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時代人情劇 仏の顔  作者: あきら
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エピローグ『 仏の顔』


「いやぁ、この寺にこれ程まで人が集まるなんていつ以来かな

皆楽しそうで何よりだ」



伊勢屋での三人の和解から約1年ほど

町外れの古寺、善照寺

歴史ある寺だが、まだ綺麗な本堂は改修工事を済ませてまだ数年

広い板の間に酒だ料理だと並べ

みな和やかに談笑していた



「すまなかったな徳庵、無理言って場所を借りてしまって

うちは敷地はそこそこだが、こう寒くなってくると外で宴会というのもね」


「ありがとうございます和尚

お菊さんたちの身体に障るといけませんし」



と清兵衛と清吉は口々に礼を述べる

そこへ辰巳屋の女将が挨拶へ来る



「清兵衛さん、それに二代目さん

今日はうちの者たちまでお招きいただいて

本当にありがとうございます

ほれ、お前たちも挨拶するんだよ!」



そういう女将の後ろには小染、ロク

他にも数人の芸者衆と板前たちも来ていた



「いやいや、こんなめでたい宴です

お菊の母とも言えるあなたを招かないでどうするんです?

それにほかの皆さんも来ていただいて

板さんには腕を奮ってもらい、芸者さんたちは場に華を添えていただき

こちらこそありがとうございます」




ここには伊勢屋の面々、辰巳屋の芸者と板前たち、寺の子供たちが一堂に会し賑やかに楽しんでいた




その宴席の中心にいた菊は

心底幸せそうに、穏やかな笑顔を浮かべ

集まってくれたみんなと談笑していた



その幸せを噛み締めながら優しく語りかける




「よかったねぇ、お前は幸せ者だよ……

こんなに沢山の人がお前のことを想っているよ

兄弟たちもたっくさんいるんだ

みんなと仲良く、元気に育っておくれね……清太」



そう語りかけた目線の先には

玉のような男の子が、菊の腕に抱かれてニコニコと微笑んでいた

みなもその子を見つめて微笑んでいた


それは仏のような顔だった

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