二十一話!友人へのラブレター
「いやー今日は大変だったよ」
月曜日の放課後。俺は遊と教室から出ていた。
「まぁ、おまえは女性恐怖症だから、一人の所に行くって言っていたしな。二人以上の所だと、じゃんけんとかで、女子が来る確率は高まるのか?」
「あぁ、そうだよ。おまえ等と分担につきたかったけど、四人で分担のところがなかったからなー」
今日の場所決めの話をしながら、階段を下りていく。靴箱に入り、靴を取ろうとした、その時だった。
「は!?」
遊が声を上げた。靴箱を開けたときに、だ。遊の方を向くと、ヒラヒラと、紙が舞っていた。淡いピンク色の装飾。俗に言う、ラブレターだった。
遊がラブレターを読み終わるまで。手持ち無沙汰で、座って待っていた。数分位すると、
「ちょっと呼び出しみたいだから、行ってくるわ」
告白で、ラブレターで呼び出しね。古風なことですね。まぁ、遊は携帯電話の使用率が異様に低いらしいからな。俺は基本会ってはなすけど、三日経ってメールが帰ってきたとか、よくあるらしい。それはそれとして、質問に答えることにした。
「おう、わかった、俺は先に帰っているわ」
まぁ、相手側のことも尊重して、帰っておくほうが無難だろう。長くなるかもしれないしね。まぁ、女性恐怖症の遊がそのお誘いを受けるかといったら、微妙なところだが。
「おう、すまんな」
遊はそう言って、階段を上ってた。上ると言うことは、屋上かな、とかたわいもないことを考えながら、俺は家に帰ることにした。
家に帰ると、暇になった。とにかく暇だった。積んであるラノベから、一冊を手に取り、読むことにした。積んであるラノベにおもしろさを期待するのは、酷なことだけど、おもしろいかつまらないかのギャンブル感を楽しめるという楽しみ方もある……と思う。
一時間くらい経ち、結構今回は当たりだったなと思いつつ、比較的薄めのラノベを本棚の既読に入れた。そうしたときに、玄関のチャイムが鳴った。外を見るとそこには遊が居て、無理をしているように、手を振っていた。窓から話すのもどうかと思ったから、急いで階段を駆け降りた。何か予感があったのかもしれない。そう、悪い予感が。
玄関のドアを開け、遊を見る。いつもの飄々とした感じは消え失せ、げんなりとしていた。
「大丈夫か?」
俺は聞いた。
「あぁ、なんとか」
そうか、答えられる程度には元気なのか、まぁ、手を振っていたから当然といえば当然か、と心の中で思った。そうすると、
「時間いいか?」
と遊が聞いてきたので、俺はなにか不穏な雰囲気を感じながら、夕飯までなら、と、答えていた。