの五感が正しく機能していたから。


 〝過剰摂取(オーバードーズ)〟までしたグランの攻撃を無傷で防げる道理は、どこにもない。


 ────出力強化────。


 割れるような痛みに耐えながら、グランは薬で無理矢理に拡大させた限界値へと足を踏み入れる。

 支配。侵蝕。支配。侵蝕。支配。侵蝕。


 数える事が馬鹿らしくなる程の凶刃の半数が瞬く間にグランの支配下に置かれる。


「さて。痛み分けといこうか、クソ野郎が」


 今浮かべられる一番の屈託のない笑みを表情に刻み、グランは巻き起こった轟音と爆風の中で笑い叫んだ。



 久しく感じていなかった明確な痛み。

 歪む世界のせいでままならない感覚。


 ゆっくりと遠ざかる意識の中で、ロンは思い返す。

 結局一体、己はどうしたかったのだろうか。


 

 復讐は、考えた。



 国に復讐をする事は、ロンも考えた。

 だが、なまじ騎士であったが故に、国の命令に背けない騎士達の行為に理解が及んでしまった事。何より、娘と共に過ごしたあの場所だけは、壊したくなかった。

 ならば、国を変えようか。


 そう思ったが、仮に王を殺したところで娘は帰って来ない。

 ただただ、虚しさが残るだけとしか思えなかった。

 悩んだ。

 何をすればいいのか。

 何をすべきなのか、悩みに悩んだ。


 そんな時だった。

 ロンは、テオドールに出会った。

 そしてロンは、彼の手を取り、娘の蘇生と引き換えにテオドールの望みに手を貸す事にした。


 それが、ロンにとって正しい道であると信じて疑っていなかった。

 失う物が最早何一つとしてないロンには、その道しか残されていなかったから。


 だが、ある人物との邂逅でロンは迷いを抱く事になった。

 その人物こそが、ヴァネサ・アンネローゼだった。



『────ロン君さ、ヴァネサ・アンネローゼを監視してくれないかな』


 『ワイズマン』の蘇生の為に必要不可欠な人間。だから、潜入していると思っているであろうヴァネサを、確実性のあるロンが監視する事になった。


 ヴァネサ・アンネローゼは研究者としても優秀だった。

 だから、即座に捕まえず、利用出来る最後の最後まで利用する方針だった。

 そのせいで、多く関わる羽目になり。

 そのせいで、揺らぐ羽目になった。


 職務を放棄し、カジノに向かってチェスターの下を訪れていたのもそれが理由だった。

 表向きは、ヴァネサの行方を尋ねる目的。ただ本当は、彼女の言葉は、本当なのかと尋ねようとしていた。


 だが、結局答えは得られなかった。

 チェスターが、避けるようにロンの前に姿を見せようとしなかったから。



「────……ならば、ワタシはどうすれば良かったと言うのだね」


 案の定というべきか。

 爆風に包まれ、砂煙が立ち込める中で当たり前のように声がやってくる。


「もし仮に、この虚しさを埋めてくれる『何か』がいつか訪れるとして、それが今、何の『安らぎ』になるという。何の『救い』になるという。そもそも、訪れる保障がどこにあるというのだよ?」


 胸を張って生き抜いた結果が、今。

 真っ当に生きた先に待ち受けていたのは地獄。


「ならば、人の恨みを買ってでも、己なりの『救い』を己の手で求める事こそが正しき道と思わないかね。そもそも、この世界は間違っているのだから」


 迷う必要などなかったのだ。

 ヴァネサ然り、グランの言葉にも耳を傾ける必要などなかったのだ。


 己と同じ境遇の人間ならばまだしも。

 当時の娘と親しい人間ならばまだしも。


 何も知らない人間の言葉なぞ、耳を傾けるに値しない。


「故に、ワタシの邪魔をするならば誰であろうと容赦はしない。礼を言っておこうか。お陰で吹っ切れたよ」


 空間が、歪む。


 先程までとは異なる兆候。

 ヨハネスとの戦闘の際も執拗に『影』しか使わなかったロンが、『夢』を使おうとしている。


「耐性出来上がんの早すぎだろうが……ッ」


 ……これは、藪蛇をしてしまったかと冷や汗を掻きながら、先のやり取りで少なくない傷を負っていたグランは防御に徹しようとして。


「…………っ、ま、ず」


 このタイミングで〝過剰摂取(オーバードーズ)〟の副作用が襲い掛かる。

 尋常でない痛みが頭に走り、身体がふらつきを覚えた。

 そのせいで、一歩遅れてしまう。

 その一歩こそが、致命傷。


「ではな。タソガレの犬」


 急速な喉の渇きを覚えながら、グランは死を覚悟して────しかし刹那、何もかもを遮るように、愉悦ここに極まれりと言わんばかりの弾んだ声音。

 加えて、悲鳴や叫び声。

 姦しい音と共に天井が突如として崩落した。



「────〝運命神の金輪(フォルトゥナ)〟────!!!」

「〝賭け狂い〟てめえまじで後で覚えとけよッ!?」

「もうやだぁぁぁぁぁぁあ!!! 落下今日でもう二回目だよ!? ボク高いところ苦手って言ってるのに!!」

「命知らずにも程があるだろ!!!」

「二度とパーティー組まない。二度とパーティー組まない」

「あうあうあうあ」

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