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第一章 灼熱の火山 ver.5


 お久しぶりです、作者です。


 最近は忙しくて更新が遅れておりましたが、また投稿することができました。


 で、大変申し訳ないのですが。。。


 前回までの話を少し修正いたしました。


 このまま本編を読んでも問題はないかと思われますが、もし気になる方がおられましたら、ぜひもう一度読み直してください。


 ではでは、本編へどうぞ!!



 四 煉獄の炎


 二人は遂に山の入り口までたどりついた。


「ついにここまで来ましたね」


 そこには、無残にもボロボロになった看板と、やっとのことで穴を開けている入り口しかなかった。以前はここに管理施設があったが、今は跡形もなく消え去っていた。入り口となる穴からは、熱風が吹き出ている。

 ソウルとラドムは、顔を見合わせた。ソウルは帰りたい気持ちでいっぱいだった。体力の限界を超える疲労と、迫り来る恐怖に耐える自信がなかった。ソウルはふと雑念を抱いた。もしかしたら、ウッドは火山にいるのではなくあたりをうろついているのかも知れない。そうなれば火山に入る必要もなくなるし、今からすぐに村にも帰れる。きっとラドムも同じことを考えているかも知れない。

 しかしここまで来て帰っては、村のみんなにも面子が立たないし、ウッドのことも心配だ。それにあの悪夢のような出来事で失った兵士のみんなにも申し訳ない。


「行こう」


 二人は決心を固め、穴から中へと入っていった。


 火山の中は、まっすぐに続く一本の道しかなく、道の両側は絶壁となっており、灰色の崖のはるか下は真っ暗だった。殺風景すぎる光景だった。そして二人は、あたりを見回しながらしばらく歩いた。


「少し……休みましょう」


 ラドムは、疲れきっていた。いつもは元気溢れんとばかりに若々しい顔が、仲間の兵士たちを失った悲しみや火山内部の暑さでやつれていた。


「ああ」


 ソウルも休みたかった。二人は身近にあった岩に腰かけた。まだソウルは自分が人とは違う力を持っていることに気づいてはいなかった。

 しばらく休んだ後、二人は再び歩き出した。歩くうちにソウルは、今までとは雰囲気が違うことに気づいた。ラドムもおそらく気づいているに違いない。二人は足を止めた。殺気を感じる。ソウルは剣の柄に手をかけて構えた。ラドムも同じように構える。ラドムと一緒なら安心だ。


「いつでも来い!!」


 ソウルは、誰もいない空間に声をかけた。岩陰か?それとも、崖の下か?


「う、うわあ!!」


 聞き覚えのない悲鳴が、あたりにこだました。

 ソウルとラドムは、はっとしたような顔で走り出した。少し走ると、そこにはボロボロになった男が倒れていた。二人は急いで駆け寄り、よく確かめた。

すると、ウッドが率いる調査団の一員だということがわかった。その男は今にも息を引き取りそうなほど弱っていた。


「おい!! 大丈夫か!?」


 ソウルは調査員を抱え上げ、気を確かめた。どこかで見たことのある顔。


「ティフェンツェさん!!」


 よく家にも遊びに来ていた。ウッドと同じ調査団の一員で、仕事の話で家を訪れることもしばしばだった。


「あ……あ」


 ティフェンツェの体には、人間ではない何かに切り裂かれた跡があった。血が吹き出ている。ラドムは応急手当に使う道具を荷物から取り出し、手当を始めた。


「他の隊員はどこへ行ったのですか!?」


 ソウルは大きな声でティフェンツェに聞いた。


「あなたの、お父様は……お一人で……頂に……。他の・・みんなは……死んだ」


 ソウルは愕然とした。やっぱり、みんな……。ラドムは無事、応急処置を終わらせた。


「ソウルさん、先を急ぎましょう!!」


「……ああ!!」


「まっ・・て・・」


 ソウルたちは、走り出そうとした途端、ティフェンツェに呼び止められた。


「どうした?」


 二人は、振り返った。


「この先に、見たこともないやつが…いる。気をつけろ……」


「了解!!」


 ソウルはそう告げると、また走り出そうとした。すると、岩陰に……いた。今までに見たこともない、奇妙な未確認生物物体が。


「何だ、あれは!?」


 ソウルは指さすと、ラドムは剣を鞘から引き抜いた。ソウルは急いで剣の柄に手をかけた。背中に背負った鞘から剣を引き抜き、静かに構えた。虫……ではない。獣でもない……。体を緑色に染めた奇妙な生き物だ。


「ソウルさん!!」


 ラドムが、悲鳴に近い声を発した。あたりを見回すと、未確認生物物体に囲まれていた。


「く、くそ!!」


 遠くで悲鳴がしたかと思うと、ティフェンツェの男は未確認生物物体に、崖から放り投げられた。


「ぎゃぁぁぁ……!!」


 悲鳴はだんだん小さくなり、ついには聞こえなくなった。


「な、なんてやつらだ!!」


 二人は、互いに背中を合わせ、急襲に応じられるように構えた。


「ソウルさん。気をつけてください。やつらは……魂喰虫と呼ばれる魔物です」


 ラドムは静かに警告した。


「魂喰虫?何だよ、そんな名前は初耳だぞ」


 ソウルは柄を握りなおした。


「ここ最近、このあたりでよく発見されている魔物です。我が隊にも報告が寄せられています。敵の隙をうかがって、多数で飛びついてくる魔物……厄介な敵に遭遇してしまったものです」


「ちょうどいいウォーミングアップだぜ」


「まずは一匹目」


 ラドムがそうつぶやくと同時に、魂喰虫のうち一匹がラドムに飛びかかった。ラドムはソウルから少しはなれ、軽々と剣で斬り裂いた。飛びかかる魂喰虫を空中で斬る。魂喰虫は光となって跡形もなく消え去り、何も残らなかった。

 それから次々と魂喰虫たちは二人に飛びかかった。ソウルは剣で次々と襲いかかる魂喰虫を斬り落とした。




 どれくらいこうしただろう。ソウルの体力はもう限界だった。剣を支えにして、地面に膝をついた。しかし敵は攻撃をやめようとしない。ソウルは必死に立ち上がり、むやみやたらとあたりを斬り裂き敵をなぎ払った。

しかし―――油断した。ソウルが息をついたその隙に魂喰虫はソウルの背中にへばりついた。


「うっ!!」


 背中に激痛がはしる。ソウルは必死に振り払おうとしても、敵は動かなかった。

だめだ―――もう力が出ない。ソウルは、その場に倒れこんだ。

 そして、意識を失った―――




 次に目が覚めたのは、固い平らな岩の上だった。そばでラドムが剣を研いでいた。ソウルは起き上がろうとしたが、思うように体が動かなかった。ラドムはソウルのそばに駆け寄った。


「気がつきましたか?」


 ラドムは心配そうに、ソウルの顔をのぞきこんだ。


「俺が気を失っている間に、何があった?」


 ソウルはゆっくりと体を起こし、自分が気を失っている間に何があったのかを聞いた。


「私は、倒せば倒すほど増え続けるあの魔物に限界を感じ、ソウルさんと一緒に逃げようとしました。しかしソウルさんを見つけたときには、あなたは気絶していました。さすがにあなたの年齢で、あれほどの敵を倒すことは不可能でしょう。でも、やはりソウルさんにはびっくりさせられますよ」


「どういうことだ?」


 ソウルは、ラドムが何を言いたいのかわからなかった。


「あなたは一度、あの魔物に崖から投げられそうになっていました。私は助けに行こうとしましたが、魔物に邪魔され食い止められていました」


「そして、もうだめだ、と思った瞬間……あの時でした。あなたの剣から光の波紋と同時に、大きな火がほとばしったのです。あの魔物たちは、瞬時に消え去りました。しかし、わたしには痛くも熱くもありませんでした」


 ソウルは何がなんだかわからなくなった。あの悪夢のような暑さといい、今回の件といい、

自分は何も意識していないのに、守られたり、不思議な力を放ったりする。

もしかして自分は人間じゃないのか?なんていう疑問すら、彼の脳裏にはあった。


「行かないと……」


「えっ!?」


「早く親父を助けないと!! うっ!!」


 ソウルは無理に体を動かそうとしたため、また激痛がはしった。


「……止めるなよ!? 俺は、親父を助けるためにここまで来たんだ。あんたの仲間を犠牲にし

てまでもここまで来た。ここで止められて……たまるかよ」


 ソウルは、剣を杖代わりにして立ち上がった。まだ、足取りも普通ではなかった。


「止めませんよ」


「!?」


「私はあなたを止めません。わたしもここに来たのは、あなたのお父様を助けるためですか

ら。さあ、行きましょう。時間がない」


 ソウルは、改めてラドムの器の大きさに敬服した。なぜだかわからないが、胸にぐっとくるものがあった。ラドムはソウルに肩を貸し、あやふやな足取りで歩き始めた。だが二人の心は揺るがなかった。









 火山へ突入いたしました!!


 やっとのことですが、次回はもっと激しい展開に…


 それは絶対お約束いたしますので、お楽しみに!!


 ではでは、また読んでくださいね!!



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