それでも見捨てるのは嫌なんだ!
「う〜ん。無理だね」
「oh my god!なんで!?」
なんとかマリーさんの家まで帰り、アオを一緒に住まわせられないかと提案したところで、秒で却下されてしまった。
「いいかい。その1、ウチは働き手はハジメだけで十分。 その2、ウチにはそれ以上の衣食住を賄うだけの余裕はない」
「この子の分は俺のお給料から払うから」
「ハジメのここの稼ぎじゃまだ人1人養えないさ」
「それはそう!!」
そう言われて思わず同意すれば、アオは下を向いてしまった。
「じゃ、俺、もっと頑張って働いて……!」
「その3、子供とはいえ、赤い眼の子を置けない。悪いね。ウチも接客業だからさ」
マリーさんの言葉に引っかかって、その顔を見れば「やっぱり知らなかったか」と子供を諭すような顔で見られた。
「ハジメ、この世界では赤の目を持つ子は魔族の血が流れてるんだ。だから、申し訳ないが置けない」
「で、でもこの子が悪いことをしたわけじゃ……」
そう言いながらもお財布スったことは悪いことではあるなとか少し思ったりもしたが、今はそれは置いとこうとした時、マリーさんは真面目な顔で俺を見ていた。
「魔族は魔族を呼ぶ。つまり魔物を呼び寄せるんだ」
「……!」
「心当たり、あるんだろ」
俺とアオの汚れた服を見て多分察していたのだろう。
俺は視線を彷徨わせると、繋いだ手を離そうとするアオの手をギュッと握った。
「マリーさん……冒険者になる方法を教えて!」
「ハジメ……いいかい。その中途半端な優しさはこの世界では命取りなんだよ」
マリーさんに悟られるように言われて、俺は唇を噛み締めて少し溢れてしまいそうな涙を堪えながら、顔を上げる。
「冒険者になる方法を教えて下さい!」
「ハジメ……」
「俺は簡単な……ことしか、出来ないかも知れない……!それでも、見捨てるのだけは嫌なんだ!」
真っ直ぐにマリーさんの目を見て言えば、真面目に見返されるのを俺は絶対に目を逸らさないと……瞬きでもしたら、涙が落ちてしまいそうでかっこ悪いけど、それでも曲げない男の決意を述べると真っ直ぐに、ただ真っ直ぐにその目を見つめた。
「泣くんじゃないよ」
「泣いてないよ!」
「……ハジメじゃないさ」
近付いてきたマリーさんは俺の……いや隣のアオの前で座ってに視線を合わせる。
「悪かったね。いままで辛い思いしたのはアンタだったのにね」
「……べつに」
そう言いながらもそのフードで隠れて見えない顔から一粒の雫が落ちている。
「アオっ!!お兄ちゃん頑張る!」
「誰がお兄ちゃんだ!」
思わず抱きしめてやれば、離せと押し返されるが、その力は先程のパンチに比べて弱いこと弱いこと。
「ハジメは馬鹿正直で馬鹿真面目で、馬鹿だけど、いい奴だよ」
「マリーさんバカバカ言い過ぎよ!?」
アオを抱きしめたままに言い返せば、マリーさんは奥に行くと、また何かを持ってすぐに出てきた。
「餞別だ」
ホイの投げられた鞘に入った剣を受け取れば、
「重ッッッ!!」
と、思わず声が出るほどに重くてマリーさんを見返す。
「なんだ、冒険者になろうってやつが貧弱だねぇ」
「マリーさんが強者なだけだからね!?」
「じゃ、この辺か」
次に出されたのは懐刀くらいな小さなの剣で、なんとなく手にしっくりときたと見つめていれば、マリーさんは察したように笑ってくれる。
「あげるよ。冒険者になるんだろ」
「いいの?お給料も貰ったばっかなのに」
「餞別だ。ってゆーのもあるけど、まぁ、冒険者の頃の伝手、てゆーか仲間の遺品だからね。捨てるに捨てんなかったし、持っていきな!」
「違う意味で重いッッッ!」
そうは言っても装備もない木の棒と鍋の蓋で冒険者になるには流石に怖いと素直に頭を下げる。
「短い間だったけど、ありがとうございました」
「まぁハジメ自体が拾い物だからねぇ!好きに生きな!」
「ありがとう!」
笑顔で言えば、マリーさんは相変わらず豪快に笑ってから、頑張りなと背中をバンッと叩いて喝を入れてくれた。
……その力で倒れたあたり、冒険者としてやってけるか不安しかなくなったけど、男に二言はないと、俺はその日はマリーさんのご厚意で最後だからとアオと2人で俺の借りてた部屋へと泊まり、翌日には身分証の発行をして、それから馬車に乗り隣町にあるギルドまで行き登録して……、俺は冒険者になった。





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