ポリエステルとか?
「晴れてる!」
「よし! このくらいならキヨラを背負いやすい!!」
「いや今日は僕も歩くよ」
「珍し!!!!」
翌朝は晴天。
雪も解けて水は地中に吸われて、少し湿りはあるが昨日よりは歩きやすそうなその状態を見てキヨラも覚醒したのかと思えば、キヨラは笑顔で、
「足滑らされて僕ごと転ばれたら大変じゃない」と、あまり信用されていない言葉に「それはそうだ」と苦笑いを返した。
そうして暫く2人で歩いて、薬草を拾い、モンスターを倒したり、強そうで隠れたり、休憩してたり、ご飯食べたり、キスされたり、慌てたり、魔石拾ったり、蛇見つけて驚いたり、蜘蛛の魔物がキヨラの足に登って、それからやはりおんぶしたり……。
そうこうしてる間に、小さな小さな村へとついた。
「って、キヨラさん、途中なんかその、アレがありましたが……?」
「キス?」
「そうです! あの! 動揺するんで!」
村へと入る前に言っておこうと、あまりお兄さんの理性を試すようなことをしないでと必死で告げれば面白いものでも見つけたかのように笑うその顔はまるで天使に見えて、悪魔が宿って……いや、サキュバスっぽいです聖女さま!!
「……どこから来た」
近くから聞こえた低い声に慌てて周りを見渡し、気付く。
俺の前には俺の腰よりは少し背の高い……オジサン。
「こ、こんにちは」
「ヒトがどこから来たのだと聞いている」
「えっと、あっちの町から?」
きた報告を指差して、説明すれば気難しそうなその顔は更に気難しそうに変わってゆく。
「ここはドワーフの村だ。ヒトの入るべきところではない」
「ドワーフさん! 勝手にすみません! しかしそこをなんとか! そろそろ食料も尽きそうだし、正直ゆっくりベッドで寝たい!!」
「ドワーフは総称じゃ。ワシの名前はドエン」
「ドエンさん! お願い!!! あと俺もヒトじゃなくてハジメです!!」
キヨラを降ろしてから手を合わせて懇願すれば、ドワーフの親父さんのドエンさんはキヨラをチラリと見ると「ついてこい」と背中を向けて歩き出した。
******
「えっと、お邪魔します」
「失礼します」
キヨラは念の為だと森を抜ける頃からまた着けていた茶色のカツラのまま、美少女スマイルを浮かべてドワーフのオジサンから招かれた屋敷へと共に入り、一段高い場所の床に座るオジサンの前の藁のようなもので編まれた座布団の床へと座ると、待っていたかのように口を開かれる。
「……偽るな」
「何が?」
素直に聞き返せば「お前じゃ無い」と相変わらず気難しげに言われて、
「そこの娘だ」と杖で指される。
「ドワーフは物を作るのだ。貴殿の髪が偽物なことくらい、わかる」
キヨラはそう言われて、小さく息を吐くと「失礼いたしました」とその頭に手を掛け、カツラをとれば相変わらず綺麗なピンクの髪が現れた。
それを見てドワーフは立ち上がり、無言のままキヨラへと近づくのを……聖女だとバレたなら何かあればと行動を取れるように足に力を入れれば、伸ばされた手はキヨラにではなく、そのカツラにだった。
「おぉぉぉぉぉ!!! なんだこれは!? 触ってみても髪に近いな!? しかし本物ではない!! 何で出来ている!?」
「存じ上げません。ポリエステルとか?」
「ポ、ポリエス……? なんとも知らんな。 人とはそんなものを創れるのか??」
「この世でわたくししか持ってません」
「そうか!! もう少し見せてくれんか?!」
「いいですけど、丁重にお願いしますね。切ったり焼いたり、煮たりしたら許しませんよ」
「そんなことは……しっ、しないと約束しよう!!!」
「間が怖いので返して頂きたいわ」
「しない! 絶対しないから一週間……いや、3日…4日だけ5日だけでもいい! 貸してくれんか?!!」
「困りますわ。わたくしそれが無いと外も歩けませんの」
「髪色なら染料で染めるなり、そうじゃ!! 1人エルフの知り合いがおるからその者に魔法で変えてもらえばいいんじゃ!!だから後生だからくわしく……!」
そこまで言われて「エルフ?」とキヨラが聞けば、ドエンさんはうんうんと清らかな瞳で頷く。なんか可愛いなオッチャン!!!
「ヒトと違ってワシらは持ちつ持たれつじゃ。ワシらドワーフは人と違って必要以上に木を切らず道具を作り、そしてエルフはその道具を使う見返りに、森の立派な木々を譲ってくれる」
「木、くれちゃうんだ」
ドエンはドヤとでも言うようにカツラを机に飾りながら言うそのセリフに思わずツッコめば、
「そりゃエルフも本棚とか机とか便利じゃろ?」
と、無垢な瞳でカツラを見ながら答えられた。オッチャン目の前の道の物にキラキラしすぎだわ。
「で、ドエンさん。そのエルフはどこにいらっしゃるの?」
キヨラが微笑みそう聞いた。





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