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第2話 帰還、第零部隊

「現在第六部隊所属、イルス・テラスです!よろしくお願いします!」


 第六部隊という事もあってコイツは一番最後だった。

 最後と言うのは、オレにとって最後と言う事だ。

 勿論、他の隊長達と団長にも手伝わせたが、まともに面接をしているのはシンとユーレンだけだと思う。


「えー、志望動機は?」


 今更だが、何だこの質問。


「はい、貴校の進学率の高さと―――――」

「ここは学校じゃねぇ」


 こんな所でふざけるなよ……。

 オレ疲れてんだからさぁ……。


「志望動機は良いや。もし隊長になれたら第七部隊をどうしたい?」

「ある人と……肩を並べたいんです」


 イルスは笑顔で答えた。

 満面の笑みで、屈託のない笑みで。


「ある人?肩を並べるって事は……隊長の誰かか?」

「はい……」


 そう言って頬を赤らめる。


「って事はミナスか?」

「え、あ、いや……その……」


 俯きながらもチラチラとオレを見るイルス。

 正直な所、ミナスではない事くらいわかっている。

 この照れ方は十中八九、男だ。

 言っておくがオレは鈍感じゃない。ちゃんと人の気持ちなどは察せる。


「ミナスじゃないのか?なら……」


 そう、オレはちゃんと解っているぞ。


「シンか?」


 オレが言った瞬間、シーンとしてしまった。

 シンと言う単語を出したらシーンとした。

 ………何でもない、忘れてくれ。

 ていうか、え?違うの?シンじゃねーの?

 でも多分ユーレンとメイゼルは違うだろう。

 んー……恋愛関係じゃなかったか?


「まぁ良いや。面接は以上だ。出て良いぞ」

「はい、ありがとうございました。失礼します」


 イルスが出て行ってドアを閉めた後、オレは伸びをする。

 さーて、終わった終わった。

 休憩がてら食堂でも行くかな。











 食堂に来た。

 何か黒いオーラを発している近寄りがたい人物を見つけた。

 満員の筈なのにソイツの周囲3mにだけ人が居ない。

 というのもメイゼルの事なんだけどな。


「メイゼル、面接どうだった?」


 オレは普通に近付く。


「これと言った奴はいなかった」


 何食ってんのかと思ったらカレーだった。

 なんかシュールだ……。


「……そう言えば、あの話はどうなっているんだ?」

「あの話……?」

「惚けるな」


 惚けてねぇよ。


「第六部隊の制服をセーラー服に変えると言う―――――」

「それは即刻却下した筈だ」


 主にルアが。


「お前の趣味で変えれる訳ねーだろ」

「ならお前が着ろ」

「どうしてそうなった」

「男のセーラー服など見たくないわっ!!」

「お前何があった!?」


 キャラ崩壊半端ない。

 いや、セーラー服が趣味と言う所ではない。

 口調が変わっている所だ。

 コイツが変態なのはいつもの事なのだ。


「……すまんな、最近疲労が溜まっているんだ」

「へぇ、忙しいんだな」

「ああ、金がどうしても……必要なんだ」

「お前まさか……」


 メイゼルは苦笑する。


「家を買う金が無いんだ……」

「……家?お前家あるだろ。引っ越すのか?」

「フィギュア用の……」

「ごめん、それ以上は言わなくて良い」


 フィギュア用の家……。

 そうか、そうだよな。


「疲労は溜まるが金は貯まらず。私は堪らずバタンキュー」

「それいつ考えた?」

「今だ」


 中々やるな。

 いきなりそんなの思いつかねぇよ。

 スランならすぐに思いつくんだろうが、大体兄弟ってのは兄の方が出来が悪いんだ。

 今戦っても勝てるかどうか解んねぇよ。

 三年前なら勝てたんだけどな。


「とりあえず私はこれから仕事だ。コレは食べてもらっても構わない」


 と言って、メイゼルはオレに食べかけのカレーを渡して行ってしまった。

 正確に言うと、ルゥだけなんだが。

 ……片付け押し付けられただけじゃねぇか。


「アルバシス隊長、それ食べるんですか?」

「食う訳ねぇだろ」


 話しかけて来たのはイルス・テラス。

 名前を入れ変えたら二次創作の主人公になれそうだ。

 いや、アイツは主人公じゃないんだっけか?


「え~、食べないんですか?」

「何で食わねぇといけないんだよ」

「需要高いですよ」

「供給が間にあわねぇよ。つーか、どこでの需要だ」

「第六部隊BL大好き組」

「そんな組ルアに潰されてしまえ」

「因みに隊長は人気№1ですよっ!」

「ふざけるな」


 今更だが、何でオレはこんな奴とお喋りしてるんだ?

 そして、何でコイツはオレに対してこんな接し方をするんだ?

 何か妙に懐かしい雰囲気が……。

 あ、今の伏線だぞ。覚えとけよ。

 ……回収するかどうかは別物だが。

 つーか、伏線って言っちゃったら面白くないよな。


「隊長とシン隊長のコンビが―――――」

「よし分かった。それ以上喋るな」


 想像するだけで気持ち悪い。


「た、大変だーーっ!!」


 団員が怒鳴りながら駆けこんでくる。

 新手の道場破りか、等と一瞬考えたオレはやはり疲れているのだろう。


「何があった?大したことじゃなかったら十回殴るからな」

「じゅっ……!?いや、えぇっと……」

「冗談だ。で、どうした?」

「はい!報告します!」


 そう言って団員は、こう言った。


「第零部隊の隊長、副隊長、並びに団員二名が帰還致しました!」


 面倒な事になってしまったぞ……。

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