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妹の気持ち



何とか理性を保ち綺麗に洗い流した佳奈を抱き抱えて風呂を出た。


佳奈のまさかの発言で直接触った手の感触と至近距離で佳奈の体を見てしまったせいか、さっきから佳奈の裸体が脳裏から全く離れない。


今思い返せばよくもまぁ、あれを我慢出来たものだ。


まぁ、なにわともあれ取り敢えず一番の難関は乗り越えたな。


「さて、と。着替えはどうする?」


「着替えは私のクローゼットにある適当なのでいーよ。」


「ん、了解。」


タオルで佳奈の体を拭き、ソファにバスタオルを敷いてからその上に佳奈を座らせる。


まだ全裸で、色々と丸見えだというのにもう既に佳奈の顔に恥ずかしさは一欠片も感じない。


さっき隅々まで素手で洗われたのに比べれば見られる程度では動じなくなったのだろうか。


まぁ、対して俺はというと多少慣れたとはいえ、今もずっと目のやり場には困っているが。


「おっと、そういえば下着は?」


「パンツはクローゼットの中にあるタンスの上から3番目でブラは4番目に入ってるよー。」


「あいよ。」


右の手の甲を見せるように振りながら部屋を出て階段を上る。


そして二階に上がった途端、喉につっかえていた息を吐き出して、壁へと手をついた。


「…はぁはぁはぁ、まじかよ。前々から可愛いとは思ってたけど、理性が吹っ飛びそうだ。大体いつまでこれを続けるつもりなんだよ、あいつ。」


良い加減治って貰わないと兄として相応しくない所を見られかねない。


「………最終手段使うか。」


俺は携帯を取り出して連絡先から香恵さんの名前を探して電話をかける。


もう限界だ。帰ってきてもらうしかない。


「も…もしもし?」


「もう佳奈が嘘ついてるのには気付いてる。」


「っ?!…………そう。」


この反応、やっぱり香恵さんも知ってたか。


「ねぇ、無理かもしれないけど、佳奈を怒らないであげてくれる?あの子も必死なの。」


「あぁ、分かってるよ。初めから怒る気はない。さっきなんて……いや、なんでもない。でもそもそも大事な所が分からない。佳奈はなんでこんな真似するんだ?」


「…………。」


「…香恵さん?」


「本当に分からないの?あの子の気持ち。」


「………。」


「お兄ちゃんは佳奈の事を誰よりも近くで見てきたんだから分からないはずないわよね?」


……………。


俺は暫く口を噤んだ。


そう、本当は頭の何処かでは分かっていた。


佳奈が俺の事を好いている事くらい、それがきっかけで今回のこんな大それた事をした事くらい。


「でも俺たちは兄妹だぞ。」


「それがどうしたの?」


俺の言葉に香恵さんはケロッと返した。


「知ってるでしょ?あなた達に血の繋がりはない。」


「確かに俺と佳奈に血の繋がりはない。でもそういう問題じゃないだろ?」


「…はぁ。」


香恵さんは悲しそうに深くため息をついた。


「あの子はね、悩んでたの。お兄ちゃんともっと近付きたい。だけど兄妹っていう大きな壁がある。でも、それなら兄妹の範囲内で一緒にいられたらって。でもお兄ちゃんはそんな佳奈を避けたでしょ?」


「…………。」


違う。


そう否定したいが、出来ない自分がいて言葉にならない。


避けたという言葉が正しいかは分からないが、佳奈が中学に上がったのを目処に俺は佳奈と一定の距離を置いたのだ。


別に話さないわけではない。毎日朝に晩、たまに電話だってする。


だがそれでも、自分の中で定めた以上の触れ合いは確固としてしないようにしてきた。


……怖かったのだ。俺は佳奈を、妹を好きになってしまうのではないかと。


「確かに今回の佳奈がした事はまともじゃないわ。でもお兄ちゃんと少しでも仲を縮めたい、そう思っていたのは今日少し一緒に過ごせば容易に分かったでしょう?」


「……あぁ。」


「あの子は結婚は出来なくてもいい。ただ少しでも近くにいられたらって、……あっ、私ったらつい喋りすぎたわね。じゃあこれが最後。」


「ん?」


「私はあなた達がそういう関係になっても構わないと思ってるわ。後はお兄ちゃん次第よ。」


「っ…………。」


俺が何か喋る前に電話はプツリと切れた。


「……あぁ、そういえば着替えを取りにきてたんだ、早く戻らないと怪しまれる…。」


色々考えたい事はあるが今は後回しだ。


佳奈の部屋は俺の部屋の隣。


佳奈の部屋に入り、クローゼットの中からいつも着ているチェック柄のパジャマを取り出し、次にタンスを開けると、


「へぇ、こんなに沢山種類持ってたのか。」


俺は言葉を漏らした。


妹の下着なんて干してる所をたまにチラッと見る程度で、どれだけの種類があるかなんてそうそうに知る機会はないからな。


「あ、黒いのもあるのか……流石にこれチョイスしたら佳奈も引くだろうな。」


なんて言いながらもゴソゴソと下着を漁る。


「………って、どんな兄だよ。もうこれでいいや。」


客観的に見た自分の姿に変態性を感じ、自分でつっこみを入れながら適当なパンツを1つ摘み上げる。


すると綺麗に折り畳まれていたパンツはスルリと広がりそこにはピコン!と耳を立てた兎が描かれていた。


「………………よし、後はブラだな。」


佳奈に言われた通り、一つ下のタンスをガラッと開ける。


と、これまた数々のブラジャーがぎっしりと敷き詰められていた。


「.........女ってこんなに下着持ってるもんなのか?」


自分なんて5枚くらいの似たようなパンツをひたすらループさせて使ってるから、こうぎっしりと並べられているのには普通に驚いてしまう。


「......うーん、どれにするか…。」


......流石にこれだけあると悩む。


だけど、あれだよな。


別に店で買ってプレゼントする訳ではないし、そもそも全部佳奈の持ってる下着なのだから何を選ぼうが俺のセンスがどうという話にはならないよな。


「という事で、パンツと同じ系統のでいいか。」


綺麗に整頓されたタンスを軽く漁ってパンツと同じ柄のブラジャーを引き抜く。


「さて、電話で時間かかったしさっさと戻るか。……っと、後ドライヤーも必要か。」


そして俺は一階へと降りると、洗面所へ寄ってから佳奈のいるリビングへと戻った。




……遅い。


「もう、いくら下着選びに悩むからってこんなに待たせなくても……。」


自分がした事ながらにため息をつく。


お兄ちゃんは妹の私には自分の趣味を全く話さない。


服はどれを着て見せても可愛いと言うし、髪型もどんな髪型にしてもいつも同じく可愛い、似合ってるの言葉。


流石に下着までは直球で聞けず、どういう下着が好きなのかと、大人っぽいのから子供っぽいのまでこれ見よがしに見えやすいところへ干していても殆ど見向きもしない。


そこで私が考え出した秘策!


この自然な流れに乗じてお兄ちゃんの好きな下着の柄を把握させてもらうのだっ!


事前にバカみたいにネットで注文した下着をぎっしり詰め込んだから選択肢はかなり多い。


「さぁ、お兄ちゃん。お兄ちゃんの好きな下着の柄はどれなの?」


それから数分。


階段を降りる足音が聞こえて、即座にお兄ちゃんが出て行った時と同じ体制に戻して全身の力を抜く。


「わるい、少し迷った。」


「んーん、大丈夫だよ。」


「適当に選んだけどどれでも良かったのか?」


「うん。」


またまたぁ。さっき迷ったって言ったのに矛盾してるよ、お兄ちゃん。


私は知ってる。


私が身に付けてる姿を想像しながら数多ある下着の中から選りすぐっていた事を………私は知ってる。



なのに......、



なのに、どうして......、



どうしてこのチョイスなの、お兄ちゃんっ?!


お兄ちゃんの手に握られていたウサちゃんパンツに私は自分の目を疑った。


あんなにエッチなのや、可愛いのがたくさんある中で、どうしてよりにもよって昔私が使ってたコレをチョイスしたのかなっ?!


「ん?どうかしたか?」


「あっ、う、ううん、何でもないよ。穿かせてくれる?」


「あぁ。」


お兄ちゃんは腰を落として私の足を持ち上げるとウサちゃんパンツに私の足を通した。


そして両足を太ももまで通すと私の腰に手を回し、軽く体を持ち上げてからパンツを腰まで引き上げた。


「それじゃ次はこれか。」


お兄ちゃんはこの下着とセットで買ったウサちゃんブラを見ながら言う。


「じゃあ、付けるぞ。」


「うん。」


お兄ちゃんはそう言って何処を持とうかとブラをグルグルと回しながら慣れない手つきで私の胸にブラを付けていく。


「そうそう、それで次は後ろ止めて。」


「......こうか?」


「うん。」


「よし、これでいいか。」


「うん、ばっちり。ありがと。」


さすがお兄ちゃん。


初めてなのにちゃんと綺麗に私の胸をカップに収めてくれた。


...............でも、


たしか、これを買ったのは二年前だったかな。


......なのに今でも余裕で収まっちゃう私の成長しない胸............涙が出ちゃいそうだよ。


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