三十二話、ぼっち
決別……それを言い換えると絶交だろう。遊が二年前との決別をした後、俺と遊が話す頻度は明らかに減った。それと平行して、教室内の俺のボッチ化は進んでいった。健介や勇次郎は喋ってくれるが、それ以外に喋る人がいない。昼飯を一人で食べることも増えたし、登校、下校、一人の時間が明らかに増えた。
教室、授業。俺は苦悩していた。なにより先生の出す問題が間違っているのだ。言った方がいいが、言うのかは微妙な雰囲気に包まれている。
誰かが言った。誰だかはわからない。何故か俺は思考を始めた。先生と誰かの話で授業は少しつぶれるだろう。その時間に思考したって、誰も文句は言うまい。
俺は、二年前となにも変わっていないのか? それだけが俺の頭の中をぐるぐると廻り始めた。二年前、遊と沙羅がつきあい始めたときから、俺はなにも進展していないのだろうか? リア充と話せなくなった非リアの末路はこんなものなのだろうか。俺にはわからなかった。なにも、わからなかったのだ。
憂鬱な昼飯。なにも意味がない時間。暇な休日には、ラノベを読んだ。ネットをした。家にいる時間が増えた。俺はなにをしているのだろうか。
「おい、大丈夫か?」
健介が聞いてきた。嗚呼、もう授業は終わっていたのか。気づかなかった。
「あぁ、大丈夫だよ。ちょっとボーッとしていただけだ」
健介は、「そうか」と、一言つぶやいただけで、その後遊のところにいった。どうしようか、どうしようもないのか。わかんねーな。俺は逃げていただけなのか? 二年前のあのときからなにも進歩がなかったのか? 思考がループしているな。はぁ、疲れた。
憂鬱な授業が過ぎ、憂鬱な昼食の時間。憂鬱じゃない時間なんてあるのか? 寝るときだけは昔から一人だな。当然だな。
「はぁ……」
一つ、ため息をもらす。これ以上思考していも意味はない。寝よう。俺は寝た。だが、寝た場所が食堂だということを忘れていた。一人で食堂で寝るとか……傍からみれば、かなり痛いよな、俺。完全に寝た。
起こされた。昼食の時間は……まだ終わっていなかった。誰が起こしてくれたのだろうか。目の前にいたのは……北条だった。
「遊君は逃げるのをやめたのに、貴方はふてくされているだけなの? それでいいの?」
それだけいって、去っていった。俺が何かを言い返すことなど、はじめから期待していないようだ。事実、俺はなにも言い返す気がなかった。だってさ、どうだっていいじゃないか。俺の人生だ。文句はないだろう。勝手に人生を決めつけられてたまるか。そんなふうにさ、他人に誘導された人生は楽しいのか? 本当にそれでいいのかよ、遊。
次回最終回です。