ドレス
商家の冒険者に会います。
昼前には四階層の安全地帯へと戻って来た。
時間までに三人に事情を説明した。
シイに小さな商家の専属鍛冶師として武器を作ってもらう事。シイの作った武器の試し切りにテイビトとマエコちゃんに協力してほしい等。
「シイ、無理にとは言わないが、今シイの付き合いが有る商家よりは良いと思うし、契約には俺も立ち会う」
「アタシに異論はないよ」
「テイビトとマエコちゃんには利がどの程度か分からないが引き受けてもらえるだろうか?」
「はいお受けいたします」「おう」
昼に待ち合わせをした冒険者が現れた。
「ようノーバン」
「悪いな、昼休みに」
冒険者と軽く挨拶をする。
「紹介するよ。ドワーフで鍛冶師のシイと、冒険者のテイビトとマエコちゃんだ」
「「「よろしく」お願いします」」
「よろしく」
紹介が済んだ。三人とも若いが、冒険者は特に気にした様子も無く普通に挨拶した。
「内容は各々伝えてあるから、今日は顔合わせだな」
「「はい」」「おう」
三人とも理解しているようだ、が冒険者は俺達の武器に目が行っている。
「ノーバン、シイの打った武器が有るなら見せてくれ」
「ああ、これがそうだ」
冒険者は鍛冶師の腕が知りたいのか、ドワーフの打った武器が気になるのか分らないが、見せるくらいはと思い、俺は両手剣を差し出した。
冒険者は両手剣を受け取り、色々な角度から見たり、手で叩いたりしていたが、素振りまで始めてしまった。目が本気になっている気がする。
「いい両手剣だ。重さもバランスも、音も良い、一度試し切りして良ければ買ってやる」
「無理だな。俺が予約済みだ」
素振りし始めた辺りから目がやばかった。気に入ったらしいが売約済みだ。
俺が買うと言ったら、口を開けたまま暫し固まっていた。
「ノーバンが認めた品か……、なら少しの間だけで良い、貸してくれ」
「シイの見た目で剣を甘く見ると、自分も仲間も傷付ける事になるぞ」
「気を付けるから、貸してくれ」
目を閉じて、いや片方は薄目で見ながら、手を合わせてお願いして来た。
「シイ、両手剣を貸しても良いか?」
「アタシは構わないよ。それで評価してもらえるなら早い」
俺が買い取るとは言え、シイに確認した方が良いような気がしたが、シイは意外と冷静な判断をしていた。
「ちなみにテイビトが其の剣で熊を真っ二つにして見せたぞ。防御した腕ごとな」
「ノーバンなら分るが、テイビトはまだ若いよな」
冒険者は剣とテイビトを交互に見てから、品定めをするようにテイビトを見ていた。
「テイビトも剣の扱いの筋は良い、が今は少し筋力は足りていないのと経験が少ない感じか、良い冒険者になる……死ななければな」
「おい!」
「ははは、成程な。色々良い人材を囲ってる訳か」
テイビトは俺の最後の言葉に反応したようだが、冒険者にはテイビトの良さも伝わった様だ。
「取り合えず剣は少しの間貸すが、後で使い勝手を聞かせてくれ」
「分ったよノーバン、それじゃまたな」
「「またよろしくお願いします」」「おう」
冒険者は早く両手剣を使いたいのか、勝手に話を斬って終わらせ別れの挨拶して来た。
仕方なく挨拶をして冒険者とは別れた。
「俺とシイは先程の冒険者の雇い主の商家にも挨拶に行くから今日はお別れだ。またな二人とも」
「有難う御座いました」「おう」
テイビトとマエコちゃんとも別れた。
「シイ、まだ食事処が混んでる時間だから、シャワールームで汗を流してから出よう」
「かまわないが、出口に五十分後位の待ち合わせにしてくれ」
「じゃあその頃また」
風呂じゃなくシャワーで五十分かぁ、小さく見えても女性って事だな。
一部有料だが、ダンジョンの安全地帯の施設には色々有って便利だ。
出口でシイと待ち合わせて、食事処へと向い歩き出した。
隣を歩くシイからは良い香りがした。二度三度と見てしまった。
「何か変か?」
「いや可愛いよ。シャワー上がりのシイに欲情した訳じゃないから気にするな」
「あはは、そう言う事かい……くくく」
シイは笑って答えて来たが、分ってるのだろうか?
シイが笑い止まないから、シイの手を掴んで早歩きに食事処へ歩いた。
「よう店主頼む」
「いらっしゃい」
店主に挨拶してシイを席に案内して椅子を軽く引き座らせ、俺は向いに座る。
「今日は依頼の最終日だから、特別メニューを注文してある」
「ありがとう、でも逆じゃないかい? アタシが用意するものじゃ……」
「まあ気にするな」
店主が料理をテーブルに並べる、厚手のナプキンも説明して置いていく。
メインは肉厚のステーキで、今日はすでにナイフを入れてある。食べるだけだ。
「食べよう」
「「いただきます」」
旨い物を食べると、つい無言になってしまう。
「シイのシャワー上がりの良い香りが、ステーキの香りに成っちゃうな。それはそれで美味しそうか?」
「何わかんない事を言ってるんだ?」
シイは分からないと言いつつ、顔を赤くしている。可愛い。
店主のお陰で、楽しく美味しい食事が出来た。
少し休んでから精算して店を出た。
食事の後に着替になってしまうが、高級服店へと向かった。
「お待ちしておりました」
「「こんにちは」」
挨拶して早速シイを着替えさせてもらった。
着替えだけの筈だが、意外と時間がかかる、覗きたいと思ってしまうほど待った。
「お待たせしました」
「どうかなノーバン?」
「凄く可愛いし大人っぽさも有る。シイ、良く似合ってるよ」
シイは中に白いブラウスを着ていて襟元に見えている。その上に水色と白のフリフリのドレスを着て胸と腰から薄い薄いピンクで無地の布を巻いていた。
頭の後ろには大きめのリボン、紅も持って来ていたようで引き直していた。
「かわいい」
俺は少し屈み、気付いた時にはシイを抱き締めていた。
もう、五十歩百歩だと思い、抱き締めたままシイの頭も撫で回した。
シイは何も言わずされるがままだ。が、店長が止めに入ってきた。
「お客様、そろそろ宜しいでしょうか」
「あ、ああ、シイがあまりにも可愛くてつい……すまない」
名残惜しいがシイを解放し、髪とリボンを直した。
シイを可愛くしてくれた事に、店長に礼を言って店を出た。
シイの着ていた服は俺が預かって持っている。こっそり香りを嗅いでみたい物だ。
店を出た俺はシイの右側に立ち左手を差し出した。が、シイは首を傾げている。
俺はシイの右手を取り自分の左手に乗せ軽く握り、手を下げずに腰に固定して自分の掌は上向きにシイの手を乗せた状態で歩き出す。
今朝、挨拶しに行った商家へと向かった。
「こんにちは、まだ早いがオーナーと約束をしたノーバンだ。取次ぎを頼む」
「はい少々お待ちください」
今度はすぐオーナーに会えた。まだ時間には早いが良いだろう。
「「こんにちは」」
「ようこそいらっしゃい」
「こちらが商家のオーナーで、俺の隣に居るのが鍛冶師のシイだ」
「「宜しくお願いします」」
「今朝、ノーバン様から話は伺っております。可愛いお嬢様、いえ、とても綺麗な女性ですね」
「有難うございます」
商家のくせに言い直すのが遅い、子どもに言う言葉が漏れてる。
「先に言って置かねばならないが、シイの造った両手剣を貴方の所の冒険者に一日貸してある」
「それは鍛冶師としての技量を見るに丁度良いですな。冒険者の意見を聞いてから契約内容を考えましょう」
あれ、今日の内に契約したかったのだが、技量も分らず契約は難しいか。
「その時は俺も立ち会うが、それで頼む。シイも良いな?」
「はい、宜しくお願いします」
「その前に現状の確認をしましょう」
「はい?」
シイの現状を知りたいと商家が言い、シイと今付き合いの有る商家との契約がズサンで、正式に書面契約されていない事、何の拘束力も無いが、シイに不利な条件等、書面契約がない以上、実質現在のシイがフリーである事が確認できた。
住んでいる所もシイが自分で商業ギルドで契約して借りた物らしい。
やはり商家の事は商家に任せるのが一番の様である。俺では分からない事も多くある。
俺は少し思う所が有り、紙の束と鉛筆を数本、商家に売ってもらった。
「色々迷惑掛けるな。明後日の木曜日の午後にまたシイと一緒に来る」
「わかった。待ってるよ」
「失礼しました」
色々と話をして挨拶して出てきた時には日が傾き始めていた。
急いで商業ギルドに向かい、俺は預けてある大金の一部を引き出した。
何のお金かシイも分っているだろう。シイの家に向かった。
「上がってくれ」
「おじゃまします」
「シイ、両手剣のお金だ。受け取ってくれ」
「こんなに沢山かい?」
「ああ、これでも少し安いくらいかもしれん」
「そうか、ありがとう」
シイの家に上がり、早速シイに両手剣のお金を払った。シイは複雑そうな顔をして、何度も俺とお金を交互に見ている。服屋で着替えたシイの服も渡した。
「シイ、言い難いんだが……いいか?」
「なにがだい?」
「報酬を受け取りたいんだが、シイの服を俺が脱がせても良いか?」
「かまわないよ」
「本当に良いのか?」
「いいよ」
「ありがとうシイ、大好きだよ」
俺はシイの同意を得て服を脱がしてゆく。シイの体に触れながら、ゆっくりと一枚づつ脱がせていった。
シイは手を上げてと言えば上げてくれる。生きた着せ替え人形だ。しかも温もりが有り柔らかい。
シイの下着以外の服は全て脱がせ、正面から見た。
「服を着たシイは可愛いが、服を脱いだら、とても綺麗だな」
「……そうか」
「シイ、今日は下着も脱いで欲しいんだが良いか?」
「かまわないよ。報酬だから」
「ありがとうシイ……、少し手を上げてくれ。脱がせるから」
「わかった」
俺は後ろから脱がせようかとも迷ったが、正面に立ち脱がせる事にした。
シイはサラシを強く巻いていた様で、未成熟かと思っていたが、二つの桃を抱えていた。美味しそうな桃だ。
特に痛んだ様子は無い綺麗な桃だ。ただ触ってみないと中がどうか分らない。
「思ったより大きいし、とても綺麗だよ」
「……」
「シイ、少し触るが良いか?」
「……かまわないよ」
若いが触診はした。特にシコリ等も無く、程良い弾力で触り心地も……見た目も美しく最高の報酬を頂いたと言える。そして此れ以上は貰い過ぎだ……我慢しよう。
シイの体が何度か跳ねたが、気のせいだと思うことにする。
「今日は終わりだ。服を着せるよ」
「……その……、下……は良いのかい?」
俺も考えていた事だが、他人に濃厚接触で移される病気の判断には下も見る必要があるだろうが、そもそも移されるような事をしていないのなら心配は無いだろう。
「そうだな、シイがもう少し大人に成って、また俺に依頼に来たら、その時に拝ませてもらうよ」
「わかったよ。ありがとう」
シイにサラシを巻いたあと、着ていたドレスを着せてた。
着せ方が良く分らずに、色々な所を触ってしまったが笑って許してもらえた。
「シイ、櫛は有るか?」
「今もってくる」
着替えで髪がくしゃくしゃに成ってしまったので、シイを座らせ、後ろからシイの持ってきた櫛で髪を丁寧に梳いた。
シイの髪は白紫色で太目の少しくせっ毛で、うなじが隠れるほどの長さだ。
「シイの髪は、ふっくらしている割に櫛の通りが良いな」
「ああ、ノーバンさんに買って貰った髪用の石鹸のおかげだよ」
「そうか良かった。髪を梳いていて触り心地が良い」
後ろと横の髪は梳き終わったので、シイの前に回った。
「前髪も梳くから目を閉じてくれ」
「お願いするよ」
シイは素直に目を閉じてくれた。キスしたくなるのを我慢しながら前髪を梳いた。
髪を梳き終わり、シイの後ろに回り、リボンを留めた。
「終わったよ。とても綺麗だ、シイ」
「ありがとう」
俺の方こそ有難うと言いたい。
少し無言の時が流れ俺は話を切り出した。
「シイ、昨日の話で『服と化粧品の分を』と言っていた事を覚えているか?」
「何か決まったのかい?」
「そだな、今日服屋で思わず抱き締めてしまったが、もう一つ良いか?」
「かまわないよ。食事もご馳走になってるからな」
「シイ、もし文字の読み書きが出来るなら手紙を書いてくれないか?」
「誰にだい? ノーバンさんの代筆位わけはないよ。村を出る為に必死になって文字は覚えて来たから」
「あー、いや、代筆じゃなくてシイが自分の家族宛に書いて欲しいんだが」
「……まだ何の成果も出せて無いから……その……そうそう! 仮に書いても届ける手段が無いんだよ。村は遠いんだよね。まったく」
「そうだなぁ、無理に届けようとは思ってない。ただ今の素直な気持ちとか、最近あった事を書いて欲しいだけなんだ」
「届かない手紙をかい?」
「そうだ。届かないし、誰も読まない手紙なら……好きに書けるんじゃないか? 少しでも気が晴れればと思ったんだ」
「よく分らないが、分ったよ。それがお礼になるなら」
俺は商家で買った紙の束と鉛筆を少しだけ残し、殆どををシイに渡した。
「シイ、三枚以上は書いてくれ。気持ちだけで足りなければ、最近の出来事でも良いから」
「ノーバンさんに会ってから色々有ったから、書く事には困らないよ」
色々と楽しんでいる間に夜に成ってしまった。
「話が変わるが、遅くなったし、夕食を食べに行こう」
「かまわないが、お店が開いてるのかい?」
「ああ任せてくれ」
レギュラーキャラ以外の名前は気にしないで下さい。
ココまでで十万字弱です、この章で十万超える目途が立ちました。
あとは少しでも綺麗な章の終わり方ができればと。




