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広いお風呂

ここまで読んで頂き有難う御座います。

そして、これからも宜しくお願いします。

 皆が戻るまではお婆さんの家で休ませて貰う事にした。


 お婆さんの家に一緒に行くと、そこは広く犬や鶏が(にわとり)出迎えてくれる。

 裏にはアヒルも居るとの事だが、今は近所にアヒル家族で散歩に出てるらしい。

 アヒルと犬は自由だが鶏は柵の中だそうだ。

 お婆さんが犬に俺達を紹介してくれる、お陰で吠えられずに済む。


「パパ、犬と遊んでも良い?」

「噛(か)まれないかな?」

「大丈夫じゃよ大人しい犬だから」

 お婆さんを見ると「大丈夫」と許可をくれた。


「良いよスチイ遊んでおいで」

「パパ、お婆さん有難う」

 スチイが小さいせいか犬が大きく見える、犬が立ち上がったらスチイと同じ位大きい。口が尖っていて足は長く、白と茶が混じり柔らかそうな長い毛で、頭の良さそうな犬だ。


 雨が降りそうなので馬を、作業場兼倉庫に入れる様に勧められる。

 入ると肥料や飼料に農具が有り、藁(わら)が積み上げられ脱穀の機械らしき物も有る。

 皆が戻ったら村の厩舎に(きゅうしゃ)連れて行くとの事だ、取り合えず鞍を外して桶に水を入れて休ませる。

 鞍の当たっていた部分を擦(さす)りながら調べたが、異常は無く安心した。

 餌も与えたいが厩舎に行くまで我慢してもらう、休み休み草を与えていたから少しは我慢出来るだろう。


「大人しくしていてくれよ」「ヒンッ」

 この馬は人間の言葉が分る様な反応をする、話し掛けると頷き返してくる。


 馬の世話が終わったら今度は自分だ、俺も濡れてしまったから着替えたい。

 招かれて家に入ると小さな馬車なら入るくらい玄関が広く土間に成っている、そこから上がるとスグに居間が有り、中央には囲炉裏(いろり)が、端に掘りコタツが有る。

 配置的に堀コタツは後から作ったのだろう。

 空いてる部屋を借りて着替えさせてもう。


「濡れた服は玄関で干して置くと良いよ」

「有難う御座います」

 会ったばかりの俺達に、お婆さんは親切にしてくれる。


 着替えて居間に行くとスチイがお茶を飲んでいるが、帽子は被ったままだ。

 俺はスチイの隣に座り、少し迷ったが「帽子を取るように」小声で言う、「小さな村だし何か有ってもパパが守る」と。スチイは素直に帽子を外してくれたので頭を撫でながら褒める。


「ただいま戻ったぞ」

「お帰りなさい」

「「お邪魔してます」」

 休んでいると、びしょ濡れお爺さんが帰って来た。

 お婆さんが「風呂も温まる頃じゃよ」と言いお爺さんを風呂に行かせた。


 風呂から上がったお爺さんに、風呂を勧められるが、スチイが入ったらぬるくなってしまう、お婆さんの後に入らせてもらう事にした。


「お風呂、頂きます」

「お風呂、いただきます?」

「はい、ゆっくりしてね」

 スチイは少し疑問系だったが、挨拶出来たし一緒に風呂へ向かう。

 何時もと勝手が違うが、全てが広く脱衣所も二人一緒に着替えても余裕が有る。

 今日は、よそ様の家だ時間を掛けずにスチイの服は一気に脱がせてしまう。

 スチイが驚いた様に目を丸くしている間に、自分の服も脱ぎ風呂へ向かう。

 風呂も広いが基本的な造りは一緒だ、使い方は分る。


 何時もの様にスチイの体を洗い始める。

「スチイ、体を洗って貰うのは気持ち良いかい?」

「はい、パパに洗って貰うの大好き」

 スチイは良い子だ、裸のまま後ろから抱き締めてしまう。


「スチイが気持ち良いのと一緒で、お馬さんも洗われると気持ち良いんだよ」

「そうなのパパ?」

 俺も馬と話が出来るわけじゃないが多分だが間違えない。


「そうだよ、だから今度一緒に洗ってあげようね」

「はいパパ」

 スチイの体を洗いながら湯船に水を入れスチイの好みにした。

 先にスチイを湯船に入れてから、自分の体を洗う。


 今日のお風呂は広いから、向かい合い足を交互に重ねるがスチイには少し深いだろうか、お尻を着けると首まで浸かってしまう。


 スチイは長風呂だから少し話をする。今日は何の話にするか?

「スチイ少しお話しようか?」

「はい、でもチョット待っててパパ」

 スチイは「待って」と言いながら、モゾモゾと俺の方へ体を寄せて来た、何時もの様に膝(ひざ)に乗りスチイの背中と俺の胸が重なる。


「良いよパパ」

 顔だけ後ろに向けて可愛い笑顔で言われると怒れなくなってしまう。

 スチイを優しく包み込む様に抱いて話し始める。


「スチイは神が居ると思うかい?」

「パパに会うまでは信じていなかったけど、今は少しだけ信じられる」


「そうか良い子だね、でもスチイがパパに会えたのは神のお陰じゃないんだ」

「そうなの?」


「パパに会えたのはスチイが頑張ったからなんだよ」

「スチイが?」


「スチイ、ある人が『冒険者の話をした後からスチイの様子が変った』って言ったんだ、スチイが冒険者に成ろうと何かしようと頑張ったからパパの所に話が来たんだよ」

「はい?」


「スチイはダンジョンにも行こうとした事もあったんだろう?」

「……はい」

 ダンジョンに入ろうとして注意されたのだろう、スチイは俯いてしまう。


「その頑張りを聞いてパパはスチイに会おうと思ったんだよ」

「ありがとうパパ」

 スチイは俺の肩にに頬を当てて来る。少しは安心したようだ。


「スチイが冒険者に成ろうと頑張らなければ、スチイがダンジョンに行こうと頑張らなければ、スチイとパパは会えなかったんだよ」

「はい」


「頑張る事だけが全てでは無いけど、頑張る事で未来も力も手にする事も出来るんだ」

「はいパパ」


「スチイ以外にもパパは知っているよ、頑張った事で死に行く未来を生きる未来へと変えた人をね」

「はい?」


「でもね頑張りだけではどうにも成らない事も有るけどね」

「……パパ?」


「例えば人は、どれだけ頑張っても神には絶対に敵わないんだ」

「はい」


「スチイがね、そんな頂に(いただき)一人で立ち、絶望しても、今度は違う事に頑張る力を使って欲しいんだよ」

「……」


「今は分らなくても良い、その時が来たら分るからね」

「はいパパ」


「もし絶望したら、それまで頑張る事に使っていた力を人を助けたり幸せにする事に使って欲しい、そしたらきっとスチイに新しい幸せが訪れるから」

「良く分んないけどそうするね、パパ」

 微笑みながら答えてくるスチイの頭を撫でる。可愛い抱き締めたい。


「スチイ……」

「どうしたのパパ?」

 スチイに声を掛けるも、お願いしようかどうしようか迷ってしまう。


「スチイお願いが有るんだが聞いてくれるかい?」

「なにパパ?」

 無理かなぁ「良いよパパ」と言ってくれる事を期待したのだが微妙だ。


「スチイ体ごとパパの方を向いてくれるかい?」

「良いよパパ」

 スチイはモゾモゾと俺の膝の上で回り、俺の大事な物を踏んでゆく、痛い気持も良いが痛い、向き合ったスチイの顔を良く見た後に抱き締めた。

 スチイは俺の体に足をでしがみ付いて、手は首に回される。

 広いお風呂じゃないと出来ない格好だ、スチイと抱き合ってお風呂なんて最高に幸せだ。

 十分にスチイを堪能してから風呂から上がる。


 脱衣所にはバスタオルと浴衣が用意されている、ありがたく借りる。

 バスタオルでスチイの体の隅々まで丁寧に拭いてゆく。バスタオル越しだが柔らかい感触が伝わってくる。とても幸せで良い触り心地だ。


 今日は脱衣所が広いから方膝をついて、反対の太腿(ふともも)の上にスチイを座らせて下着を着けるように言う。

 スチイのお尻が俺の太腿の上に直に乗っている。柔らかく温かい幸せな感触だ。

 俺がスチイの体を支え、スチイは足を上げてバタバタと、両手で下着を履いてゆく。可愛い。


 スチイに浴衣を着せる、白地に青の花柄の浴衣にスチイの金髪が映える。

 今のスチイは髪が短いから良いが、髪を伸ばしたスチイが浴衣を着たら自分を抑えられる気がしない。


 スチイと二人、浴衣を着て居間へ行く。

「「有難う御座います、良いお湯でした」」

「どういたしまして」

 脱衣所で練習して、スチイと声を揃えてお礼を言った。


「二人で一緒にお風呂に入ったのね?」

「はい何時も一緒だよねパパ」

 お婆さんの質問に、スチイは俺を見上げながら同意を求めて来た。が俺は恥ずかしく成ってしまい、スチイの頭を撫でて笑顔で答えるので精一杯だった。


「いいわねぇ」

「はい」「ええ幸せです」

 スチイは「はい」と答え俺もスチイとのお風呂の感想を、端的に素直に答えた。


「今から村長の家に行くので馬も連れて行きましょう」

「はい宜しくお願いします」

 お爺さんが村長の家に連れて行ってくれるらしい。

 お爺さんと馬の居る作業場兼倉庫へ入ると馬は横になって寝ている。

 それだけじゃない、藁が馬の下に敷き詰められている、誰かが敷いてくれたのだろうか?馬を繋いでいる紐も解かれている。


「藁が敷かれてますがお爺さんが?」

「いや違いますじゃな誰が?」


 何か嫌な予感しかしない、答えるとは思わないが一応馬に聞いてみる。

「もしかして自分で藁を敷いたのか?」「ヒンッ」

 馬は目を開けて器用にも横に成ったまま一つ頷いた。


「ココが気に入ったのか?」「ヒンッ」

 また一つ頷く。


「厩舎が有るらしいから、移動しようか?」「ブルルッ」

 今度は一度首を横に振り、鼻を鳴らす。何とも我儘(わがまま)な、だいたい俺の言ってる事を理解しているのか?


「気に入ったのなら、かまわんよ餌だけ貰って来ようか」

「本当にすみません」

 俺は何度も頭を下げてお爺さんと餌を貰いに行き、馬に干草を大量に与えた。

 紐も外れてしまっているし、ハミも手綱も外してやる。扉が有るから逃げ出さないだろう。扉を閉めて外から閂を(かんぬき)をかける。


 戻ってくるとスチイがアヒルと遊んでいる、アヒルは夕方には戻ってくるらしい。

 スチイも色々な動物に会えて楽しいのだろう、一緒に旅に出て良かったと思う。


 雨が少し降り出して来たが、村長の家で夕食が振舞われるとの事で、三度笠を持ち俺達四人と犬も連れて村長の家に向かう。可哀想だがアヒルはお留守番らしい。


村長の家に夕食を頂に行きます。

我侭な馬を残して来て平気だろうか?何も無ければいいのですが不安です。


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