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中
「わざわざ迎えに来た先輩に対する労りの気持ちが足りない」
そう言って座り込む先輩に対して、僕は諦観を抱くと共に鞄から水筒を取り出すと、とぽとぽとぽっとコップへと中身を注ぎ込む。
ついでに、昼食時に買っておいたシュークリームを湯気の立ち上るコップの脇へと添えてやると、両手を合わせて頭を下げた。
僕の皮肉と祈りを込めた一連の動作に、しんと教室が静まり返った…と思ったのも束の間、キャーッと大きな歓声が前方より上がる。
「疲れている先輩のために温かい紅茶、しかも甘いものまで用意してあるなんて、分かってるじゃないっ!」
続けていただきます、という言葉が聞こえてきたかと思うと、袋が開かれる音がそれに続き、僕はちらりと頭を上げた。
そこには既に空になった袋と湯気の収まったコップがあり、僕は思わず笑い出してしまった。