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二十三話、二年前そのいち

 二年前。俺と遊がそう語る出来事の少し前、俺ら三人は、中学へ行く道を楽しそうに歩いていた。周囲から冷やかされることはあっても、俺らはこれを楽しんでいた。それほどまでにこの三人での行動は……楽しかった。

 なにをするにも三人一緒。そうとしか思えない関係だと、自分たちで思っていたし、周りもそう思っていたみたいだった。ボードゲームは三人で切磋琢磨し、カードゲームでも、テレビゲームでも、スポーツでも、三人でやっていた。

 卓球だって三人だったな。俺は粒高、遊はドライブ主戦型、アイツはカットマン。アイツだけ性別は違ったけど、三人で体育館を借りてやることも多かったな。あぁ、アイツを求めるから、俺たち二人は部活に入らないんだな。と暗に理解した。




「おい、遊君! 早い! 待って!」

「お前が遅いんだよ、早くしろ○○」

 名前は何だっけか。もう思い出せないのかもしれない。自分でセーブしているのかもしれない。

「空太君は大食らいだねぇ。まぁ、小食より、たくさん食べた方が、男らしいよ」

「そうか、○○?」

 そうだ、このことから俺は、たくさん食べるようになったんだ。あぁ、今じゃこんなに太ったな。

「ちょっ、遊君! 適正レベル+3レベルの敵とか、鬼畜すぎる!」

 このころから遊は、鬼畜GMだったな。アイツのダイス運が強かったんだな。少し思い出した。

「おい! 遊! ○○! 空太! うるさい! 廊下で立ってろ!」

 授業中に騒ぎすぎて、廊下に立たされたこともあったな。アイツは喚くのはすごく得意で、アイツだけ早く戻った覚えがある。当時はムカついたっけな。

「おい、○○。自重しろよ」

「え!?パワ○ロで、165km変化量13スタコンAAくらいふつうに作れるでしょ?」

「「無理だ」」

 ゲームの腕は天才的だったな……格ゲーは勝率9割5分を切らないし、音ゲーは大体を3日でマスター、UFOキャッチャーの取りすぎで店から出入り禁止くらったこともあったな。

 昔の思い出を振り返るのも悪くないな、と思いながら、俺は回想をやめた。これ以上回想しても、意味がない。そう自覚している。

「なんなんだろうな……」

 あの頃と比べると、今の世界は色あせたようにしか見えない。健介も勇次郎もいい奴だが、何かが、そう、違和感が、常につきまとってる。

 纏っているような違和感。その状態で過ごす日々。過去を知る人たちで、自分たち二人に近づく人は何人? 教室で、遊に近づかない女子の殆どは何処の中学出身? わかっている疑問を、昔の日々と今の現状を思い、歩けば、そこには自分の家のドアがあった。開けようとすると、鍵がかかっていた。仕方ない。鍵を開けた。

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