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首都・ブレリアン

「おぉー!ここが首都ですか!」


シエラが辺りを見渡すとどこもかしこもキャラクターがひしめいていて、そこら中に露天が開かれている

そしてチャットログを見ると「〇〇で安売り中!」だの、「今なら配送料無料でこのお値段!」だのとどんどんログが流れていく


「そ、ここがプレイヤー達の本拠地となる首都・ブレリアン。南が初心者用の草原、北が魔族の城方面で西は森、東が山ってなってる。まぁ南以外に行くときは気をつけろって事だ、近場なら敵はまだ弱いが少しでも奥に行くと絶対に勝てない。一般的に南から順に南西東北の順番で行くのが今のベターってなってる。そのうちに新しいマップが出てくるって言うからここもそのうち静かになるかもな」


バラバラと流れていくログの中で一生懸命にマークの書いた言葉を拾っているシエラ

無言になっているのに気がついてマークはフレンド会話だけを別のウィンドウで開く事を教えてやった


すると楽になったのか笑顔になったシエラをみてマークは少しだけ顔を背けた


「ここにいるとちょっと他のプレイヤーの迷惑になるだろうからちょっと離れようか、この先のエリアに酒場があったはずだからそこで落ち着いて話をしよう」


「はい!」


シエラの元気の良い返事を聞いてマークは歩き出す

少しだけその速度が速いのは彼のちょっとした心情からだろう


「あ、あれ?マークさーん?」


しかし今回はそれが災いした、彼があまりにも早足で行ってしまったので人ごみに遮られたシエラはなんとそのまま迷子になってしまったのだ

シエラは近くにいる人と会話する方法は知っていたが遠くにいる人と話す方法を知らなかった

しかもここでマークが教えたマナーがダメ押しをする


(えっとこういう場所では一般会話はログが流れてしまうからダメなんだよね)


という感じである

話す相手を帰られるということを教わった時点でやり方を応用しろよと言えなくも無いが、彼女は結構アレなのだ

そう、アレなのだ。アホなのだ


マークはいまだに気がついていないが彼女はアホなのだ

学校でも「マイペース」だの「ノロい」だの「アホの子」などと友達から真面目な顔で言われるほどの鈍臭さなのだ

頭が悪いわけではないのだがアホなのだ、ついでにドジなのだ


そんな彼女なのでそのままマークを見失ってしまった


(ど、どうしましょう?)


こうなってくると最初と同じようにアウアウと辺りをうろちょろしてしまうのが彼女なのであった

今回はマイクを切る方法を教えてもらっているのでチャットには表示されないのがまだましなところだろう


しかし、そうやっているとどこにでもいるのがふざける奴


A「お、そこに可愛い子発見wwww」


B「ちょwwネカマに反応するなしww」


C「もしかしたら中身も可愛い子かもしれねぇじゃんwww」


D「ないなww」


E「ねぇよwwwww」


という明らかに頭の悪い子達

こんなプレイヤーは今までにあったことが無いがきっといるに違いない。という作者の妄想から生まれた脇役A~Eである


まぁそんな会話が行われている事を全く知らないシエラは今なおアウアウと町の中をうろちょろしている

そして放置されている露天キャラを押してしまっていたりするのだが、そんなことには気が付いていないのかアウアウと動き回っている

するとそんな彼女に


A「どうかしたんですか?」


と話しかけた脇役Aが出てきた


「え?」


話しかけられたのでつい反応するシエラ

彼女の中では 話しかけてくる人=マークさんみたいな良い人 という構図が勝手に出来上がっているのですぐに警戒を解いてしまう


A「いや、なんだか迷ってるみたいだったので」


そしてこの言葉、マークと同じような事をこのキャラクターは言ってきたのだ

こうなってくると頭のアレなシエラはコロッといってしまうのである


「はい~、酒場に向かっていたのですが知人に置いて行かれてしまって」


「あぁ、それは災難でしたね。とりあえずフレンド登録をしますか、周りの迷惑ですんで」


「はい!」


このようにあっさりフレンド登録をしてしまうのだった

ちなみにこの時に水面下(仲間同士のチャット)では


A「うはwww初心者少女www」


B「ちょwwまじで口説いてるww」


C「俺にも紹介しろしwww」


A「フレ登録成功!まじ簡単www」


D「あとでばらされるなww」


E「「実は俺、男です」wwwwA涙目wwww」


B「↑ありそうで怖いww」


A「俺の夢壊すなしww」


といった感じのやりとりがあったとかなかったとか

そんなことは相変わらず知らないのでシエラはドンドン先に進んでしまう


A「ところで相棒システムってしってますか?」


「はい、知ってます」


相棒システムというのは男女のペアになることによりどちらかが敵を倒したらその経験点が両方に入るというもの、もしインしていなくても経験点が入るのでとても便利な機能

しかも連携技なども存在していて、最後の方になってくると相棒の存在がかなり重要になってくるが大切なものなのだ

ただしそれ専用のクエストをクリアしなくてはならなかったり、解散するときにも手続きが必要などかなり面倒なのだ


なので普通であればこういった事は付き合いが長い人物と相棒になるのが一番なのだが、彼女はそんな事を考えていなかったりする、考えていても「なるとしたらマークさんが良いな」程度だ、それに「ただのゲームだし誰でも良いかな」とも考えていたりもする


そこらへんを闊歩している廃人とは考え方が根本から違うのだ


因みに水面下では


A「さすがに相棒システムは知ってたか…」


B「知らなかったら連れ込む予定だったのかよwww」


C「おまwwwひどwww」


と少しだけAが非難されてもいた


A「実は私相棒を探していまして、それで良かったら相棒になっていただけないかと思いまして」


「えぇ!?私がですか!?」


知っていたとしても初心者ならその重要性は分かっていないだろうと思ったAは強攻策に打って出た

このまま押し切れば(ゲームでは)美少女と相棒になれる!今までのように男の友人が作ったキャラとならなくてもいいんだ!とか考えていた


「えぇっと、私で良いんですか?」


A「もちろんです!」


内心ガッツポーズを決めたAだったのだがシエラが了承の言葉を書く前に


「待てい!」


と誰かの声が響いた

誰だ?と思いながらふきだしのほうを見てみるとそこには長身の美女が立っていた


「貴様……たしか女ったらしのAだったな!そこら中の初心者らしき人を見つけては声をかけてレアアイテムを持ち出して「コレをあげるから相棒になってください」と土下座して回っていると言うあの!」


どうやらAはゲーム内ではかなりの有名人物だったらしい

そしてその言葉を聞くと明らかに狼狽したように


「そ、そんな事はないですじょ」


と言った

どうやら音声入力だったらしく声の震えがリアルに再現されている


「ふ、そんなホラを吹いても無駄さ!さぁそこにいる美少女よ!私のところに来なさい!そうすればアイテムを差し上げるわ!あの服とかこの服とか!」


しかし、どうやらこちらの女性も同類のようだった


「な、あんただって俺とやってることが代わらないじゃないか!」


「なんですってこの下種!私は別に対価なんて求めていないの、ただ……」






「女性キャラはたとえネカマだろうと構わない!彼女が画面の中で綺麗ならば!」






女性はシャウトした

リアルにシャウトした

何故か分からないが「女性キャラは~」の部分だけ別にしてエリア全体に響くようにシャウトした


「こ、この台詞。間違いない…」


「あぁ、奴だ」


「奴がこのエリアにいる……!」


ザワザワと露天広場から声が聞こえてきた


A「この台詞……まさか、貴女があの!」


「ふ、服を配り歩いて一年。まさかここまで有名になっているなんてね」


「あ、あの?」


完全に置いてけぼりになっているシエラ

しかしそんな彼女を完全に空気にするべく美女は動いた


「さぁ、諦めて貴方はどこかに行きなさい。そしてその労力を世の美少女キャラのためについやすのよ」


「イエス・マム!」


そしてAはそこから走り去っていくのだった


「さて、貴女これからどうするの?良かったら私のところに来ない?良い服をたくさん用意しているわ」


その言葉にシエラはちょっと先程までの言動にひきながらもどうやら悪い人ではないようなので付いていこうとしたのだが


「おい!お前何やってるんだ!」


と再び発現する前に誰かによって遮られるのであった

しかしそれは今探している人物で


「ムー、あれほど他のキャラに迷惑をかけるなと言ったのに」


「あら失礼ね、これでもちゃんと人助けをしてたのよ?」


どうだか、と肩を竦める


「シエラ、探したぞ」


どうやらそこの美女と知り合いのようだった

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