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魔物との遭遇

お気に入り登録してくださった方ありがとうございます。とても嬉しいです。

 貰ったナイフで道を遮る草木を刈りつつ、なんとか先に進んで行く。

 もうすでに日も落ちてきており、どんどん視界が悪くなって行く。

 「参ったな……。これだと視界が悪くてとてもじゃないけど木の実なんてみつけられないぞ」

 どうしたものかと困っていると段々と辺りが明るくなって行く。

 「これは……月明かり?」

 月明かりにしては大分明るいと思って空を見上げると元の世界では考えられない大中小三つの月が浮かんでいた。

「未だに実感わかないけど本当に異世界にきたんだなぁ……」

 竜と会話した後だしもう何が来ても驚かない自信はあるが、自分が元いた世界とは違う場所にいるのだと改めて思い知らされる。


 「さて、少し先が見えるようになったし早く探すか」

 再び藪の中をかき分け木の実を探す。

 「それにしても結構大きい傷だったけど木の実なんかで治るのかな?」

 そんな簡単に治る傷だとは思えないが、ここが異世界である以上自分の常識で考えてはいけないと思い直した。

 「元の世界に帰るとしても、少しの間はここで生きていかなきゃいけないだろうし思考は柔軟にならないとな」

 どんな出来事があっても受け入れる覚悟をしつつ、更に奥へと進んでいく。

 

 「……あの竜も言ってたけど、本当に他の生き物はいないんだな」

 小動物どころか虫一匹すらみかけない。この植物達は何を栄養に育ってるんだろうなどと考えていると、ぎりぎり目で見える場所に青い物が見えた。

「お、あれかな。思ったより早く見つかってよかった」

 リンゴくらいの大きさのそれを近づいて手に取ってみて見る。

 竜が地面に描いた絵とも似てるし恐らくこれで間違いないだろう。

 「よしよし、それじゃあいくつか貰っていきますね」

 言われた通り木の実を五つもぎ取って元の世界から持ってきている学生鞄に詰め込む。

 早速竜の場所に戻ろうと後ろを振り向いたとき、視界を何か赤い光の様な何かが横切った。

 「……ん?今のは一体……?」

 なぜか背筋に寒い物を感じて暗闇を凝視する。

 すると藪の中から赤い目の様な物が覗いているのが見えた。

 「なんだあれ?この辺は動物とかいないはずじゃ。それになんであの赤いの目っぽいのだけ宙に浮いて……」

 そこまで考えて嫌な予感がよぎった俺は全力でもときた道を引き返す。

 「あれ、目が宙に浮いてるんじゃなくて体全体が真っ黒だから見えないのか……!」

 体全体が黒く輪郭がぼやけていたために、暗闇の中では赤く光る目だけが宙に浮いて見えたのだろう。確信はないがさきほど草原で竜の後を追いかけていた奴によく似ていた。

 「でもあれあんなに小さかったか?まさか一匹じゃないのか」

 さっき竜を追いかけてたのはもっと大きかったし、巨大な霧のように見えた。だけど暗がりに見えた奴の姿は人の様な形をしていたしサイズも自分と同じくらいだった。

 あの赤い目に追いつかれないよう必死に走ったが、ある程度進んだ所で異変に気づく。

 「やっば……」

 どうやら走っている最中に道を間違えたらしい。どちらへ進めばいいのかわからなくなる。

 「迷った時はこいつを使えって言ってたっけ」

 鞄から竜に貰ったナイフをとりだし、あの竜の姿を思い浮かべて握りしめる。

 「おぉ……!」

 するとナイフが淡く光りはじめた。軽く振り回してみてわかったがある方向に向けると光が強くなるようだ。

 「この光が強くなる場所を目指せばいいのかな」

 その方角に向けて歩き出そうとすると背後から物音が聞こえる。

 「……ッ!」

 後ろを振り向くともうすぐそこまで赤い目が迫っていた。

 「くっそやっぱり追いかけてきてたのか!」

 少し威嚇するつもりでナイフを魔物に向ける。

 すると、ナイフの光にひるんだように身動きが少し止まった。

 「そういえば魔物に襲われた時のために加護をこめておいたって言ってたな」

 前方は薮がまだ生い茂っているため全速力では走れない。

 このままではすぐ追いつかれてしまうだろう。

 幸い今いる場所は少し開けているため身動きがとりやすい。

 「このまま逃げても背後から襲われて終わりだろうし。だめ元でやってみるか……」

 まだ竜がいる場所までどれくらいの距離があるのかわからない。

 倒すまではいかなくても手傷を負わせる事が出来れば逃げる隙が出来るかもしれないと考えて、怯んだままこちらの様子を伺っている魔物に向き直る。

 「もう何度も死にそうな目にあってるんだ。それでも何とかなってきたわけだし後一回くらい幸運が続いてくれてもいいだろう」

 覚悟を決めた俺は蒼く光るナイフを構えて魔物に向かって足を踏み込んだ。

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