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第四十五話、神の罠

今話、寝物語の様な話ですが、しばしのお付き合いを。

 狩人はエルフの森林や弓の話をした後、仕事に行くと言い俺達と別れた。

 俺とスチイは借りている部屋に一度戻り、少し薄着に着替えて馬の魔王に会いに行く。

 魔王は厩舎で横に成りくつろいでいる、馬なら立ったまま寝ろと言いたい。


「魔王、散歩に行くぞ」「ヒンッ」

 呼び掛けるとスクッと立ち上がり、寄って来る。

 ハミを装着するか迷ったが、仮に逃げ出してもエルフの森林だ、馬といえど森林からは出られないんじゃないかと思い、軽く首に縄を掛けるだけにした。

 村人に川の有る場所を聞くと近くに有るとの事で、馬の手入れ道具も持っていく。

 近くとも迷うから案内を付けると言われたが、丁重にお断りした。

 多分、魔力が原因なら俺は迷わないだろうし、大声を出せば届くだろうと思う。

 魔王の首に掛けた縄をスチイに持たせ、魔王の隣を歩かせる。


「スチイ縄は軽く持ってるだけで良いからね、魔王が走り出したら離すんだよ」

「離して良いのパパ?」

「ああ良いよスチイが怪我しないようにと、逃げ出してもエルフの森林からは出られないからね」

「逃げないよね?まおう」「ヒンッ」

 スチイの問いかけに魔王は頷き返すが、何かに驚いて走り出す可能性は有る。


 話しながら歩いていると、スグに川に辿り着いた。

 川で魔王とスチイがバシャバシャと遊んだ後に、スチイと二人で魔王の体を洗う。


「まおう、気持ち良い?」「ヒンッ」

 スチイの問い掛けに魔王は一つ頷いてみせる、旅の間に仲良くなった様だ。

 洗い終わった魔王の体を拭き上げて、近くの草の茂った所で日光浴をする。

 エルフの森林は蚊が殆ど(ほとん)ど居ない、とても過し易く気持ち良い。


 俺は木陰で森林浴を、スチイは日光浴を、魔王は食事を楽しむ。

 魔王の縄は外してあり、草むらと川を何度か往復している。

 スチイの日光浴も長いから、少し話をする事にした。


「スチイ少しお話しようか?」

「はいパパ」

 スチイは一瞬だけ俺に抱きつきスグに離れて隣に寝転がる。

 話が終わるまで抱き付いたままで良いのに、恥ずかしいのだろうか?

 俺が仰向けに成り、スチイを乗せて日光浴をしても良いと思うくらいだ。

 俺は木陰でスチイは体の一部が木陰だが、日光浴状態だ。


「スチイ、神が居る事は話したね」

「はいパパ」


「何故居ると言い切れるか分るかな?」

「神の書やパパの不思議な魔法?」

「そうだね、あたり」

「スチイも早く見たい」

 スチイは目を大きく開き、俺を見つめて来る。可愛い思わず撫でてしまう。


「他に神が創った物がダンジョンなんだ」

「はい」

「だけど、そのダンジョンこそが人が神に愛されていない証拠なんだよ」

「はい?ダンジョンが有るからパパの魔法が使えるんじゃ無いの?」

「良い所に気づいたね」

「はい?」


「確かにダンジョンが無ければ魔法は使えなかった」

「はい」

「だけど魔法が使えても良い事にだけ使う人が居るかな?」

「パパは違うの?」

「パパも絶対とは言えないかな」

「……」


「話を戻すけどギルド長が災害の事を話してたけど覚えてる?」

「うううん、御免なさいパパ」

「いや、大丈夫だ今から教える」

「はいパパ」


「偉い学者さんが調べたら、ダンジョンが出来てからは大災害は急に少なくなったそうだ」

「大災害?」


「山や海、大地が怒って人も動物も木も草も死んでしまう事なんだ」

「山や海や大地が怒るの?」


「そうだね山が怒れば森は燃え家は潰されて」

「海が怒れば船は沈み家も人も水に呑み込まれて消えてしまうんだ」

「大地が怒れば地が割れ木が倒れ家が壊れ火事が起きて山が崩れ落ちるんだ」

「大変な事なんだと思うよパパ」


「そうだね、でもダンジョンが出来てからは急に少なくなったんだ、どう思う?」

「良い事だと思うよパパ」

「そうだね、大災害が少なくなった事は良い事だね」

「はいパパ」


「次にダンジョンが出来た事はどう思う?」

「魔石も取れるしパパの魔法も神の書も良い事だと思う」

「じゃぁ少し訊き方を変えてみようか」

「はい?」

 スチイの言う事も間違えでは無いと思うが、見方の問題だ。


「ダンジョンで死ぬ人とダンジョンが出来る前に大災害で死んでた人とどっちが多いか分るかな?」

「大災害じゃないの?」

「絶対とは言えないけどダンジョンで今まで見かけた死体の数からすると、多分ダンジョンで死んで行く人の数の方が多いんだ」

「そうなの?」


「その中にはスチイ位の子供も居たんだよ」

「……」

「ごめん怖がらせちゃったね」

「うううん、大丈夫だよパパ」

 スチイは俺を見つめて腕を(つか)んできた。スチイの事は俺が守るから怖がる必要は無いのだが。


「大災害では人も動物も、死から逃れようとするから意外と死ぬ人は多くないんだ」

「はい?」

「でもダンジョンでは人は死に向かって行くんだよ」

「なんで?」


「ダンジョンでの死とは魔物だね、人は魔物に向かって行くんだ」

「はい」

「スチイにはダンジョンでは勝てる方法を教えるから良く覚えるんだよ」

「はいパパ」


「話を戻すね」

「はい」

「大災害よりダンジョンの方が人が多く死ぬけどダンジョンが出来て良かったかな?」

「難しいよ、悪い事も有るけど良い事も有るから」


「良い事って何かな?」

「魔石とパパの魔法、スチイの(あざ)を治してくれたから」

「そうだね良い事だね」

「はいパパ」


 スチイが軽く俺に抱き付いてくれる、寝転んだままに抱き付かれると可愛い娘と言うよりは少し妖艶(ようえん)な感じだ。

 スチイの体は少しづつだが肌に張と弾力が増して、会った頃はプニプニだった肌が今では、ピッチピチともプルンとも言った感じで触れる毎に俺を誘惑してくる。

 二の腕でもプルンだ、可愛いお尻がどんな感じか想像してしまう。


 スチイの事を抱き締めてキスしたくなるのを我慢して、気にしない振りをして話を続ける。


「でも、それは神の罠なんだよ」

「どう言う事パパ?」

「ダンジョンに魔石が有ったらスチイは採りに行く?」

「はい」


 そう魔石はダンジョンでしか手に入らない、ジュースやお酒はダンジョン無しでも造れるが、美味しいお酒はダンジョン産だ。

 お酒だけじゃない、ダンジョンにはタバコや薬も有る、薬とは高揚する物や寝ずに仕事が出来るようになる物等、複数有り常習性がある。


「そうだね、その魔石が魔物を倒さないと出ないとしたら頑張って倒す?」

「……倒せるなら」

「そうだね」

「パパ?」

 倒せるなら倒すは普通だが、薬を使用する人は薬が無くなれば強い敵にも向かって行ってしまう。正常な判断が出来なくなるのだろう。

 だから俺は薬は使わないし、スチイにも使わせるつもりは無い。


「だから人はダンジョンに入ってしまうんだ」

「はい?」

「これが神の罠で何人もダンジョンで死に行くんだ」

「神様は、少し意地悪です」


 神の罠はダンジョンの地下だけじゃない、上層階にも娯楽施設なる物が有る。

 子供から大人までダンジョンで取って来た魔石を、娯楽施設につぎ込む。

 今はまだスチイに言う事じゃないから、言わないが危険な罠だ。


「そうだねパパもスチイと同じ事を思ったよ」

「パパ」

「もう少しだから頑張って聞いてくれるかい?」

「はいパパ」


「でも、ダンジョンに入るのは人だけなんだよ」

「はい?」

「ダンジョンに人以外は、入ろうと思わないんだ」

「はい」

「動物も木も草も、魔石や魔法を欲しがらないからね」

「はい」


「欲しがるのは欲深い人だけなんだ」

「……はい、スチイも……」

 スチイは俯いてしまった、欲深いと間接的に言われた様な者だ落ち込むだろう。

 だが言ってる俺もダンジョンに入っているし、欲深い事も否定しない。


「動物も木も草もダンジョンが出来て大災害が少なくなって、死ぬ数が少なくなったんだよ」

「はい」

「ダンジョンが出来てからは人だけが沢山死ぬ様に成ったんだ」

「はい」


「だから人が神に愛されないと言う事が分るね」

「……はい」

「何となくでも分ったかな?」

「はい大体分ったと思うよパパ」

「じゃぁもう少し話すね」

「はいパパ」


「人は欲深いから魔石も魔法も欲しがるんだ」

「はい」

「それと人は醜いから集まると誰かを苛める話も覚えてる?」

「……はい」


「木や草は苛めなんてしないんだ」

「はい」

「動物だって自分の食べる事と、その為の狩の練習以外では狩はしないんだ」

「はい」


「動物は戦う事は有っても苛めたりはしないんだよ」

「はい」


「動物の群れのボスは弱い者を虐げ(しいた)る、力で言う事を聞かせる事、は有るけど、それは苛めじゃないんだ」

「はい?」

「群れを守る為に必要な事で虐げられたくないと思えばボスは何時でも一対一の戦いをしてくれる」

「はい」


「人の様に多人数で一人を苛める事は無いんだよ」

「はい」


「ただし動物の中には特に鳥とか群れの中に危険な病気の者が居ると全員が死んでしまうから、全員で病気の者を殺してしまう事も有るけど必要な事で仕方ない事なんだ」

「はい」


「人だけなんだ意味も理由も無く多人数で一人を苛めるのは」

「はい」

「だから人は醜く神に愛されなかったんだよ」

「……はい」


「スチイには辛い話だったけど分ったかな?」

「はい……大丈夫だよパパ」

「よく我慢したね」

「……パパ」


「神は居るけど、人を愛して無いし少し意地悪だね」

「はいパパ」

「今の話を聞いてダンジョンが少し怖くなったと思うけど今更、入る入らないは聞かないからね」

「パパがダンジョンに入るならスチイも一緒だよ」


「でも、ダンジョン自体が神の罠だから、入る時は絶対に油断してはいけないよ」

「はいパパ」

「良い子だ」

「パパに会えて良かった、会えなかったらスチイはダンジョンで死んでいたと思う」

「パパも可愛いスチイに会えて嬉しいよ」

「……有難うパパ、大好き」

「パパの方こそ有難うだよスチイ」

 スチイは俺の上に覆い被さる様に抱き付いて来る。

 俺は可愛いスチイを時が止まったかの様に抱き締めた。


寝物語ですがダンジョンに関する大切な話なので飛ばして良いとは書けませんでした。

今章は今後も会話シーンが多く描写は少ないです。

少しは小説らしく成る様に頑張るつもりですが期待値を下げて読んで頂けると助かります。

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