ハジメはちん○ついてんのか?
「そぉかぁ〜! キョーラはその綺麗さから王族の嫁になるところを逃げてきたのか? ヒトにしちゃ珍しいピンクな頭ってのも気に入られたんかな?」
「そうなのかもしれません……。ある日強制的に突然呼び付けられて……、だから逃げてきたのです」
頬に手を当てて儚げな雰囲気で話せば、デックスは可哀想になとでも言うようにその眉を下げて話を聞いてくれると、今度は怒りに顔を染めてジョッキを机に叩きつけるように置き、
「なんって、そりゃぁヒデェ話だなぁ!! そんでハジメとはどうして旅を?」
「彼とは同郷でして……久々に逃げた先の森で出会って、話をしたら共に逃げてくれると」
「幼馴染の恋愛物語ってやつかぁぁ!!」
「いえ、彼とはまだ恋人では……」
「……まさか手、出されてねぇのか? ハジメはちん○ついてんのか?」
そうして寝潰れたハジメに信じられないと視線を向けるデックスに、
「恥ずかしいですわ」と笑えば、「悪ぃ悪ぃ」とまだ信じられないものを見る顔でハジメを見つめていたが、そのボサッと広がった瞳と同じ土色の髪をヘアバンドのようなもので抑えたその小柄な見た目は、子供相手にたしかにこんな話をしている気持ちになり複雑だ。
まぁ身の上話は色々ホントだし嘘はついてないし、デックスにお酒をついであげながらまた話を続けることで彼の内面に入って行こうと演技を続ける。
「ですので、もしヒトや誰かに僕のことを聞かれても知らぬ存ぜぬを通して下さいませんか?」
「そりゃぁ勿論だ! でもまぁエルフの結界もあるし、ここにゃぁ普通はヒトも魔族も入り込めねぇ!! たまにこうして迷い込むやつはいるらしいが、それだって何十年振りだな」
「そうなのですね。運が良かったわ」
笑って言えば、デックスは「それはそうかもだが、オレッチの方が運がいい」と笑い、ハジメがいかに面白かったかと話し出してしまい、なかなか聞き出したいことは聞けずに、彼はひとしきり喋ったあとに、寝ているハジメの横の一人用のソファに座ると大いびきをかいて寝てしまった……。
*****
「ハジメ」
「んぁ!?」
寝ぼけたその口を押さえて、ジトッとした視線を送れば、近場で寝ている大いびきのデックスに気が付き、解毒魔法により冷静を取り戻したようだったので、そのまま寝室へと誘う。
「この村のこと何か聞いた?」
「いや、何も」
「何しに出てたの?!」
ジトっとした目を向ければ初めは慌てるように正座して、記憶を甦らせていこうとしてるのか、その黒い瞳を左右に揺らすと思い出したのか見開いた。
「情報収集と買い物しよっかなぁとしてたら、あの子……いやデックスさんに捕まってさぁ」
「そんで飲んで飲み潰されてたってわけ?」
呆れたと告げれば、「一杯飲めば話聞けると思ったんだよ」とハジメは嘆きの声を上げる。
「アレ、アルコール度数50だったよ」
「オーマイガッ」
やられたとばかりに両手を頭につけて嘆くハジメを見て思わず笑ってしまえば、そのまま頭を情けなげに掻いて「ごめん」とショボンとする姿は大型犬のようでなんだか可愛らしいと思えてしまうのは、なんだか狡いと思ってしまった。





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