巡査・頭山怛朗の活躍(第十二話 巡査・頭山、負ける)
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その日の夕方、巡査・頭山怛朗は交番の警部補と署の仲間三人と飲んでいた。
テレビがついていた。CMだった。
老夫婦がWベッドで寝ている。
夫がもぞもぞと起きだす。
横で寝ていた妻も目を覚ます。「またなの? 」
夫が言う。「すまない! 」
妻が夫を見下したような目で見る。「いい加減にしてよ! 」
……。
商品名が流れる。「サ××リーの×コギ×ヤシ+セ××E」
警部補が言った。「ありえない! 」
あまりに大きな声だったので、他の客たちが彼らのテーブルを見た。
「すまない」と、警部補は小さな声で皆に謝った。
「何が“ありえない! ”ないのですか? 」と、頭山が不思議そうに聞いた。
警部補はニヤリと笑って言った。「あの夫婦、どう見ても六十半ば過ぎだ。六十半ばになってダブル・ベッドで寝ている夫婦なんてありえない。おれはSFが好きでいろんなSFを呼んでいるが、こんな荒唐無稽なSFは読んだことがない! 」
「……」普段の頭山なら何か言うところだが、何も言わない……。言えない。
「おれと女房は三十年になるが、何から何まで違う。 でも、この件は話が合うよ。請合う!」
「……」頭山は相変わらず無言だった。
警部補が追い討ちをかけた。「まぁ、頭山君は、まだ、新婚のようなものだし奥さんは超美人だから分からないだろうけれど、他の皆は分かるだろう? 」
年上の同僚三人が同時に頷いた。
警部補が言った。「今夜の酒はいつになく美味いな」
「そうですね、今夜の酒は美味い」と、年上の同僚三人が同時に言った。




