これは僕たちの……思い出の品だから♡
「いやいや!! キョーラすげぇなぁ!! オレッチが飲み負けたのなんて何年振りだ!? ここ十数年は無いくらいなんだけどなぁ!!」
翌朝、堂々とご飯まで食べながら楽しそうに笑うそれこそまだ十年程度しか生きてなさそうな見た目のデックスに俺は苦笑いを返し、俺は水だけを飲み干した。
キヨラはアルコール自体は解毒して酔いこそ消してくれたが、やはりなんとなく胃がもたれてる気がする。……ハジメまだハタチですから飲み慣れてないの。ぴえん。
「で、ハジメはオレッチに聞きたいことがあるんだろ? エルフか? それともドワーフの鍛治技術か? なに、呑めねぇくせに付き合って呑んでまで聞こうとしてくれる相手に悪いやつはぁいねぇさ! 遠慮なく聞けよ」
「デックスさん、いいんですか!?」
「よせやい。そんな堅っ苦しい話し方はやめてくれよ‼︎ それにデックスでいい」
ゲラゲラと笑って、分厚いハムに齧り付きながらデックスが言うのに甘えて、その顔を見て問う。
「何から聞けば……それに、鍛治技術って言われても、そういや俺ら特に武器持ってないしな……」
「はぁぁ!?」
考えてみれば包丁代わりのナイフと、キヨラも最初こそ杖持ってたけど、『こんなん持ってたらバレるしコツ掴んだからいらない』と、四次元バッグにしまったままだと呟けば、信じられないとばかりにデックスが声を荒げた。
「魔石のついた武器持たずにこの村まで上がってきたのか!?」
「そういうことになるのかな?」
「どうやって!?」
「…………運?」
「そんな馬鹿な!!? 聖なる加護でも貰ってんのか!?」
ヒヤリとする俺とは裏腹に、頭に手を当ててただただ目を見開くその様子にキヨラが口を開く。
「ハジメがヒトの町で手に入れた幸運のお守りのおかげかもしれません。あれを手に入れてから運が良くなった気がしますし」
なんのことと聞く前にキヨラは俺の胸ポケットから小さな袋に入れたピンクの宝石をコロリと出せば、デックスが更に目を見開く。
「欲しい! くれ!」
「ダメですわ。これは僕たちの……思い出の品だから♡」
「かぁっ!えれぇ惚気てくれんじゃねぇか!! 手に取って見ても?」
「それくらいでしたら」
最初の頃に倒した怖い顔のウサギから出た、キヨラ曰くレアドロップ品ってだけで、思い出の品って程のものかと思うが、キヨラから余計なことを言うなのオーラを感じて頷くだけに留めていればデックスの瞳が輝き出す。
「おぉぉぉぉぉ!! すげぇ!! 本物の加護が付いてるじゃねぇか!! 売ってくれ!」
「お断りですわ♡」
「駄目かぁぁぁぁ!!」
再度断られてもオデコをペチリと叩くのみで笑うデックスからは陽気でただただ人の良さが伝わってくる。
「デックスさ……いや、デックス。俺、酒は飲めないけど、また一緒に飲もうよ。今度は最後まで付き合うよ!」
「おぉ! やっぱハジメはいいやつだな!!」
「その時は僕も……ほら、ハジメがまた潰れたら大変ですもの」
「キョーラもいいやつだな!! ハジメはなんで抱いてねぇんだ!?」
「ゲボォ」
思わず飲んでた水を吹き出しそうなって、それでみんなで笑ったところでまたデックスが話し始めてくれた。
「キョーラはともかく、ハジメは魔力使いにしちゃ馬鹿の一つ覚えみたいな身体だな」
「……なんでわかるの?」
『掴む手』しか正に手のない俺のこといい当てられて目を見開けば、デックスはカラカラと笑った。
「オレッチはエルフじゃ無いから詳しくはわからんが、魔力の動きが偏ってる。何が使えるのかなんか野暮なことぁ聞かねぇが、全身に回らせるやり方をエルフに会ったら聞いたらいい。それよかまずは武器でも持ったらどうだ?」
「武器……かぁ。何もピンとこないんだよなぁ〜。とりあえず包丁買おうかなぁ。最近切れ味悪くてさ」
首を捻り腕を組み、そんな悩みを告げればやはりデックスはゲラゲラと笑って、
「ハジメはそのまままっすぐに生きろよ〜」といつの間にか準備されてた酒を煽った。





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