ギルド長との話し
ギルド長との話し合いです。良い情報が有るといいのですが。
スチイと楽しんだ後は、家を出て朝食を買いながら冒険者ギルドに向かう。
始めにパン屋へ向かいサンドイッチを多めに買う、中身を聞き魚介類の入って無いハムと卵と野菜の挟まれた物を数種類、選ぶ。
次にお惣菜屋に寄りスチイに好きな物を選ばせる、スチイはワカメやヒジキ等、海藻類を味付けの違う数種類を選んだ。
お惣菜は竹の葉に包まれ楊枝も添えられている。
冒険者ギルドに顔を出し、受付の女性に話しかける。
「ギルド長は居るかい?」
「今確認します」
「ありがとう」
「どうぞ上へおあがり下さい」
「ありがとう」
すぐにギルド長室へと通され、俺はスチイに目をやり口には出さず暗に『子供が居るから』と、ジュースを頼んだ。
「おはよう」
「「おはよう」ございます」
軽く挨拶を交わしながら、ソファーに座る。
「毎日のように、すまないな」
「あぁ」
ノックの音がしてから扉が開き誰か入ってきた。
「お茶をお持ちいたしました」
「「「ありがとう」」ございます」
俺とギルド長にはお茶でスチイだけジュースだ、俺にもジュースが欲しかった。
買ってきた朝食を広げ全て中身を確認した、サンドイッチは一度開き、お惣菜は楊枝でほぐす様に、魚介類が入ってない事を確かめてからスチイに渡し、俺も貰う。
「スチイ食べよう」
「「頂きます」」
ギルド長にもお惣菜をお茶請けに少し差し出す。
行儀が悪いが、俺は食べながらギルド長と話をする。
「食べながらで悪い、昨日の今日だ期待はしてないが何か分ったか?」
「期待してないんだな?」
何か出たらしい裏返しの返事だろう。
「いや期待してるぞ」
「はぁまあいい」
だんだんワクワクしてくる。
「まず、養子にするには領主や大貴族なら即日、大商人やギルド幹部で三ヶ月、一般が半年から一年は掛かるそうだ」
「……意外と掛かるな二、三日かと思ってた、ギルド長、今日から大貴族に成ってくれ」
「無茶言うな」
冗談を言ってみたが力のない返事が返ってきた。
「次に丁稚奉公は通いだけで住み込みは無しだそうだ、孤児院の子は」
「おい、何か手は有ったんだよな?」
何だか雲行きが怪しくなってきたな。
「……要人の件だが情報を集めようとしただけで疑われるそうだ」
「お、おう、そう言う物か?」
かなり厳しいな要人の裏事情を餌とか交渉材料か脅しのネタにしたかったが。
「災害の件な、学者の話ではダンジョンが出来てからは大災害は急に少なくなったそうだ」
「お、おい、何か良いネタを掴んだんだよな?」
おいおい頼むぞどうでもいい話より先にネタを言えと言いたい引っ張りすぎだ。
「昨日、調べた限りでは以上だ」
「はぁ? 始めの期待させる言い方は何だったんだ? これじゃ帰れねえぞ!」
「すまん、ワシもあまり危険は侵せん」
なにを言ってるこいつは保身に走りやがって、だから地位のある奴は……。
始めの振りは期待してないなら良いだろうっていう意味だったか、紛らわしい。
「じゃあ夕方までに要人のリストでも貰えるか?」
「それならスグに出せる、要人の裏事情を調べようとして作ったからな」
「助かる」
少しは動こうとはしていたか。俺は色々な意味で疲れてソファーにもたれ掛る。
「これがそうだが何するつもりか先に言ってくれ」
「あぁ自分で裏事情を探るだけだ」
他に何が有ると言うんだ?要人誘拐でもしろと言いたいのか?
ギルド長は一枚の紙を俺に差し出してくる、たったの一枚か。
「話を聞いていたか? 調べようとしただけで疑われる、特にお前は誘拐犯だから下手したら国家反逆罪だ」
「はぁ? 何言いやがる、本人の了承を得て連れてくる事の何処が誘拐だ? 俺が誘拐犯ならお前だって共犯だからな!」
まずいスチイを怖がらせてしまった、少し縮こまってしまった。
「落ち着け、あまり無茶はするな」
「ああ悪い、心配してくれてるのは分ってるがスチイの方が心配なんだ」
少し落ち着かないとな、自分とスチイを落ち着かせる為にスチイを抱き寄せ、お茶を口にしながらリストを眺める。
お茶の味も香りも良く分らないが、抱き寄せたスチイは嫌がりもせず俺に体を預けてくれる。それだけで俺の心は落ち着く、俺の天使だ。
「おい! リストにエルフの長とか入ってるが此処でも通用するのか?」
「ああ多分だがエルフの長なら何処へ行っても通用する筈だ」
おいおい良いもの見つけた人間族にも干渉出来る程か。
スチイを驚かせてしまったようだ、目を丸くして俺の顔を見上げている。まだ食事の途中らしいスチイを解放する。
「少し良い事を思いついたリストは返す」
「おい、何する気だ? エルフの長が知り合いとか言わないよな?」
「勘が良いな、くくくく」
「下手な冗談はよせ、有り得ないだろう人間族のおまえが?」
くくくく、笑いが止められん悩んでたのが馬鹿らしい、でも領主より力が有るのか? 浮かれすぎだ力関係を調べなきゃ。
「悪い浮かれすぎた、此処の領主もダンジョン持ちで重鎮の筈だがどっちが上だ?」
「世界には各種族の長が集まる会議も有るんだが、エルフの長は出れるが領主程度では出られない」
そんな会議が有るのか? 不仲の種族も居るだろうに?
「此処の領主を抑えられそうか?」
「長の集まる会議で人間族だけが王様で他は族長だが、円卓の会議で基本的には上下は無い筈だ」
「うん?」
権力の力関係は分らん大人しく聞くしかない、ただ力を力で捻じ伏せたいだけだ。
「族長が集まる会議だから、族長会議と言うが、上下関係は無いとは言え、ある程度は年齢が重視されている」
「おう」
年齢ならエルフは負けない筈だ。
「エルフの長には人間の王様でも適わないと思うが……もう、会議に出ずに代理だった筈だ」
「ああ」
分かる病欠だな、でも大丈夫だ権力さえ有ればこっちのもんだ。
「ありがとうな、恩に着る」
「あ、ああ?」
あっと連絡に時間がかかるか?
「っともう一つ良いか?」
「なんだ?」
「明日にでもエルフ族に早馬を出してくれ、手紙は用意する」
「構わんが……入れるのか?」
あ~その問題も有ったか。
「それもエルフ族に聞いて何とかする」
「スナックのママか?」
「ああ色々世話に成ってる贔屓にしてやってくれ」
「わかった」
後は時間だな、金は何とか成るだろう。
「エルフ族に早馬で行って帰ってこいの最速でどれくらいかかる?」
「どう頑張っても一週間以上だとは思うが、エルフ族なんて入れない所に行った奴が居ないからどれ程かかるか分らんぞ」
成る程、確かに入れない地へ行く馬鹿は居ないな。
「何日掛かっても大丈夫だ、その間ギルド長が司祭も領主も抑えてくれれば」
「おい!押し付けるな、全然大丈夫じゃねぇ」
共犯の癖に肝っ玉が小さいな、殺されない限りはエルフの長に頼めば牢屋の錠も開くだろうに。
「分った自分でも何とかする、神の僕に力を振るう訳には行かないが、兵隊くらいなら痛い目に合わせてやる」
「街中での武器の使用は公的任務者だけだ、それ以外は禁止だ、破ったらお前を捕まえなきゃ成らなくなる」
確かに共犯者が敵になるのは痛いな。
「大丈夫だ、その時はお前の兵隊にも稽古を付けてやる、くくくく」
「もういい無茶だけは勘弁してくれ」
なげたな、まあいい次だ。
「早馬の代金が分ったら教えてくれ俺が半分出してやる」
「残り半分は達成報酬ってことか?」
「違うな、半分はお前持ちだな」
「いや、まてまて幾ら掛かると思ってるんだ?」
おいおいその幾ら掛かるか分らない様な金を俺だけに払わせる気なのか?
「いくら掛かるんだ?」
「上位の冒険者か兵隊を四、五人と騎士が使うような最高の馬を六、七頭と宿代やら食費と馬の世話代やら消耗品、その他こまごまと有る、最低でも家が買える位だ、上限は予想できん」
「安くならないのか?」
家が買える程とは、兵隊と馬が高いのは分かるが。
「最速でなければ兵隊二名と駄馬二頭で格安で出すぞ」
「そんな事なら俺がスチイを連れて行ってくる!」
お! 自分で何となく口を突いて出た言葉が名案じゃないか。
「おい! 逃げる気か?」
「そうじゃない俺が消えた方が、お前にも迷惑かけないし皆が丸く収まる」
「確かにノーバンが居ない方が良い事もあるか?」
スチイを見てみるが何も気にしてない様子だ、大人しく食事している。
「それで良いなら頑丈な馬に、貴族用の尻が痛くならない二人乗りの鞍を着けて一頭、用意してくれ」
「それくらい、ん? 貴族用?」
「頼むスチイの事を考えて出来るだけ痛くならない物を用意してくれ、他は自分で旅路に用意する」
やる事が見えたら気持ちが楽になった。
「今日は色々準備と挨拶に行くから、明日の朝から昼位に出発したい」
「馬と鞍代は、買取値で置いていけ」
おいおい何か変な事言って来たな面倒な。
「そこは『可愛いスチイちゃんに、おじさんからのプレゼントだよ』って言うところだろう?」
「安くは無いんだ言えないだろう!」
ケチめ、何時も俺から税金を取って儲かってるくせに、まっ税金は更に上に取られんだろうけど。
「ノーバン半分で良いから置いて行け」
「全然分ってねぇじゃねぇか!」
「下手したら馬を使い潰して馬も蔵も帰って来ないだろう?」
あ~そういう心配をしての買取価格か保証金だな、何馬鹿な事を言ってると思ってた。
「分ったそれで良い、でも潰れたら馬を選んだ奴に文句を言ってくれ」
「わかった、わかった」
「色々と助かった、スチイも嬉しいよな?」
「はい、有難うございます、ギルド長様」
正直、話の内容なんて半分も分って無いだろうに、空気の読める良い子だ。
「何時でも冒険者ギルドに遊びにおいで」
「はい」
「その言葉、俺とスチイに言ってくれたんだよな?」
「……あぁ」
威圧して問いかけたら苦い顔で返事が返ってきた、そういう事かよ贔屓だ!
「じゃそうさせて貰う、じゃまた明日な」
「ありがとう御座いました」
「また明日なスチイちゃん」
やっぱり贔屓してやがる色目使いやがって、今は俺の子も同然なんだぞと。
挨拶して冒険者ギルド長室を出る。思いの他、時間をくったが大きい収穫だ。
「スチイ少しダンジョンに入ってみようか?」
「はいパパ」
俺はスチイを連れてダンジョンへ入る事にした。
ほぼ会話だけの文章で「こんなの小説じゃない」とか言われそうですね。
でも、中年男性二人の会話では筆が進みません。相手が女性なら少しは書けるですが。言い訳ですはい。
次話は少しだけダンジョンに入ります。チョッとだけ。




