十七話!暴走を始める……二人。中には友人
多少TRPGの用語の解説を。
オンセ……ネット上でセッションをやること。
セッション……TRPGをプレイすること。
シナリオ……GMが、敵モンスター、話の流れ、話の場所、罠などを決めたもの。セッションではこれを使う。
GM……セッションの進行者。セッションはGM一人(場合によってはサブGMがいる場合もある)とPL二人以上(一人でもできないことはない)で行われる。
まぁ、ググれば大体わかると思います。少しでもTRPGに興味を持っていただければ、幸いです。
家に上がりだした北条を見て、一瞬呆気にとられた俺だったが、すぐに元に戻り、
「話、聞いてたか?」
と、一言言った。
「聞いてたよ?私がいっても特に問題ないと判断したから、大丈夫だと思うんだけど?」
「いや、おまえはいいと思っても、遊が快く思わないだろう」
「そんな、決めつけは良くないよ。遊君は、私にメロメロな筈さ」
楽観的思考すぎる……北条の将来を本気で心配になった。
「いや、メロメロなら、発作とか起こさないから。普通に考えて。後、遊が断っているのに入ってくるのもどうかと思うんだが……」
「大丈夫だよ~私ボードゲームは結構得意だよ?混ぜてくれても損はしないね!ボードゲームは人数多い方が楽しいものだからね~」
その言葉に、俺は一瞬固まった。北条が言ったとおり、ボードゲームをやるときに、人数というのは大事な要素だ。二人でババ抜きや、人生ゲームをやっても楽しいわけがあるまい。
悩んでいる俺を見て、説得は終わったと勘違いしたのか、いや、半分くらい終わっているかもしれないが、北条は階段を上りだした。ちょっ!おい!と、止める俺の声を無視して、遊の部屋に入っていった。
結論として、俺と北条は正座させられていた。遊に。遊は北条が入ってきた時から、一分ほどふるえていたものの、何とか平静を取り戻し、
「空太!入れるなっていっただろ!北条!何でおまえが来るんだ!」
と怒気がこもった声で叫んだ。熱血教師っぷりを発動したのか、正座しろ!正座!とか言い出して、現在に至る。
「といいますのも……北条さんがボードゲームに詳しいと言いまして……それなら……と一瞬迷った隙に、階段を駆け上られてしまいまして……」
しどろもどろになりながらも、何とか弁明をする。
「北条、おまえは本当にボードゲームができるのか?」
「もちろんよ!オンセだって、何回もやったことがあるわ!」
オンセまでやっていたのか……俺は遊と中学時代の友人何人かでやることが多かった。オンセは俺はやったことがない。
「オンセか……結構あれは勇気がいるよな……」
ボードゲームどころではなく、オンセとなると、TRPGの中でも、結構な熟練者がやるものだと俺は思っている。スカイプありかはわからないが、それを女子がやるのは、珍しいだろう。
遊が、数刻迷ってから、
「なら、俺のシナリオをおまえ等でクリアできたら、許そう!ルールはSWだ!」
親友まで暴走し始めて、俺は困り果てた。