一緒
まだ、お風呂に入ってます。
スチイはとても長風呂のようです。
スチイと一緒に湯船に浸った俺は、スチイを守るように優しく包み込んだ。
黙って入っているのも良いが何か話をしようと思う、ただスチイは孤児院に居た子でしかも苛めにも合っていた子だ、孤児院や昔の話、親の話も聞けないだろう。
「スチイ少し話をしようか」
「はい」
「スチイは雨男とか雨女って聞いたことあるか?」
「無いです」
「だろうな、雨男も雨女も、その人が旅や花見に行くと必ず雨になるんだ」
「そんな人も居るんですね?」
「実際には違うがそう言われる人って事だな」
「そうですか」
「スチイと同じなんだ実際は違うが栄えた町では、そう思われただけで苛められる、スチイも吸血鬼じゃないだろう?」
「はい」
「雨男が来ると花見が雨に成るから来るなと言われ、行けば石を投げられてしまうんだ」
「……」
「でも逆に雨男が本当に居たら、小さな村や農家の人にとっては神様なんだ」
「はい?」
「農家は毎年、毎日、天気を気にしている、雨が少なく作物が採れない年も有るが、雨男が居たら天気を気にする事無く毎年豊作、作物でいっぱいに出来るんだ」
「はい?」
「雨を降らせたいと思えば、雨男と花見をすれば良いのだから」
「はい」
「吸血鬼も本当に居たらそれこそ神にも成れるんだ、何と言っても不老不死だからな」
「……」
「吸血鬼も栄えた町では雨男と同じで苛められるが、雨男が農家の神様に成れるのと同じように、吸血鬼にも神様に成れる場所が有るんだ」
「はい? 何処でしょうか?」
スチイは首を回し顔だけ後ろを向き俺を見つめて来た。
「今スチイの居る場所がそうなんだ」
「はい?」
「吸血鬼もスチイも俺にしてみたら神様なんだ、一生の平穏、幸せな日々が訪れるって事では、農家での雨男と一緒だな」
「はい?」
「俺は一生若くて綺麗な人が居るなら結婚したいと思ってる、長生きのエルフ族が希望には近いが美しさでは吸血鬼には適わない、スチイは不老不死では無いがその美しさだけは備えているんだ、月の光のような金色の髪に、夕日のような赤い目、その月と太陽、両方を兼ね備えたスチイだからこそ美しいんだ、まさに俺の好みなんだ」
「……とても……嬉しいです」
「だから何時までも此処に居て良いから安心しなさい」
「ありがとう、パパ……だぁぁい好き」
スチイは「大好き」と言った後、首を戻し前を向いて、俺の手を取り自分の頬に当てている。
俺はスチイの気が済むまで一緒に湯船に浸っていた。
「パパ、そろそろ上がろう」
「そうだな」
俺はスチイを持ち上げて湯船から出してから、自分も出た。
持っているタオルを何度か絞りながらスチイの体を拭い、自分の体も拭いてから脱衣所へ向かった。
脱衣所の乾いたバスタオルで再度スチイの体を拭い、頭もワシャワシャと水気を飛ばす様に拭いた。
スチイは下着も部屋着も自分の部屋に仕舞ったまま持って来ていなかったので、バスタオルを巻いて部屋で着替える様に言い、脱衣所の外に送り出した。
俺も自分の体を拭いながら自分の体が、ふやけている事に気付いた、スチイを拭いている時には気付かなかった。スチイに聞いて湯船に少し塩を入れた方が良いだろうか?
少し考え込んでしまったが急いで着替えて、台所へと向かった。
台所でコップを軽く水ですすぎ、水とオレンジの魔石も持って居間へと向かった。
コップにオレンジジュースを二つ用意して、スチイが着替え終わるのを楽しみに待つ。
スチイが着替えて居間に歩いて来た、今日は少し淡い肌色に近い黄色の生地に、柔らかい桃色の星が散りばめられたデザインの部屋着を着て来た。
「スチイ可愛いな、座る前にクルリと回ってくれないか」
「はいパパ……少し待ってね」
そう言うとスチイはゆっくりと俺の座るコタツの周りを歩き、俺は体ごと目で追ってしまう、スチイは俺の正面まで歩き、その場で二度ゆっくりと回ってくれた。
俺は飛び付いて抱き締めたくなるのを我慢して、スチイに『カワイイ』と良いながら拍手した。
スチイは顔を赤くしながら、俺の対面ではなく膝の間に座り込んでくる。
俺は左手でスチイのお腹を軽く押さえ、右手でオレンジジュースを二つ引き寄せて、一つをスチイに勧め一つは自分で飲んだ。
「スチイ可愛い部屋着姿を見せてくれて有難う」
「パパ嬉しい?」
スチイは股の間から俺の顔を見上げながら聞いてきた。
「とっても嬉しいよ」
俺は軽くスチイの頭を撫でた。
ジュースを飲みながら休み、頃合をみてスチイにお願いしてみる。
「スチイ疲れて無かったら少し肩を揉んでくれないかな?」
「いいよパパ」
スチイの「パパ」呼びが段々と自然に成ってきた気がする。
スチイは立ち上がり俺の背中に立ち小さな手でゆっくりと揉み始めてくれた。
スチイの手は気持ち良い、が擽ったい、俺は肩は凝る方では無いがスチイに揉んでほしかっただけだ。
「スチイは肩揉みが上手だなぁ気持ち良いよ……出来ればもう少し強く揉んでくれるか」
「はいパパ、頑張る」
スチイはまだ小さい、「頑張る」と言い強く揉んでくれているが徐々に弱くなって来た。
「スチイ疲れたか?」
「そんなこと無いよ大丈夫」
スチイはまた力強く揉んでくれる。がスグに弱くなる、俺の為にと頑張ってくれているだろうスチイでも限界みたいだ。
「ありがとうスチイ気持ち良かったよ、少し休んだら次は叩いてくれるか?」
「はいパパ」
スチイは返事をしながら俺の背中に抱き着き休み始めた様だ。
俺の背中に柔らかい物が当たっている、胸では無くスチイの頬だろう。
少ししてスチイは立ち上がりテンポ良く肩を叩いてくれる。
「気持ち良いよスチイ……、少し強めに叩いてくれるかな」
「はいパパ」
疲れるだろうに頑張って叩いてくれている。揉まれていた時程では無いが少し擽ったい。
先程の揉んで貰った時より長い時間叩いてくれた。
「スチイ有難う、気持ち良かったし肩も軽くなった止めにして良いよ」
「はいパパ」
俺は体を横に向けてスチイの手を引き自分に引き寄せて、股の間にスチイを座らせる。
軽くスチイの頭を撫でてから、スチイの指、手、腕、二の腕とマッサージした。
スチイの指や手は小さく可愛くて、腕や二の腕はプニプニと柔らかい。マッサージしている俺の方が触り心地的に気持ち良い。
スチイに肩を揉んで叩いて貰い分かった事が有る、見た目以上に力が強い事だ。
握力も叩く力も強かった、持続力は少し短いがまだ小さいからだろう。
十分以上にダンジョンで魔物を狩る事が出来そうで安心した。
「スチイ、そろそろ寝ようか?」
「はい」
スチイに声を掛けてから布団をひいた。スチイ用の布団を買う時間が無かったから、今夜も俺は座布団と毛布を自分用に寝床として用意した。
「スチイ、おやすみなさい」
「パパ、おやすみなさい」
スチイを布団に寝かせてから俺は自分の寝床に入った。
「パパ、そこで寝るの?」
「うん、そうだよ大丈夫、気持ち良いんだ」
気持ち良いは嘘だ座布団が薄く背中に硬い感触があるが、スチイに気を使わせたくは無い。
スチイはしばらく黙って俺を見つめていたが、俺の方に手を伸ばしてきた。
「パパ一緒に寝よう」
「うぅん、パパと一緒だとスチイが寝難いだろう」
「そんな事無いよスチイはパパと一緒に寝たいの」
「ありがとうスチイ、一緒に寝させて貰うよ」
「スチイも嬉しい」
俺に気を遣ってくれたのだろうスチイは優しい子だ。
俺はスチイの寝ている布団に一緒に入り寝る事にする。
スチイは俺の腕を抱え込むようにして寝てしまった。
スチイの寝顔を見て、そっとキスしたくなったが我慢する。
俺もスチイの体に優しく触れながら眠りに就いた。
今回は問題も多い所ですが頑張った結果です。
風呂の途中から始まり、その直後から寝物語の様な話が展開し、
文字数も少し少なかったような気がします。
話は変わりますが、一見スチイが主人公に甘えている様な気がしますが、主人公の方もスチイに甘えている部分も多いです。
仲が良いような気がしますね。




