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二十六話、二年前そのよん

 俺と遊が二人で話し合ってから、二週間だろうか。が、経った。俺は遊とは以前のように、いや、他人から見れば以前のように、接しあった。沙羅は、多少気にしていたようだったが、気にせずに、遊といちゃいちゃしていた。それにより、俺の精神力は休まる暇もなかった。

 登校時。今日は俺が家から出てくるのが遅すぎたのか、遊も沙羅も先に行っている。人混みというほど混んではいない道を、俺は歩いていた。久々に精神は休まったが、虚しさは残った。俺はなにをしたいんだろうかな、と、自嘲する。

 数分、十数分、どちらでもあまり変わらないだろう、が、過ぎた後、俺は教室に入った。挨拶してきた人だけに軽く挨拶を返す。そうして、俺は自分の席について、準備を開始した。もちろん、朝読書の。

 放課後までスキップして放課後。卓球部は今日も休みだ。休み多いとほかの部活からねちねち言われるんだよな、と、考えながら、教室を後にした。脳内で悪いのは、卓球部の顧問の教師ということにしておこう。

 何だろう、ただ単に気分ではない、と言った方が正しいのか。わからない。ただもやもとした気分を落ち着けるため、何か解決策があるのではないかと考え、俺は階段を上った。目指すは……屋上だ。


 カツ、カツ、かつ、かつ、カツ、俺が階段を上る音が聞こえる。金属の階段は上履きと音を響かせる。目の前の扉の隙間。そこから光が漏れ出ている。ギィィィィィィ。ドアを開けた。見えたのは、宙に舞う少女。助けようとする男。………………落ちた。

 俺は駆けだした。よく見えなかったが。いや、目をそらしていたのか?わからない。わからない。だが、俺の脳は、落ちた少女が沙羅だと、わめきたてていた。ドン! ドン! 俺の上靴が地面を踏む音は響く。そして、落下している少女が落ちた外壁に……たどり着いた。そして、ドシャッ。音がした。落ちた。ぶつかった。倒れこむ俺と、泣いた遊。少し経ち、そこには、ピーポーピーポーと、サイレンの音が鳴り響いた。


 気がついた。誰から言葉をかけられることもなく。俺は起きあがった。白い天井。白いカーテン。校舎の匂い。保健室。俺はそう判断して、起きあがった。

「起きたのね……」

 そう言ったのは、保険室の先生。

「行ってきなさい。ここから病院は近いでしょう? 遊君は、起きたら行くと思うわ」

 そういわれると、「ありがとうございます」と言って、俺は駆けだした。階段を下りて、昇降口を抜け、グラウンドを横切る。だが、何故だろう。もう、終わった気が、頭の片隅でしていたのだった。

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