スチイと運動、四章六十話
スチイにチューで起こしてもらい、邪魔者の魔王も居なくなり、スチイと二人きりでこれから良い汗をかこうと思う。ふふふ。
そう、スチイはダンジョンに行って強く成りたいと思っている様なので、少し鍛える事にした。特に小さなお胸周りの筋肉を鍛えてあげたい。
頭と頭が向かい合う様に二人でうつ伏せに成り、腕立て伏せを始めた。
腕はあまり広げずにゆっくりとした速度で、体を持ち上げて……下ろす。
五回位が限界かと予想していたが、もう八回を超えている。
正面からスチイの事を見ていると、重力で胸の辺りが膨らみ見入ってしまう。そう胸の辺りの服が重力に逆らえずに膨らむ様に下がり、襟首が少し開いてスチイの可愛い桃色の下着が見え隠れしている。
俺はギリギリまで地面に顔を近付けて、スチイの体を確認する。
重力の影響かもしれないが、ずい分と成長している様だ。
そろそろ十回を数えるので、一度休憩させる。
しばらく休んで息を整えてから、今度はスチイと向き合う様にして、俺のお腹の上に抱きかかえた。
あまりの気持ち良さに、つい強く抱き締めてしまう。
「ぅぅうん」
「ごめんごめん苦しかったか?」
「……」
スチイは少し怒った感じに頬を膨らせてはいるが、少し口元が緩み笑みが零れている。どうやら本気で怒ってる訳では無さそうで安心した。
俺は向かい合ったまま寝ている状態で、スチイの手を手に取り強く硬く、全ての指と指を交互に絡ませて握り締め、スチイも握り返してくれる。
ゆっくりと腕の力だけで、いや上半身の全てを使いながらも、腕だけでスチイを持ち上げる。そう仰向けのまま腕立て伏せをする様に。
何度か上げ下げした後に、スチイにも腕立て伏せをする様に言うと、足の位置が悪かったのか、俺の脚と交互になる様に、片足は俺の股の間に入れて腕と爪先だけで体を支えた。
初めは逆の動きで、俺が腕を伸ばすのに合わせてスチイに腕を縮まらせ、二人で息を合わせる様に、ゆっくりと始めた。
思ってたよりも難しく少し腕が震える。スチイが足を着いているので体重の半分位しか重さも掛かってない筈だ。重さに耐えられない訳ではないが何故か腕が震えてる。
スチイが相手だから緊張しているのだろうか? それともスチイの震えが伝わって来ているのか?息が合わないせいなのか?よく分らない。
少し慣れてきたのか震えも止まり、スムーズに出来る様になって笑い合った。
また十回ほど行ったので胸の上にスチイを下ろして軽く抱き止めて休憩する。
流石に運動した後は鼓動が速くなり、スチイの気持ち良いドキドキが俺の胸にも伝わって来る。
そして息を大きく吸って吐く事で、胸の柔らかな部分と少し骨ばった硬い部分が明確に分かるほど、胸を大きく上下させている。
特に息を全て吐き出した時には、胸の柔らかな部分だけで体を支えている。
毎日ミルクを飲んでいるせいか、ずい分と成長している様で嬉しく思う。
スチイが休んでいる間に、俺は十分スチイの命の重みと感触を感じていた。
そして先程と同じ様に、向かい合って腕立て伏せをする様にするが、前回と違い息を合わせる様にして、二人同時に腕を伸ばして、そして同時に縮める。
初めはゆっくり伸ばしてゆくが、やはり腕が震え、伸ばしきった所で一度休み、今度はゆっくりと腕を縮めてゆく。
お互いの顔が近付いて来ると、スチイは少しだけ右に避けて俺も少しだけ反対に避けて、微かに頬と頬が重なり合う。
またゆっくりと腕を伸ばしてゆき徐々に安定して来て、腕の震えも止まり、お互いに笑い合いながら続ける。
今度は十回以上続けてる、そしてスチイが自分の体を支えられなくなり、俺がゆっくりと腕を縮めて下ろして来るが、スチイが顔を避けた方に俺が重なる様に顔を動かす、とスチイは又逆に避ける。そして俺が追いかける。
とうとうスチイは諦めて位置をそのままに顔だけを横に向けた。
そしてゆっくりとスチイを下ろして来て、頬にチューをする。少し甘く感じた。
「もぅ意地悪ぅ……少し、くすぐったいよぅ」
「スチイは美味しいな」
「スチイは食べ物じゃないもん、ぅぅ」
「はは、そうだな」
そしてスチイに本当の限界が来た様で、膝を折って地に着いて来た。『痛!』
いや痛過ぎて声にならない声を出してしまった。スチイが膝を地に着けたは良いが、片足は俺の股の間に入ってる、膝を折って地に着けようとしたら……、必然的に俺の大事な所に当たる、これは天罰だろうか?
頬とは言え、逃げ場の無いスチイに対して無理矢理の様にチューしたからだろう。
あまりの痛みに、またスチイの事を強く抱き締めてしまい、スチイも疲れているのか抵抗する事も無く受け入れて体を預けてくる。何だかとっても嬉しい。
二人で十分に良い運動をして、筋力、体力の増強をした。下心は少ししかない。
いつの間にか帰って来た魔王は、俺の事を軽蔑した様に見下ろしながら大きい目を少し細めて見ているが、何を考えているかは分からない。
スチイとの運動は楽しく目の保養にも良い、これからも鍛えようと思う。
そして楽しい時は時間の進みが速く、そろそろ町に戻らなければならない。
町への帰り道は緑を抜けてから少し上り坂で、競争する様にスチイと走った。
そして町の入り口で少し迷う、この町に来て魚を配りながら演説をした数日後から、噂が広まったのか魚が嬉しかったのかは分らないが、町を歩くとスチイに握手を求める者が少しづつ増えてきているからだ。
町の入り口で一度止まり、魔王にハミと手綱を着けてスチイを乗せる。
これならスチイに手は届かない、握手を求められる事は無いだろう。
魔王に声を掛けて町の大道りのほぼ中央をゆっくり歩き、族長の家へと戻る。
族長の家の敷地内へ入ると、皆に睨まれてしまう。どうやら魔王に鞍も着けずスチイを乗せてる事が御気に召さない様だ。実は俺もだが。
本音を言えば魔王が羨ましい、そしてたとえ魔王と言えどスチイの柔らかく触り心地の良い体を、俺以外の者に触らせたくはない。
だがスチイも喜ぶし、俺がスチイの体を独り占めしているのが気に入らないのか、たまには乗せないと魔王が機嫌を損ねるから仕方なく乗せる様にしてる。
それと今回は民衆の握手を避けると言う理由も有った。
魔王からスチイを降ろそうとするも、魔王は止まらずに厩舎まで歩いて行ってしまい、塩の塊の前で足を止める。
「ヒンッ」
よく分らんが、取り合えずスチイを降ろすと、スチイは塩の塊を抱えて魔王の前に歩み寄る。
「これが欲しいの?」「ヒンッヒンッ」
態々スチイが抱え上げなくても首を伸ばせば届く筈なのだが、魔王はスチイの優しさに付け込んで、良い思いをしようとしている。
案の定、魔王は塩を舐めながらスチイの顔まで舐めている。あるまじき行為だ。
睨み付ける俺に対して、魔王は自慢げにスチイを舐めては首を伸ばして俺を見下ろしてくる。悔しいがスチイの手前、我慢するしかない。
スチイもスチイだ、俺が頬にチューするのにだって散々苦労するのに、魔王に対しては無防備に顔を舐めさせて、甘すぎるんじゃないか?
もっと俺に甘々で優しくしてくれても良いんじゃないだろうか。
次にスチイを抱き締める機会が有れば、死ぬほどに抱き締めてやる。
魔王とスチイのイチャラブな光景を見せられた俺は、一人悲しくも怒りと愛に燃える様に感情が高ぶってしまう。
魔王も塩に飽きたのか、スチイの顔だけを舐めだして、スチイは『くすぐったい』と言って塩を置いて逃げている。
まぁそろそろ良い時間だと思い、魔王の足だけを洗って厩舎へと返した。
スチイと族長の家の中へ入るが、族長達の話し合いは終わってなかった様で、俺も一緒に食事を摂る事になった。
リビングには大きな長方形のテーブルが有り、椅子は人数分が用意されている。
ペンドラゴンもすっかり良くなった様で一緒に昼食の席に付くが、スチイの事ばかり見ていて手が止まってしまう。
スチイは両親に守られる様に、二人の間に座り食事をしているが、姫様とスチイだけは別メニューで、魚が無い代わりに山の幸が多く盛られていて、スチイの前にはお茶の代わりにミルクが置かれている。
少し可哀相に思うが当人達は気にしてない様子で、親子三人は美味しそうに顔を見合わせながら食事をしている。
スチイは食事の間中もミルクに少しづつ口を付けていて、胃酸が薄まらないのか少々不安にもなるが、美味しそうに食べてるし問題は無いと思いたい。
こうして見ていると、やはりスチイは俺と暮すより御両親と一緒に暮らした方が幸せだろうなと思ってしまう。
せめてスチイがもう少し大きければ話も違うのだろうが、大きければ大きかったで俺には頼らないだろうし、今ほど仲良くもしてくれないだろうな。
そして楽しい食事も終わり、俺とスチイ以外は話し合いが有ると言うので、俺はエルフの族長にだけ聞こえる様に小声で『スチイは俺の住む町に連れて行きますから』と希望?願望を言って逃げる様にスチイを連れて部屋を出てしまう。
午後は敷地から出る事は無く、スチイと魔王と三人で遊ぶ事にした。
遊ぶと言っても、魔王を引き回したりスチイが干草を抱えて食べさせたりして、それだけでも数時間が経ってしまう。魔王は何キロ食べるんだ?
その後、魔王を洗って三人で日光浴をしたら、もう日が傾いている。
体も乾いて起き上がってから、魔王の鬣にブラシを掛けて整えていると、若様がスチイを迎えに来た。
ずい分と長かった話し合いが終わったのだろう。俺も日が暮れない内にエルフの族長と宿に戻らなくてはならない。
名残惜しいが魔王を厩舎に帰し、スチイと別れてエルフの族長と宿へと帰った。
宿に戻って夕食を頂いた後に、族長に話を聞こうとするも焦らされるが、孫であるママの話してあげようにもネタが無い。少し考えてママはとても耳が良くて、離れていても俺と依頼人との話が聞こえている節が有ったり、遠くの客のオーダーも店の娘がママに告げる前に用意を始めている事とか、俺的には何故聞こえるのかが不思議だと首を傾げながら話をするも、族長夫婦はクスクスと笑いながら話を聞いている。それほど面白い話をしたつもりは無い。
そして、ようやく俺の質問に答えて貰える下地が整った。




