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税割合

 四人でお酒を飲み、ギルド長は俺を悪者の様に話し、アールヴは命の魔石が欲しいと言い出す。俺は仕方なくギルド長にアールヴから依頼を受けた事を話した。


 俺はギルド長にお酒を注ぎながら一つの提案をする。


「『力になる』と『何でも』と言ったんだ、アールヴ命の魔石をプレゼントしたらどうだ」

「……今は無理だ」

 その返しに「口だけか?」と言いたかったが止めた、下手に(あお)って本当に命の魔石を贈られてアールヴからの報酬が貰えなくなる可能性もある。

 だがギルド長でも、簡単に命の魔石を融通出来ない程足りてない事は分った。


 俺は顔をアールヴに向けて、視線だけをギルド長に向けながら少し大声で話す。

「アールヴ、命の魔石はダンジョンの外に持ち出すには高い税金又は現物の七割五分をギルドに(かす)め取られる。外に持ち出さずに中で消費しよう」

「えっ? 持ち出せないの? ……それでも良いのよね」


 持ち出せないとは言ってない、そして少し考え? 間を置いて同意してくれた。

 だが(あせ)ったのはギルド長だった。

 アールヴが「命の魔石を欲しい」と言い、俺が「アールヴの依頼を受けた」と言ったのだ、現物の七割五分を税金の代わりとしてギルドで徴収す(ちょうしゅう)るか、余った魔石を買い取れるとでも思っていたのだろう。


 俺は少し背を伸ばし、涼しい顔でギルド長を見下ろしながらビールを飲む。

 そんな俺の事を(うら)めしそうに(にら)む奴が居る……、ギルド長だ。


「ノーバン、お前なら命の魔石を余るほど採れるだろう?」

如何(どう)だろうな?」

 いくつ必要か分らないが、一日か二日も潜ればアールヴの分位は採れるだろうがギルドの分もとなると大変だ、此方(こちら)から条件を付けても良いが、少しでも有利に話を進めようと思えば相手に言わせた方が良い、(ゆえ)(にご)して返す。


「分った、命の魔石に限り特別買取で二割と更に二割を乗せた四割り増しで買い取る」

「特にお金に困ってる訳じゃないしなぁ、如何するかなぁ?」

 ギルド長の四割り増しの提案に少し心が動くが、横目で見つつ気の無い振りをしながらテーブルを指で叩く、――その指の先にはアールヴが居る。

 それを見たギルド長は一瞬首を(かし)げたが、言いたい事が伝わったらしく「ポン」と手を打って話し掛けてくる。


「今回の件は噂の(うわさ)確認だけで始めから(うたが)って等無い……」

「……で……それだけか?」

 理解したのかと思えば半分も理解してないじゃないか。


「いや、ノーバンの事は只の噂だったとギルド職員には伝えよう」

「まぁ当然だな」

 少しはマシに成った返答に仰々く(ぎょうぎょう)頷い(うなずい)て見せた。

 噂の件は俺の疑いも晴れ、町の人や冒険者は兎も角として、取り合えずギルド職員に説明が有ればダンジョンに入るのには困らないだろう。


「それで命の魔石を(おさ)めてくれるんだな?」

「そうだなぁ半分で如何だ?」

 ギルド長は交換条件だと言わんばかりに、若干圧を掛けながら魔石を納めさせようとするが、俺は納得が行かず更に条件を付けた。


「半分?」

「持ち出し時に掛かる七割五分の現物税を五割にするなら良い」

 そもそもの税割合が高過ぎるのが悪い、深層から苦労して持ち帰っても税割合が七割五分で計算されれば原価は二割五分となる、特別買取で二割り増しといわれても二割五分の二割り増しで市場価格の三割程度にしかならない。

 労力に見合わず、領主直属の兵隊が命令されて仕方なく行く位だろう。


「税割合は国や領主の決める事で変えられない」

「変える必要は無いさ、依頼人が不足分をお金で負担すれば良いし、それでも足りなければギルドの利益を減らせば良い」

 依頼人と言っても、おそらく商業ギルドから回って来た話だろう、そして元の依頼人はお金と権力を持った貴族しか考えられない。必要ならお金位は出すだろう。


「そ……それは……」

「利益を減らしてでも信用は大切じゃないのか? 別に俺やアールヴはダンジョン内で消費したって良いんだ」

 視線をアールヴに向けて確認するが、ダンジョン内で使うと言う話は二度目で何も言わずに頷いてる。大丈夫だ。


「分った半分で手を打つ、その代わり取引はギルド長室で行う」

「決まりだな」

 最初から俺は魔石を持ち出して使う予定だ、変な疑いは掛けられたが税割合が下がったし中々良い話し合いだったと思う。しかも只飯(ただめし)付きだ。

 少し安心して笑みを浮かべていると、ギルド長に変な質問をされる。


「何故、態々(わざわざ)お嬢さんを連れて魔石を採りに行くんだ? 一人で採りに行ってお嬢さんに売った方が早いだろう?」

「……お……お……お嬢さんは訳ありだ、わ、け、あ、り!」

 危ない危ない、思わず「お金には困ってない」と本当の事を言いそうになってしまった。

 そんな事を言えば「お金以外の報酬って何だ?」と問い詰められる可能性が高い、何せ依頼を受けたと言ってしまっているのだから。

でも魔石税率の交渉で「お金には困ってない」と言った気がするが、お酒も入ってるし気付かないだろうな。


 アールヴも下手な事を言って俺と離されれば、命の魔石が遠のく事が分っているだろうが、一応後で口止めが必要か?

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