第八十五話、人気の無い場所
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族長に話を聞こうとするも焦らされ、仕方なしに孫であるスナックのママの話して、ようやく俺の質問に答えて貰える下地が整った。
族長達の昼間の話し合いは、竜人族、人魚族、エルフ族での貿易の話に時間が掛かったと言う、関税を掛ける掛けないや掛けるとして如何程かと。
一応国の維持も有るので関税は掛けるが少しだけだと、商人同士の物々交換が主な取引で、その商人達から僅かばかりの税金を納めてもらう予定だそう。
エルフ族にとっては如何か分らないが、竜人族は魚やミルクが無ければ、また病気に成ってしまうのだから、貿易とは死活問題だろう。
そして人魚族も魚を加工輸出して、山の幸が輸入しなければ、魚は余る一方で食べられないときたら、それも切実な問題だろう。
だが深刻には考えてないと、竜人族も人魚族も一度は仲違いしたが、元々は仲良くしていた国同士だ、スグに関係は戻ると予想しているそうだ。
むしろ竜人族も人魚族も、人間族に対しては信用をしていない様で、必要最小限の取引しかしたくないと言う事らしい。
おそらく若様に聞かされた、竜と人魚姫の話に出て来た人間族の王女が、竜に対して『助けたのは私だと』嘘を言った事や、宝玉と逆鱗を剥し力を失った竜を見ても、宝玉と逆鱗を手に取った事が何か影響しているのではと言う。
ともあれ人魚族も姫様が族長から代行権を得て居るらしく、大まかな取り決めも纏まり、話の内容に署名して早馬で人魚族の国に送るそうだ。そう姫様はしばらく人魚族の国に帰らないと言う事だ。
そこまで聞いて俺は心の中で期待する、スチイ達親子が人間族の国に来るのではないかと、だが帰らないと言っても竜人族の国に残る可能性も、エルフ族の国で生活する可能性も有るのだが。
そして族長に話を促して先を聞く、何でも今はまだ竜人族にも人魚族の国にも住まない方が良いと言う、安定してからでないと、今住んでしまうと不公平感から何が起こるか分らないとの事だ。
そして……、エルフの族長が『エルフの国で住むと良いのね』と言ったらしい。
何?全然俺の希望を聞き入れてないじゃないか、これだからエルフの族長は……。
でも、若様に言われたそうだ、『スチイに選ばせたい』と『スチイと相談したい』と。
俺はそこまで聞いて他は如何でもいいと思え、自分から聞いておきながら一方的に話を終わらせて部屋に戻ってしまう。
族長にニヤケた顔を見られたくない、何を言われるか分ったもんじゃない。
そして、スチイから良い返事を貰う方法を一人で考えたかったからだ。
部屋に戻った俺は、先程の族長の話を思い出しながら考え始める。
何にしても良かった希望が見えて来た気がする。スチイに人間族の俺の住む町で暮らしたいと言わせれば良いだけの話だ。
ただ気に成るのは孤児院に居た時に受けた苛めの記憶がスチイには有る筈だ。そんな町には来たがらないかも知れない。
俺的にはダンジョンも有り住み慣れた町に帰りたいし、そしてスナックのママやミミィちゃんにも会いたい。
もしもスチイがエルフ族の国に住みたいと言ったら? 俺はスチイと離れられるだろうか? いや今更スチイと別れる事は出来そうに無いな。
かといってダンジョンを諦め、ママやミミィちゃんの事を忘れて生活出来るだろうか? 我侭と思うがどちらも選べない。
何としてでもスチイには俺の住む町で暮らしたいと言わせなければ、例えば『姫様がスチイの居た町に行きたいと言っていたよ』とスチイに言えば優しい子だから答えは決まって来る筈だ。
そもそも姫様や若様はエルフ族の国に入って酔わないのだろうか? スチイは僅かとは言えダンジョンに入り魔物から魔力の残照をを受けたから、エルフの森林の話を聞いても酔わない事に疑問は持たなかった。
まぁ酔うと言っても徐々に慣れるのだろうが、少し心配もある。
若様は竜の末裔で強い筈だ。ダンジョンに強い魔物が居ると言えば戦いたいと言い出すのではないだろうか?その言葉を聞けばスチイも……。
もし、それでも駄目ならスチイの初めてを無理矢理にでも奪ってしまえば良い、そうすればスチイも俺に従う筈だ。そう、スチイの初めてのキスを奪ってしまえば、まだ少女とは言え少しは愛も芽生えるかもしれない。
まぁ無理にそんな事をすれば嫌われる可能性も大きい、諸刃の剣と同じだ。
スチイの初めてかぁ、どんな味がするのか興味は有るが、嫌われるのも怖い。
そんな事を真面目に考え、そう妄想《もうそう》等ではなく真剣に考えていて一つ気が付いた。俺は次の演説の日を聞いてない、失敗した。
スチイの事だけを聞ければ良いと思い、大事な事を聞き忘れた。
何時までにスチイと話さなければならないかが分らない。
だが一方的に話を終わらせてしまったのは俺だ。時間も遅いし今更聞きに行けない。
あまり時間は無いと考えた方が良いか、明日にでもスチイと話をしよう。
スチイが嫌と言ったら聞こえない振りをして、苦しいほど抱き締めて『好きだよ』と言って誤魔化せば良い。そして『はい』と言うまで、それを何度でも繰り返せば良い。卑怯な手だがそれしかない。
やることが決まったら心が軽くなり、その日は早々に床に就いた。
翌朝も早くからスチイの元を訪れようと思い、一応エルフの族長を誘ってみたら、来なくても良いのに、一緒に行く事に成ってしまった。
社交辞令の様なもので、形だけのお誘いの積もりなのだが、分かってないらしい、いや分かって付いて来ている節も有るが、いい歳なのだから旦那とゆっくりしていれば良いものを何がしたいのやら。
俺はスチイの元を訪れると、早々に挨拶を済ませて魔王と一緒にスチイを連れ出した。
流石に御両親の前で無理矢理に、半強制的にスチイに良い返事をさせるのは無理が有る。外に連れ出して二人きりで話した方が良い。
町を出るまではスチイを魔王の背に乗せて、大通りの中央付近をゆっくりと歩いて行く。町の人々は日々表情が明るくなり、顔色も良くなっている気がする。
そして道行く人の数も少しは増えた様で、俺は目移りしてしまう。
すれ違う女性の胸には、人魚族程ではないにしても中々立派な、夏ミカンやメロンを抱え、とても美味しそうに見える。
そして霊峰と言う山の土地柄なのか、女性でもズボンを履いてる人が多く、引き締まったお腹に張りの有る骨盤、そしてムッチリとしたキャベツや白菜を後ろで跳ね上げる様に揺らし、股下は誤魔化し様の無い丈が有り足の長さを物語っている。人参やゴボウの様な魅力的な足が……、中には大根の様な足の女性も居るが力強そうで、それもまた魅力だ。流石にカブの様な足の女性は居ない。
スカートも良いが、じっくり観察するとズボンを履いた女性も魅力的だ。
特に後姿は何とも言えない、ズボンだからこそ左右のお野菜の分かれ目がハッキリと浮き彫りにされ、キュッキュッと跳ね上げるサマが堪らない。
新鮮なキャベツは美味しそうで涎が出てしまいそうなくらいだ。
すれ違う女性の後姿、特に腰の下に抱えた野菜に見惚れていると、魔王に尻尾で背中を叩かれた、何かと思い魔王を見てみるが何にもな……いや上の方から強い視線を感じる、恐る恐るゆっくりと視線を上に向けると、スチイが俺の事を睨んでる様に見え、誤魔化す様に笑顔を作るも少し引きつってしまう。
隣に可愛い少女が居るのに、つい綺麗な女性に目が行ってしまう。男の性で仕方の無い事、そして可愛いと綺麗の尺度が違うから尚更だと自分に言い訳をする。
町を出た所で魔王から降ろそうと、スチイに手を伸ばすがソッポを向かれてしまう。町中での事をまだ怒っているのだろうか?
「ブルッ」
ご機嫌斜めなスチイを乗せた魔王は、鼻を鳴らしながら首と顎を一度伸ばしてから歩き出す。取り合えず歩こうと言っているらしい。
まぁその内に機嫌も治るだろう。
俺も仕方なく魔王に付いて歩き出し、機嫌をとる様に手を伸ばしてスチイの腰の辺りを、魔王の歩くリズムに合わせて軽くポンポンと優しく叩く。
スチイも徐々に機嫌を治してくれたのか、顔を正面に向けて視線だけをチラチラと俺の方に向けてくる。でもまだ気付かない振りをしてスチイの腰を叩く。
「ノーバン様は、お尻が……好き?」
「……スチイの可愛いお尻ならな」
何の前触れも無く急にスチイが小声で、恥ずかしい事を聞いて来て、一瞬何を言われたのかと考えてから、機嫌を取る様に答えてみた。
「ウソ!、他の女の人のお尻を見てたもん!」
やはりスチイに気付かれていたか、俺が町の女性のお野菜に気を取られていた事に。
何か言い訳を考えなくては、しかも考える時間は僅かだ、急がなければ。
「誤解だよ、病気の経過観察かな? 後姿で分るんだよ」
「ぅぅうぅ……ぅ……そ……『ぁはは……それよりスチイのお尻は可愛いなぁ』」
「もぅ……」
何とも苦しい言い訳をした。でも見抜かれている様だがスチイの言葉は聞こえない振りをして、言葉を被せる様に笑って誤魔化した。
そして最後に褒めた積もりだが、頬を膨らませて横を向かれてしまう。
俺は魔王を誘導して、林の中、人気の無い場所にスチイを連れて行く。
これから俺がスチイにしようとする事を考えると、徐々に高揚し緊張して心臓もドキドキしてきた。抑えろ抑えろ。
林の中を進むと少し開けた場所が有った。人が来ない場所だと思って来たが、木が切り倒された場所に皮を剥がれた大木が長椅子の様に置かれてた。
良い場所なので、少しだけ機嫌を治したであろうスチイを降ろし、魔王のハミを外して馬体を叩く……、と邪魔な魔王は走り去った。
林の奥の人気の無い場所に、スチイは疑う事も無く俺に付いて来た。これから俺がスチイに何をするかも考えずに……、そんなスチイの事が大好きだ。純粋無垢で……無防備なスチイが。
これでスチイと二人きり、ココなら誰も来ない。後は俺の心の準備だけだ。
スチイちゃんに危機が迫る。
四章は主人公のエロや妄想が多く話の進みが、テンポが悪い気がしますが筆者の思い過ごしかも?
もう少し多めに主人公の妄想に付き合うべきですかね?




