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ドワーフ

報酬の受け取りです。

ドワーフの体とは

「では下着になってくれると嬉しい、見て触るだけだ、それ以上はしない」

「それで良いのならアタシは構わないよ」

 シイは戸惑(とまど)い無く服を脱いで下着になった。

 上はサラシ巻きで下はカボチャパンツだ中に、もう一枚下着を身に着けているのかは分らない。


「体が(きし)むほど抱き締めたくなりそうな可愛さだな」

「そんな柔じゃないから、そうしてくれても構わないよ」


「明日明後日の楽しみに取っておくさ、じっくり体を診させてくれ、ドワーフの体を診るのは初めてなんだ」

「報酬だ受け取ってくれ」


 シイの左手を取り指先からゆっくり診始めた。指の一本一本から付け根も裏表も、(てのひら)と手の甲、手首から腕と順に診ていった。

 徐々に上に向かい二の腕、肩、脇の下に至るまで()め回すように診た。


 シイは恥ずかしがる訳でもなく、ただ不思議そうに俺を見ていた。


「次は右手を診させてもらう」

「構わないが楽しいのかい?」

「ああ十分、報酬に成ってるよシイは良い体をしている」

「そうかい」

 この機会を逃したらドワーフなんて何時診られるか分らない十分な報酬だ。


 右手も同じ様に隅々まで()め回すように診させて貰った。


「次は左足を見たいが、何処かに座ってもらえるかい」

 シイは何も言わずに床に腰を下ろし俺の方に脚を向けてくれた。

 足の裏から太腿(ふともも)の内側まで見える、良い(なが)めだ。

 報酬と言うより、ご褒美と言って良い、とても嬉しい。


 足の指も一本一本丁寧に診て行くと、途中でシイの体が「ピクッ」と跳ねたが気のせいだろう、そのまま続けた。

 徐々に上に向かい足を上に、頭を下に(もぐ)り込ませ太腿(ふともも)の裏も良く診た。

 勿論(もちろん)、太腿の内側も足を開いて貰い、足の間に頭を入れじっくり観察した。太腿の感触が最高に気持ち良かった。


「あと見える範囲でお腹と背中、腰と首筋も診せて貰うよ」

「構わないよ」


 お腹と背中、腰と首筋も診て行ったが、首筋と背骨のラインに沿()って手を()わせた時にまた、シイの体が「ピクッ」と跳ねた。ついでに髪も触って観察した。


「シイありがとう服を着てくれ」

「もう良いのかい?」

「ああ診るのは終わりだが少し触らせてもらう」

「そうかい」


 シイが服を着ている間に、俺は命、水、音、光、魔石を取り出した。

「シイ左腕の(そで)(めく)ってくれ」

「こうかい?」

 シイの手足には小さいが深い火傷の痕と、最近出来た様な傷跡が幾つか有った。


「ありがとう、この火傷は鍛冶で?」

「そうだが、気にしてない」

 小さな火傷とは言え女性の体だ気にしないはずが無いと思う


「鍛冶師にとっての勲章的な物なのか?治すと不味いとか?」

「そんな事は無いが、命の魔石を使ったが(ほとん)ど変化しないんだよ」

「なら目を(つむ)っていてくれ、少し痛痒(いたがゆ)いが我慢してくれ」

「何するか知らないが、小さくても治る物じゃないよ」


 俺は右の掌に魔石を乗せハンカチで縛りつけ、その掌を火傷の痕に(かざ)し魔力操作で魔石を操る。魔方陣を書いていない分は手の甲でなく掌に魔石を置く事で患部に近付けたが、魔方陣の補助がない分制御は難しいし、シイの痛みも予想出来ない。


 シイの顔を見ながら徐々に魔力を込めていく。十分位で一箇所だけだが良い状態に成ったので一度治療を止めた。


「シイ目を開けて見てくれ」

「ずいぶんと痛かったが……火傷が……どうして?」


「女性の体は綺麗な方が良いだろ?」

「そうだが……自分の報酬の為かい?」

 俺がシイの体を抱き締めるのに、綺麗な体の方が良いと、なるほど一理ある。


「当然だな火傷だらけのシイを抱き締めるより、綺麗なシイの体を抱き締めたいからな」

「そう言う事かい、理解したよ、どうやったかは分らないけど」

「もう少し続けさせて貰って良いかい?」

「お願いするよ」

 一時間ほど治療したが六箇所だけだ、やはり魔方陣を使わないと効率が悪い。

 これも勉強だ、次に生かそう。中には最近出来た様な傷も有った。


「今日は終わりにしよう、痛かっただろう?」

「鍛冶仕事に比べたら何でもないよ」

 良く分らないが鍛冶仕事は色々と大変なのかもしれない。


 今日シイを診察してドワーフ族の事が色々と分った。


 四肢(しし)が短い訳では無く全体が小さい事、四肢と胴体の比率は人間と変わらなかった。指等も短い訳ではない。

 関節の軟骨なども、触診では違いは無いように思う。


 胴体も赤ちゃん体系等では無く、良いお腹と腰つきだった。

 全体的には筋肉質だが個人差の範囲だと思うが、筋肉の質は良さそうな気がした。

 首から尾骨に掛けての背骨、椎骨(ついこつ)の数も人間と一緒だ。


 髪は種族的な物かシイ個人の差かは分らないが、一本一本が太く若干くせっ毛のようだ。

 脇の下や股の間も変な匂いはしなかった。若干汗の香りがしたが良い香りだった。


 ドワーフの事が少し理解出来て有意義な時間だ、この知識が何時何処で役に立つかは分らないが知っていて損は無い。十分な報酬だ。


 シイは火傷と、熊と闘った時の物かも知れない最近の怪我の痕、は有ったが外傷以外の異常は見られなかった。

 まだ診察していない部分も有るが後日だ。


「明日の予定はどうする?」

「ノーバンさんの報酬に時間が掛かるみたいだから、今日と同じで良いよ」

「ありがとう、助かる」

「かまわないよ」


「明日は刀と槍のどちらを使う?」

「アタシはどちらからでも良いが刀にしようかね」

「分った、なら明日は助手を呼ぶかもしれない」

「かまわないが助手の分の報酬は考えてないよ」

「そこは何とかする、悪いようにはしないつもりだ」

「良く分らないがノーバンさんが言うなら良いよ」


 明日の予定も決まりシイを見ていたら、ふと思ったシイは可憐(かれん)な花の様だと。

「シイは撫子(なでしこ)の花の様だな」

「なでしこ? 聞いたことが無いな」

「小さめで可憐な花で、『()でたくなる子』と書くんだ」

「アタシの事を撫でたいって事かい?」

「ああシイの可憐な見た目にフワフワな髪を撫でてみたい」

「今更だろう、好きにするといい」

「ありがとう、そうさせてもらうよ」

 俺はシイを撫で回し、しばし時間を忘れて堪能(たんのう)した。


「それじゃお邪魔した」

「明日もよろしく」

 挨拶をしてシイの家を出てダンジョンへ走った、まだ日が赤くなる前だ。

 魔石を持ったままだから、預り証を発行して貰いギルドに預けた。

 ダンジョンに入り五階層へ急いだ、マエコちゃん達が居ると良いが。


「頑張ってるねマエコちゃん……とテイビト」

「こんにちはノーバン様」「お、おう」

 五階層へ降りてすぐに、白い髪と赤い髪を見つけ声をかけた。


「マエコちゃんが熊の所に居なかったから、もしかしてと思って来てみたよ」

「何時も心配して下さり有難う御座います」

「ストーカーかよ」

 マエコちゃんは何時も品が有り礼儀正しい、大好きだ。

 テイビトは何か小声で言ってるけど聞こえてる。聞こえるように言ったのか?


「聞こえてるよ、ストーカーじゃなく、ただの追っかけだから安心しろ」

「全然安心できねぇよ」

「ちょっ、すみませんお世話に成ってばかりなのに」

 テイビトが噛み付いて来てマエコちゃんが間に入る、何時もの事だ。


「そろそろ上がるなら、(おご)るから一緒に夕食はどうだい?」

「有難う御座います、ご馳走になります」

「おう、俺も付いていくからな」

 テイビトも来るらしい。勿論(もちろん)二人セットで考えていたが。


 マエコちゃんもテイビトもロッカールームで装備を外し外に出た。

 マエコちゃんは束ねていた髪を解き手櫛で梳いて、良い香りを(ただよ)わせている。


 何時もの食事処へと足を運ぶ。三人ともそれぞれ料理を頼んだ。

「「「いただきます」」」


「今日は二人に依頼したくて食事に誘ったんだ」

「チョコレートですか?」

 マエコちゃんは俺がチョコレート好きだと思ってる、確かに好きだけど人並みだ。


「そう明日一緒に熊を倒しに行きたいんだが良いか?」

「構いませんがチョコレートなら在庫してますよ」


「いや、もう一人居てだな、その人が熊を狩る手助けをして欲しいんだ」

「まった! 自分の依頼を俺達に押し付ける気か?」


「そうだが不味かったか?」

「駄目に決まってるだろう」

「ちょっとまって話を聞きましょうよ」

 何が決まっているのか分らないが、テイビトは苦言を言ってきた。多分そう言う常識なのだろう。


「駄目と言われてもなぁ報酬はテイビトの腹の中なんだが」

「お、おい! 飯代くらい払う」

「くくくく」

 食事代は払うと言うテイビトと、横を向き口に手を当てて笑っているマエコちゃん。笑い方も上品で可愛い。


「報酬の話は冗談だが、依頼は二人にも利の有る話だ」

「何だか胡散臭(うさんくさ)いんだよ」

 テイビトは人を見たら泥棒と思う節がある、もっと人を信じる事を覚えて欲しい。

 そしたら、簡単に(だま)せるのに。


「マエコちゃん俺はマエコちゃん達しか頼れる人が居ないんだ助けて欲しい」

「分りました、私達に出来る事なら言って下さい」

「マエコ勝手に……仕方ない話を聞こう」

 テイビトに言っても合意が取れない、俺は手を組みながらマエコちゃんに(すが)る様にお願いしてみた。マエコちゃんは話を聞いてくれるらしい。


「依頼人は鍛冶師で武器は作れるが、扱いには長けてなくて悩んでいる所だ」

「元々は三日間の試し切りに付き合って欲しいと言う依頼だったが、根本的な解決に成らない気がして手を貸して欲しいんだ」


「一緒に熊を倒すのは構いませんが、私達でも根本的な解決には成らないですよね?」

 マエコちゃんのもっともな意見だ。だが俺にも考えがある。


「短期的にはね、長期的に考えて欲しい所なんだ」

「私達も長く付き合うことは出来ないかと思いますが」

 テイビトが相手だと話が進まないからマエコちゃんが相手してくれるのは嬉しい。

 長期の依頼は受けられないと言う事も予想済みだ、問題無い。


「マエコちゃん達は二人で何階層まで行くつもりかな? 今後、武器は何処で調達するつもりかな?」

「えっと……」

「分った確かに俺達にも利が有りそうな話だな、会ってみよう」

 マエコちゃんが返答に困っていたら、テイビトが言いたい事を理解したようだ。

 本当に良いコンビだと思う二人だ。


「ありがとう助かるよ」

「で、報酬はその鍛冶師の腕と考えて良いのだな?」

「それは依頼人とテイビト達の交渉次第だが、俺も助言はするつもりだ」


「ノーバン様は私達の時といい、何時もこの様に依頼以上の事を(ほどこ)しておられるのですか?」

「誰かに何かを施す程、俺は(えら)い人間じゃないが、マエコちゃん達の時はミミィちゃんからの依頼で報酬も貰ってるし、今回も依頼人から報酬は貰っているからな」


「明日朝十時にダンジョン入り口で待ち合わせている」

「おう」「分りました宜しくお願いします」

 明日の待ち合わせをした後、世間話をしてから二人を家の近くまで送り届けた。


次回はテイビトにも頑張ってもらいます。


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