スチイの言う強さ
いつも読んで頂き有難う御座います。
今後の事を相談しにエルフの族長の元に訪れたが、素直に答えてくれる族長では無い。俺は仕方なく旦那さんに顔を向けて、お孫さんの話が聞きたくないかとエサで釣る。
族長と旦那さんに、孫であるスナックのママの優しい所を色々と話し始める。
まぁ優しさ余って俺の仕事の依頼に口を挟む事も有るが、その辺りも良い話風に誤魔化して、ママの事を褒める様に話をした。
俺には子供が居ないから分からないが、子や孫を褒められれば嬉しい筈だ。
族長の旦那さんが嬉しそうに話を聞いている所で、俺は無情にも孫の話を終わらせて本題を切り出す。悪いとは思うが何処かで終らせなければ切りが無い。
「お孫さんの話は此れ位にして、スチイ達親子を如何するのかを聞かせてもらえませんか?」
「先ずは有難う。孫アールヴの話をね」
「どういたしまして、それで……」
「スチイちゃんの事ね」
「はい」
スチイ達親子と言った筈なのに、何故か俺の心を読んだ様にスチイに限定してきた。そして族長は今後の予定を話し始める。
竜人族の人々の体調が少し改善した所で、再度演説を行いスチイ達親子の功績として広め、スチイの事を民衆に認知させてから旅に出る予定だと言う。
そして人魚族に続き、竜人族でも俺の功績を取り上げる事になってしまう事に対して謝罪された。
まぁそれは族長が俺達を連れて来てくれたお陰だから、気にしてない。
そしてそれがスチイの為になるならば、俺としては願ったり叶ったりでもある。
だが、それを素直に言って良い相手ではない、貸しと言う事にしておく。
そして旅の行く先が問題だった、いや嬉しくも有るのだが、なんと俺の住んでいる人間族の町に行くと言うのだ。
スチイが一緒に俺の住む町に来てくれる事は本当に嬉しいが、次期族長二人とその子供が住む家は如何するのだと、スチイが町に戻った場合に領主や孤児院に誰が何て言うのか、そして同じ町に居たとしても俺が簡単にスチイと会えるのか疑問だ。
俺は只の冒険者で、スチイはお姫様のような者だから。
だがスチイ達親子の事は、最終的に三人が決める事だと、でも族長は俺の住む町に来ると言う。そんなに孫に会いたいのだろうか?
どっちが大切とは言わなかったが、孫に会う以外にも族長会議が近々有るらしく、それが人間族の国だと言う。なるほどと思った。
それならばスチイのお爺ちゃんのペンドラゴンも、お婆ちゃんの人魚の女王も人間族の国に来るのではないだろうか。
そう思うと住むかどうかは別として、一度は人間族の国にスチイ達親子が来る事も、そう可笑しな事ではない様な気がして来た。
族長に大体の話は聞けたし、明日にでもスチイにそれとなく聞いてみよう。
翌日は何時もの様に早く起きてしまったが、ヤギも族長の家に預けられていて、朝の楽しみは無い。朝食の時間までボーっとして過ごす。
良い時間になり、宿屋の食堂で朝食べながら族長と話をする。
食事が終わったら、スチイに会いに行くと言うと、族長もペンドラゴンとスチイの御両親に話が有ると言うので、一緒に出かける事にした。
族長達は何時位に演説をするかの打ち合わせとかだろう。面倒な事は任せて俺はスチイと一緒に邪魔にならない様に遊んで来る事にする。
竜人の族長の家に行くと、俺はスチイの御両親に挨拶をし、スチイと魔王を連れて町の外へと向かう。
今日のスチイの服は、多くの竜人族が着ている服と同じで、少し厚みが有り柔らかそうな綿の生地に、色は白ベースだが鳥の羽の様に黄色や赤や青と、数色を交えたカラフルな配色で、少し動くだけでも目が引かれるほどの鮮やかさだ。
白ベースなのに下着が透けて見えないのは、上手い具合にカラフルな色を添えているからだろう。
そして胸や腰周りと足の脛周りには、本物の鳥の羽があしらわれている。
ただスチイには少し大きい様で、襟首に余裕が有り、裾を少し上げている。
今日は町から少し下って緑の中を抜け、滝の近くにやって来た。
ここは標高が有って少し涼しい上に、滝が更に気温を下げていて、滝から流れ出る川の水も大分冷たく感じる。
スチイには水が冷たいから、手足位は良いが体にかからない様に言う。
魔王も水が冷たいせいか、滝近くの水飛沫が舞う所には近付かない。
今日の景色は昨日とは逆で、緑の中から断崖の壁を見上げてる。
スチイの事は断崖絶壁とは思ってない。まだ幼いとは言え女性だ、微かな膨らみを持っている。
その小さな膨らみも、また魅力的だ。そう護ってあげたくなるくらいに……、ってそれは庇護欲だろうか? 兎に角好きだ。
スチイが水辺で遊んでいるので、俺も足を水に浸けると大分冷たい、魔王も冷たい水は嫌なのか爪先しか水に入れてない。
だがスチイは膝まで水に入り遊んでる。お風呂も長いし少し位冷たくても、水が有る事が嬉しい様な感じだ。種族的にワニや魚に近いのだろうか?
それでも体を冷やし過ぎるのは良く無い、少し水から出して日光浴をさせよう。
俺はスチイにそっと近付き、後ろから脇の下に両手を差し入れて一気に持ち上げた。
「キャァ!」
「びっくりしたか?」
「びっくりしたよぅう」
「そうか、ごめんごめん」
そう言いながらスチイのお尻が目の高さに来る位に高く持ち上げて、クルクルと回って川から出る。可愛いお尻に見入りながら。
魔王は先に良い場所を見つけ寝転んでる、俺もスチイを連れて近くに寝転んだ。
左腕をスチイの枕にさせて、右手で少し伸びて来たスチイの髪を左右に分ける。
スチイの横顔は可愛く、そして体も……どの辺りがとは言わないが、とても可愛い。
スチイの為ならば、俺はもしかしたら魔王も倒せるかもしれない。
いや馬の魔王を倒してしまったらスチイに怒られるだろうな。
森林浴に日光浴、滝からのマイナスイオン、そして隣には目の保養をしてくれるスチイまで居て何も言う事が無い、とても幸せだ。
俺は少し目を閉じてから、スチイに少し話しかける。
「スチイは今でも俺とダンジョンに入りたいと思うかい?」
「ノーバン様と一緒ならダンジョンに入りたいょ」
俺の左腕の上に乗ったスチイの頭が、少し動き此方に傾いた様だ、俺の事を見ているのだろうか? 少し気に成るが目を閉じたままに話を続ける。
「御両親に会えたから、一人で頑張る必要は無いんだよ」
「うううん、スチイは強くなりたいの」
「うん?独り立ちしたいんじゃ無くてか?」
「そう、スチイが強くなってお父さんとお母さんと離れなくても良いようにするの」
もしかしてスチイは力に対して力、暴力で持って対処しようと考えてるのかな?
「スチイの言う強さって何かな?」
「えっとぅ、熊を一人で倒せる事?」
何となく言いたい事は分ったが、自信が無さそうに語尾が上がってる。まぁ可愛いから何も言うまい。
熊を一人でって俺のせいじゃないか、このまま俺と一緒に居たらスチイが脳筋に成ってしまうのだろうか?いやいや全然筋肉の無い女性も魅力に欠けるが、頭の中まで筋肉と言うのも困る気がする。
「話が変わるけど、スチイが御両親に会えたのは誰のお陰かな?」
「ノーバン様」
信頼や依存してくれるのは嬉しいが、俺はスチイと一緒にエルフの国に逃げ込んだだけで何もしてない。
「うぅん、それも有るがエルフの族長のお陰なんだ、スチイの御両親の事を探して道案内までしてくれたんだよ」
「そうだったんだね」
スチイは素直に納得してくれて可愛い、思わず目を開け抱き寄せて、間に挟まった右手を掴み二人の体の上で重ねる様に握り締め、仰向け同士のままに体を密着させる。お互いが顔を向き合えば、唇と唇が重りそうだ。
そうだスチイの名を呼んで、同時に俺もスチイの方を向いてみたらどうだろうか? 上手くしたらスチイの初めてを奪えるかも知れない、が今は止めて話を進めよう。
「そしてスチイが帽子を外せる様に成ったのも、エルフの族長のお陰なんだ」
「そうなの?」
「族長が考えて人魚族や竜人族の人に、スチイが良い子だって広めたんだよ」
「スチイの為に?」
「そうだよスチイの為にだよ」
「そうだったんだね」
あまり上手い説明が出来たとは思っていないが、少しは族長のしてくれた事が伝わっていれば良いと思う。
「そのエルフの族長がスチイの言う様な強さを使ったかな?」
「ぅううん、使ってなぃ」
「時にはスチイの言う強さが必要な時も有るけど、エルフの族長の様に皆を幸せにする強さも有るって事を覚えておいてほしいな」
「はい、ノーバン様」
話が終わったと思ったのか、スチイは顔を俺の肩に寄せて来て、目を閉じて幸せそうな顔をして寝てしまった。
結局、本題の話を出来なかったが仕方ない、また後で話をしよう、そうスチイが俺の住む町に来てくれるのか、御両親が人間族の国を拒んだら如何するのかを。
俺の希望としては若様を置いて行って、姫様と俺とスチイの三人で暮らす事だが、まぁ有り得ないな、話にも聞いし見た限りでも二人の仲は良く、そしてスチイの事も愛している様だし……、若様が羨まし過ぎる。
ああ俺は三人の仲を引き裂いた奴等と変わらない嫌な奴かも知れないな、はぁ。
十分に休みスチイのぬくもりも堪能した俺は、ゆっくりと右手を離してスチイの頭を優しく何度も撫でる。
スチイも少しづつ目を開けて、俺に近付くと頬にチューしてくれた。
「ありがとう、スチイ」
「ぇヘヘ」
頬にチューするのが、寝起きの挨拶らしい。嬉しい習慣だと思う。
俺とスチイが起きると、魔王も起き出して何処かへ走って行った。散歩だろう。
目が覚めたがお昼までに、まだ時間が有る、少し運動でもしてスチイの成長を促すとするか?
長旅で足場の悪い所を歩いて下半身は少しづつ鍛えられているから、今日はバランス良く上半身を鍛えた方が良いな。
次話、筋トレかな?
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