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ダンジョン

ダンジョンの入口。水の膜を通り抜ける

もちろん頭から水をかぶったようにびしょ濡れ状態になり前髪が邪魔で前が見えなくなっていた

イオはブンブンと頭を左右に振り髪の毛を元に戻し目を開ける

「な、なにこれ」


そこには燃え上がるような緑一色

空を突き刺し破ってしまいそうな林

いい木の匂いと野鳥のような鳴き声

草に混じって選り取りみどりの花が咲き

大きなクチバシを持った鳥達が空を飛んでいた

しかもダンジョンは暑い

重たい服を纏った彼の体力をジリジリと奪う


きっとここは季節も何もかも違うジャングルと言えるところだろう


色々な感情や言いたい事が混ざりあって紫色のドロドロとした色の気持ちが渦を巻く

どの言葉が正しいか頭で考えるとやり直しが最終的な答えへとなる


「帰ろ。」


ゆっくりと振り返り見るが、しかしそこには来た扉はなく前も後ろもジャンルだ


「あれ?おかしいな」


残念ながらダンジョンについての情報は皆無だ

周りを見渡すも出口らしいものは何も無い。焦るというよりか何も思わなかった


例え閉じ込められたとしても今自分がするべき事はクエストを遂行する事だ

その為に余計な体力を温存するために水に濡れたローブをその場に捨て

ジャングルに道は無いため足の向くままに彷徨う



彷徨って最初に出会ったのは花のモンスターだった

一度ハッキリ見て声を出さないように二度見する


1mくらいの花が歩いている


驚かないといえば、嘘になる。だがここはダンジョンだ

モンスターの事がわからないうちは声を出して気づかれでもしたら命取りだ


気付かれないように、茂みに隠れながら近づき背後から短刀で閃光の如く一瞬で花と茎の間を真っ二つにした


モンスターはその鳴き声も出す暇もなく灰と消えた

楽しい。楽しい。あぁ、懐かしいと麻薬のように依存してしまいそうな感覚に浸りながら足を進める



「キキッ」と周りから猿に似た声が微かにした

鳴き声からして1体ではないその猿は隠れて姿を表さない


イオは警戒をして短刀を構える

────来いッ


高ぶる気持ちを抑え近づいてくる葉の音に耳を研ぎ澄ましながら予想を立てる

右、左、前、後ろ、上空。大きさ、攻撃。自分がどう攻撃力するのか


「ダメだな・・。」

煮えくり返りそうな思考をプツッとテレビの線を抜くように強制的に停止させ

頭をくしゃくしゃと撫でる


モンスターはそんな事関係なく一番近くでガサッと大きく葉の音が鳴らす


「キキッ」

三つ目の猿が背後から姿を表す


先手を打たれた。

なんてそんな言葉は通じない


モンスターがイオに攻撃する寸前


「残念」


イオはしゃがみこみ振り返る

ニタァと不気味な表情を浮かべ

短刀を刃を上に持ち替え、そのままジャンプする


鋭く切れ味のいい短刀はモンスターの中心に赤い線を引いた

ずるっと半分ずつになるかと想像したがそのまま灰と化し空中に消える



終わったかと安心し一体だけと思っていたがまだ数体残っていたと気付いた時にはもう遅く



三つ目の猿の尖った爪で引っ掻かれ頬、腕、足引っ掻かれた場所から血が流れる

鋭い痛みがヒリヒリと伝う

この時ブレスレットが外れたことに気づかなかった


「しくじった。」


「ギキーーーッ」

目の前に現れた5体。

瞬時にどうするか頭で考えるも流石に短刀では対処できそうに無く今だけ邪魔になった短刀を投げ1体減す


残り4体。好都合だ


モンスターに手を構える

「生憎こっちの方が得意分野なんでね」


普通なら魔力切れになるとその場で気絶する

だから魔導師以外魔法を嫌わない。


でも魔導師になれば最強Sランク並に体内に宿った魔力も持つイオにとってはそんな事気にし無い


ファイアーボール(火の弾丸)


言葉通り、言葉通り空中でいくつか火の玉を作る

大きな風が囲むように魔力を注ぎ巨大になっていく

それをみたモンスターは襲いかかって来ていたはずが一斉に逃げる体制をとった


「さよなら」


巨大化しすぎた火の玉を軽く投げ着弾する


目を刺すような眩しい光に覆われ

猿達の小さい断末魔と共に生温かい強風が吹き荒れる


あ、やばい。

イオの装備品、ブレスレット(魔力制御装置)が無かったことにこの時初めて気づいた


そう思った時には既に遅く受身の態勢を取るが、その強風は軽々とイオの体を吹き飛ばし

近くにある岩へと頭をぶつける


「・・・ガハッ」


視界が歪み、頭から血が溢れ、イオの下の草は緑から赤へと変色していく

自業自得の事なのに死ぬのは嫌だと届か無い虚空へと手を伸ばす


「アホな事……した」


枯れた声が出す意識を失う

体が重く水の中に沈むように目の前がボヤけプツンと白い意識の紐が手をすり抜け暗闇へと沈んだ





彼が意識を失った後茂みから近づいてくる人影

ガサッと音を立てイオを除き込むように立つ


「やっぱり強いね君は」


森のダンジョンにいる魔女のような格好をした少女は続ける


「◯◯◯◯◯。また会えたね」











心地いい生暖かい風が頬に当たり不意に目が覚める

「・・・あ・・・れ?」


イオはゆっくり目を開ける

最初に見えたのは澄んだ空と自分の目線より高い花があった


何があったのか分からずゆったりと重たい体を起こす

そこには1面白い白銀の花畑と無数の林檎の実を付けた木が立っていた


「あー・・・夢・・な訳無いか。」


なぜそう言えるかと言うと装備にこびりついた血が夢ではないとものがっている

だけど傷はない。謎だ

考えようにも情報が少なすぎる、だから考え無いようにする


とりあえず現時点で最優先事項はこの場所を確認する事、出口を探すこと

頭の中で繰り返すように確認をして立ち上がった


一瞬、一瞬さっきまで吹いていた風とは違い大きな風が後ろから吹き大量の花弁が空中を舞う


それは雨の代わりに花びらが落ちる。なんて静かで幻想的で綺麗な光景だ

その花弁が地面に落る。のを見てた


すると不思議な事にイオの真正面に花弁が渦を巻き集まる

花弁の竜巻が空へと届くんじゃないかってくらい登り、上から渦が解け花弁が落ちてくる


イオと同じ高さくらいまで解けた竜巻から1人の少女が現れた

白髪赤い目、雪の中にいるような兎みたいだ

「起きたんだね」


散乱した花と花弁と踏みながら近づいてくる

その姿はまるで白兎だ。


「うん。傷は君が?」


「そうなの。特別に治したの」


「ありがとう助かった君はヒーラー(回復職)なのか?」


少女は目を大きくした後、ニコリと笑った

「私はプリースト(第1級回復職)


藍色のローブの左胸につけている中心に『弌』とかかれたブローチを見せびらかし

ドヤ顔を決めている彼女。


「すごいね」


第八〜第零級まである階級

その1級 上級者

凄いと胸を張って誇れる程の事だ


「ねぇねぇ私たち友達になろうよ」

甘えたように顔を除きこみ質問。


友達ってそうやってなるものだっけと疑問を抱きながら返事をする


「え、あ、うんわかった。」

上級魔導師と友達になれるのなら断る理由がない

むしろ喜ばしい事だ


「よっしゃ!じゃあじゃあここから出て一緒に冒険しようよ」


友達になる事が一緒に冒険する事と繋がるとは思っていなかった

反論しようとするも、下手に発言したら出られない可能性を考えると


「わかった」

了承するしかない


彼女は180°周り、右手で空中で何か物を掴む動作をした

すると地面から大きな蕾が現れ花開く

ピンクの鮮やかな花の中心に魔導師が使うような木製の杖が置かれていた



少女は杖を取り出し地面にカンっと1回叩いた


「扉~扉」


ゴオオオオオン

地面が割れその中から生えるように巨大な扉が出現した

は?と目を開き彼女を見る扉を探すどころか作ってしまう

こんなのチートじゃないかと冷たい目線を送る


「仕方ないんだよ…!時間節約できるから!」


「そ、そうですね」

はははと苦笑いをする


「うんうん、そういうことで。とりあえず行こっ」


無邪気に差し出された左手を見た


いいのだろうか。少しそう気持ちが揺らぐも恐る恐る握った右手は少しだけ熱を帯びていた


「よろしく?ってえっと誰さん?」


「イオでいいよ」


「じゃあイオ!私はアイリスよろしくね」


ニコリと笑った彼女はまるで太陽みたいで眩しく、少しだけ顔を歪める


「じゃあ行こっか」


「うん」


彼女に手を握られ引かれて扉を潜る

手を握ったまま歩く事なんてあの時以来だとイオにとってそれはウズウズしてしまうよう事だ


来た時と同じように水の膜を通り越してダンジョンへ入る前の景色を見て帰ってきたと確信した


「帰ってきたんだ・・・。」

ダンジョンに入る前と同じ森を見てホッと胸を撫で下ろした

「おい!アレを見ろ」


へ?変な声を出しながら指を指された方角を見る

その先から黒い煙が立ち上がっていた


「村・・・が、ある方向・・・」

「早く!早く行こう!!」


気持ちに狩られ彼女の言葉でハッと我に返る

嫌な予感がした。この時に限って研究所の最後を思い出した。あの光景を2度と繰り返したくない


もう嫌なんだ。


無我夢中で森を走り抜け村へと帰ってきた





「皆ー!!!!」

叫んでも誰も答えない

そこには炎に包まれた村、あちらこちらに赤色に変わった地面

ぐったりと倒れている人がいた


まるで地獄絵図のような光景にただただその場に立ち尽くした

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