十六話!襲撃される友人
遊の発作が収まり、それぞれの家に帰った後、俺は考えていた。どうしたら、遊の女性恐怖症が直るのか……
だが、答えは出ない。特に特技はなく、平々凡々な高校生(体型と運動能力はマイナスだが)と言っても差し支えがない俺は、そんな大それたことを、考えつくはずがなかった。
仕方なく、昔読んでおもしろかったラノベを再読したり、ネットを適当に回ったり、オタクっぽい行動をしていた。
そんなこんなで過ぎた、金曜日。風呂に入っているときに、明日遊と遊ぶ約束をしているなーと思いだして、風呂から上がった後は、速攻で寝た。
土曜日。朝起きたのは遅かった。部活にも所属しておらず、特にする活動がない高校生なんてそんなもんだろ?違うと言った奴はリア充(断定)。
午前中はダラダラ過ごし、昼飯を親がいないことを確認してから、仕方なく自分で作った後、遊のところに遊びに行った。
俺の部屋は人様を呼べるほどきれいじゃない。カードゲームに使うカードやらラノベやらが乱立している。それに、学校でもらったものも乱立している。
「こんにちはー」
「あぁ、空太君じゃない。久しぶりねー」
遊の母さんだった。一昨日会ってから久しぶりなのか、そのことは忘れて、久しぶりなのか判断できず、とりあえず
「ひさしぶりですね」
と当たり障りのない返事をした。
「遊ねー部屋にいると思うから、上がって上がってー」
いい人だ。うちのどこかずれている母親と接している時点で十分いい人の中に入る。
「はい。ありがとうございます」
最大限の敬意を払い、返事をした。そうし、整頓しながら靴を脱ぎ、上がった。
俺は遊の部屋に行くため、階段を登った。そして、ドアを開け、
「おーい遊ー遊ぼうぜー」
と言った。
「おーう」
「なにするー?」
「もうそんなの昨日はなしただろー」
そういえば、昼休みのバトルラノベ談義から、バトルTRPG(机上で、サイコロを使って遊ぶボードゲーム)談義に派生して、そこから、二人じゃTRPGはできないこともないが、つまらなくなる可能性が高いから、二人用ボードゲームやろうぜーって話だったな。
「ボードゲームはわかるが、なにやるー?」
「将棋でよくね?楽だし」
「まぁそうだなー」
そう言ったときだった。
「遊君!居る!?」
大声で北条の声がした。遊に昨日怖がらせたことを解っていないのか……理解できない。傍をみると、遊は、多少ふるえていた。
「おい、遊大丈夫か?」
「昨日のを多少思い出しただけだ。直に収まる」
「そうか。俺が応対してくるか?」
「ああ。できれば家に入れないで来れ。また思い出すのが怖い」
「了解」
そう言うと、俺は、階段を降りた。おばさんが多少困った表情をしている。俺が、北条に言った。
「おい、お前が昨日遊にしたこと解ってんのか?」
多少怒気を伴った声だった。
「ええ。解っているわよ。だからこそ、今日はお詫びのお菓子を持ってきたわ。お義母さん、昨日はすいませんでした」
そう言ってペコリと頭を下げる。おばさんは怪訝な顔をしてる。遊め、昨日のこと言っていないな。
「おばさん。昨日遊と、この……北条が、ぶつかったんですよ。その時に当たり所が悪かったのか、発作が再発してしまいまして。軽かったので、大丈夫ですが」
おばさんは
「あらあら、そんなことがあったのー」
と言いながら、リビングへ菓子を持っていく。
「それで、今日は私も一緒に遊ぶわよ!」
「いや、遊は、帰ってほしいと言っていた。昨日の今日だ。悪い」
「大丈夫だと思うよー」
そう言いながら、家に入り始めた。俺は疑問符しか思い浮かべることができなかった。
更新が遅くなり、申し訳ありません。今後は以前のような速度を保のは厳しいと思います。