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ペンドラゴン

 元の会議室の様な広い部屋へ戻り皆に他言しない事をお願いした。

 話も終わり皆が部屋へ戻ろうとした時に、俺は自然と其れが当り前であるかの様にスチイに声を掛け手を伸ばした。

「スチイ、おいで」

「……」


 スチイは無言で隣に立つ男を見上げ、それを見て俺は気が付いた、スチイの隣には本当のお父さんが居る事に。俺はゆっくり手を下ろす。

 肩を落とし部屋へ戻ろうとした俺の背後からエルフの族長の声が掛かる。

「まだ誰にも知られたくないから、スチイちゃんはもう一日だけノーバンと一緒に居てくれるかしらね」

「……またね、お父さん」


 スチイは今一度隣に立つお父さんを見上げ、ニッコリと微笑みながら一声掛けて俺の元に走って来てくれる。

 俺は手を伸ばしスチイが、その手を一瞬両手で掴んでから片手だけを離し、お父さんに手を振りながら部屋を後にした。俺も扉を出る前に顔だけ後ろを向きながら頭を下げる。

 スチイの手を握りながら戻る俺は、心の中でエルフの族長に感謝した。


 部屋に戻った俺はスチイの背中と太腿(ふともも)に手を回して少し持ち上げ強く抱き締めた。スチイの左手は俺の首に右手は(わき)の下に抱き付き(ほほ)と頬が重なり合う。

「本当にカワイイ、スチイは世界一可愛いよ」

「ありがとうパパ」


 何に対しての有難うかは分らずお父さんの診察の件かもしれないが、今は何も言わずにスチイの体の感触と香りを楽しむ事にした。

 十分にスチイを堪能した後は夕方まで二人で厩舎へ行き馬とヤギの世話をする。

 スチイは小さな声で馬の魔王に今日の事を色々と話していた。

 夕方、お風呂と夕食を頂きスチイと仲良く部屋へと戻る。


 部屋に戻った後、じゃれながら風呂上りのスチイの香りを楽しみ、スチイと一緒のベッドに入り込む。

 スチイは指先しか出てない小さな手で俺の頬を撫でて来る。

 どうやらスチイは俺の好みを理解してか、大きな部屋着を着ても(そで)(まく)らず指先だけを出している。


 俺はスチイの腕に自分の手を()わせ、スチイの手を握り頬から口元へ滑らせ小さな指を甘噛(あまが)みしてみた。

 スチイは一瞬目を丸くして驚いた様子だが、次の瞬間には頬を膨らませて手を引っ込めグーにして俺の胸を叩いて来た。

「もぅ、痛いよぅパパ」

「ごめんごめん、スチイが余りにも美味しそうだったから」

「スチイは食べ物じゃないよぅぅ」

「分ってる分ってる」


 俺にとっては甘噛みのつもりだったがスチイには少し痛かった様だ、俺はスチイに謝ってから機嫌を取る為にスチイを両手で高く持ち上げて見せ、何度か上下に上げ下げしたら機嫌を直してくれた様で笑ってくれる。

 俺も少し疲れたのでゆっくり下ろすと、そのままスチイは俺の胸の上に抱き付いてきた。俺はスチイの命の重みを感じながら軽く抱き止め体を少しだけ左右に振りながら、あやす様にして背中を撫でた。


 しばらくして少し眠くなったのだろうかスチイの力が抜けてきたので背中を撫でていた手を下げお尻を支え、いや、お尻を触りながら俺の隣にスチイを降ろした。

 スチイは眠そうにしながらも一言。

「エッチ!」

「はいはい、もう寝ようか」

「もぅ」


 スチイに気付かれ少し怒って居た様だが、寝て起きれば忘れてしまうだろう。

 俺は僅かに残るスチイのお尻の感触を幸せに思いながら、眠りに付いた。


 翌朝目が覚めるも俺の腕はスチイの下敷きになっている、俺の気配に気付いてかスチイもモゾモゾと起きだす。

 スチイを抱き締め様と思ったが、スチイの下敷きになった俺の右腕は動かない、仕方なく左手だけでスチイを抱き寄せて、寝返りを打つ様にスチイを俺の反対側へ寝転がし右手を自由にした。が全然動かない、昨夜スチイのお尻を触った罰だろうか?体を何度も(ひね)り何とか右腕の自重をもって動かしていると血が通い始めたのか徐々に動くようになってくる。


 動く様になった腕を使いスチイと朝のスキンシップをしながら着替えを手伝い、自分も着替えて付き人を誘いヤギの所にミルクを貰いに行く。

 付き人のお姉さんとスチイがミルクを搾るところを、涎が(よだれ)垂れそうな想像をしながら見つめた後は、ミルクを持って調理場で加熱処理した後に付き人に「若様にも少し分けてあげて下さい」と言って自分達の分を受け取り部屋へと戻った。


 部屋に戻った俺とスチイの手にはミルクの注がれたコップが有るが、今日は少なめだ、スチイがお父さんに沢山飲んで欲しくて自分の分を減らしたのだろう。

 少ないミルクを飲み干し朝食へと向かう。


 朝食後にエルフの族長から今日の予定を聞いて、それぞれに動き出す。

 俺と狩人と付き人は族長と一緒に行動し、スチイとお姉さんは若様の所へ向かう、族長の旦那は何も言われていなかった為に行動は不明だ。


 今日はエルフの族長が竜人の族長であるペンドラゴンに会うと言う。

 案内され扉を開き部屋へ入ると応接室が有り、狩人と付き人は応接室で待機を言い付かり、俺はエルフの族長の付き人兼護衛役として、その先の奥に有る扉の中まで同行する事になった。


 応接室の先の扉を開き中へ入ると、昨日の若様の執務室と同じ様な作りで隅にはベッドが有り、そこに一人の男性が横に成っている。

 ()せっているとは聞いたが、床に居る者と話をする事に成るとは。


「お久しぶりねペンドラゴン」

「久しぶりエルフ長」

「お体の具合はどうかしらね?」

「まぁ見ての通りだな」

 エルフの族長の事だから病人に向かって『元気?』とか聞きそうで怖かったが普通に挨拶をしているので安心した。


「お見舞いに来たのね」

「エルフ長こそ病に臥して、族長会議も休んで居たのではないのか?」

 昔、俺がエルフの族長に会った時には、とても酷い状態で何年も床に臥せっていたらしい。


「あら私はこの通り元気なのね」

「その様だな、人魚でも食べて不老不死にでも成ったか?」

 エルフの族長は腰を捻り少し色っぽいポーズをとって「元気なの」と言い、ペンドラゴンは目を細めて訝し(いぶか)げに見ながら質問してくる。


「あら、そんな事しなくても元気に成れるのね」

「その元気に成れる秘密を教えてくれないか?」

「あら、教えたら何か見返りが有るのかしらね?」

「先に言っておくが竜の宝玉とか逆鱗なんて物は無いからな」

 病人であるペンドラゴンが頭を下げてまでお願いするも、エルフの族長は気にして無いかの様に見返りを要求する。

 宝玉に逆鱗? 昨日の若様の話に出て来たような気がするが、無いとの事だ。


「それなら若様が欲しいかしらね」

「……いや、駄目だワシもこの有様だ」

「大丈夫よね、ペンドラゴンに元気になる秘密を教えるんだもの」

 ペンドラゴンの言う事も理解できるし、エルフの族長の言う事も正しいが、俺は絶対に直るとは言ってないと思う。言ったのか?覚えてない。

 そんな事を考えていら、部屋の扉がノックも無しに開かれ誰かが入って来た。


「お久しぶりねアーサー王」

「久しぶりペンドラゴンに…………エルフ長?」

「久しぶりだなアーサー王」

 急に入って来た男に誰も驚く事無く平然と挨拶をしている、が逆に急に入って来たアーサー王の方がエルフの族長が居る事に驚いた様に見つめている。

 流石はエルフの族長、「赤竜との対決の場にはアーサー王が横槍を入れてくる」と言っていたが当たってしまった。

 誘拐されてから報告と馬? での移動時間まで分るのか?流石に年の功と言ったところか。

 一歩間違えたら竜の血族でも白髪に染めたスチイをアーサー王に取られかねない。

 エルフの族長がアーサー王を止めると言っていたので、間違えは起きないだろうが少し心配だ。


「今日来たのは、誰かが幽閉の錠を開けてしまったからだ」

「あらあら大変ね?」

「それはまさか」

「そのまさかだ」

 エルフの族長は頬に手を当て人事の様な言葉を発し、アーサー王とペンドラゴンは隠語の様な会話でも何か分かり合っている様子だ。


「アーサー王、今は邪魔しないでもらえるかしらね?私が先客なのね?」

「大事な用件で来てる」

「知ってるわよ竜と人魚の姫君を連れ去られたのでしょう?」

「何故それを!」

「私だものね、色々知っているわ、だから邪魔しないで欲しいのね?」

 エルフの族長、怖い怖い言い方もだが威圧が凄すぎる。


「何が言いたい?」

「それ以上はメ! ね、族長会議で『姫君を盗まれた伝説のアーサー王』なんて言いふらされたいのかしらね?」

「分った、しばし待つ」

 エルフの族長はアーサー王を言葉だけで言い伏せてしまう。

 族長は平然としているが、俺は脚が少し震えているのが自分でも分る。


「ペンドラゴン決まったかしらね?」

「分った、もしワシが治ったなら連れて行くがいい」

「あら駄目よ、必ず治るから今すぐ欲しいのね」

「たいした自信だな」

 うん?今すぐスチイのお父さんを連れ出すとは聞いてない、いや、後で連れ出すとも言ってなかったか?いやいや本当に病気がカルシュウム不足なのか自信が無くなって来て何となく不安がよぎる。


「えぇそうね種族人口では人間には適わないわ、人魚は美、竜は強さよね?」

「じゃぁあエルフには何があるのかしらね? くふふふ」

「少し考えさせてくれ」

「駄目よ。アーサー王に邪魔されちゃうもの、それにね竜人の国民全員助けられるわね私なら『伝説の最弱ドラゴン』とか族長会議で言われないようにね?」

 いや言い切ったよ、交渉の鉄則かもしれないが、もし違ってたら誰が責任を取るんだ?俺の首くらいでは足りないだろう。逃げ出したい。


「……わかった息子を連れて行け」

「素直でいい子ね」

「してどんな薬だ?」

「薬ねぇ薬と言えば、くすりね、笑う時も……くすりね」

「…………違うのか?」

 薬で間違ってはいない、悪い事をして自爆するのも良い薬と言う位だから。


「ごめんなさいね、次はアーサー王ね?」

「おい」

「すぐ終わるから待っててね」

 ペンドラゴンはまだ聞きたそうにしているが、エルフの族長は一先(ひとま)ず話は終わったと言わんばかりに、今度はアーサー王に向き直る。

話の途中で切れてしまい申し訳なく。続けると七千文字近かったので切りました。

スチイちゃんを主人公から離せたと思ったのですが族長からマッタが掛かってしまいました。

でもペンドラゴンを説得したので今度こそ。

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