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竜と人との冒険の始まり

短いですがキリが良かったので。次話から本編に入っていきます。

 王国のはずれに俺とガウル、そしてシュードは佇んでいた。

 あの後、友として晩餐に招かれ一晩明かした俺は早速ガウルと共に人里に降りる事にした。

 王はもっとゆっくりしていってほしいと言っていたが、いつまでもお世話になっているわけにもいかない。

 それに、この世界で生きていく力と目標を与えられた俺は、昨日までとは違い大分前向きになっていた。

 そういった心境の変化からか俺は早く外の世界を見てみたいという気持ちが大きくなっていたのだ。


 『困ったときはいつでも戻ってきてください。私たち竜族はいつでもあなた達の味方です』

 見送りにきたシュードが頼もしい言葉をかけてくれる。

 竜という強力な後ろ盾を得た今、思っていたよりも遥かに順風満帆に異世界で生活をおくれる気がする。

 『私たちはこれから各地に赴いてシュンが元の世界に帰るために魔女をさがしつつ、魔物の討伐を行っていく。シュード達は昨夜話した通り魔女の予言についてもう少し詳しく調べてくれ』

 ガウルにかけられた言葉にシュードが深く頷く。

 昨夜の晩餐で、これからの方針を幾つか決めておいたのだ。

 俺達は帰る方法を探しつつ、今一番確実な方法であると思われる魔物の討伐をすすめる。シュードや王は、いまだ不可解な点が多い魔女の予言についてと、各地で魔物が急増している原因について調べると言う事になった。

 『私たち竜族は表立って人間界に姿を現す事は出来ません。それはガウル様も同様でしょう。ですので、この先の旅はシュン様自身が自分の意志で進めていかなければなりません』

 世界の守護者たる竜族は人間の生活に深く関わってはならない。

 強大な力は安定した今の文明にゆがみを来たし、災いをもたらすと考えられているからだ。

 ガウルを旅に連れて行くのも問題なのではと思ったが、一応対応策は考えてあるらしい。それよりもむしろ問題は俺自身との事だった。

 『シュン様が持つ力は竜の中でも王族だけが持つ特別な力。決して力に溺れむやみに振るってはなりません。最もあなた様なら大丈夫だと信じておりますが』

 改めてシュードに釘を刺される。

 だが身に余る力は必ず自分も滅ぼすだろうということは、シュンもしっかりと弁えていた。

 「大丈夫です、俺にはガウルがついてますから」

 きっと力に溺れそうになったときは相棒である蒼竜が止めてくれるだろう。

 自分の相方の頼もしさに思わず笑みがこぼれる、

 『何、心配ないさ。シュンは私と心を通じさせる事ができたのだ。それだけでも十分信用に値する』

 後から聞いた話なのだが、竜との契約において人間側の心を竜が受け入れられなかった場合、その時点で契約が失敗するらしい。

 竜の王族たるガウルとの契約が成功した時点である程度の信用は得られたと言う事を王から聞いた。

 『さて、そろそろ行こうか』

 ガウルが背中に乗れるように身を屈める。

 俺はその背中に飛び乗り、シュードに別れの挨拶を告げる。

 「短い間でしたけどありがとうございました。またここに来るときはよろしくお願いします!」

 笑顔で告げる俺に、シュードも頭を下げ一時の別れを告げる。

 『お二人の旅が良き物になりますよう、私も願っております。それではシュン様、ガウル様、いってらっしゃいませ』

 シュードの言葉を聞き終わると、ガウルが大きく翼をはためかせゆっくり空へと昇る。

 『それでは行って参る。この国をよろしく頼んだぞシュード』

 主からの頼みに、忠臣たる銀竜は深々と頭を下げて応える。

 『お任せください。ガウル様がご心配なさらないようしっかりと務めは果たさせていただきます』

 『相変わらず頼もしい事だ。さて、それではシュンよ。準備は良いな?』

 既に日は高く昇り旅立ちにはもってこいのタイミングになっている。これから始まる冒険に心をときめかせながら、俺は強く頷いた。

 「行こうガウル、俺たちの旅のはじまりだ!」

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