まぁ出ちゃうよね。オコだもん
「待て……!」
「あぁ、なんだぁ?」
俺の声に不機嫌そうに返すのは、馬車を囲う男達。
あれから走って走って、荷物がさほどないのに荷馬車に乗っていったという男達の話を聞いて町の外まで追いかけて、そんな町の門を出てさほど離れていない場所で、しかも雪が少し積もる中にもかかわらず……、わざわざ馬車の積荷を積み直してる男達を見つけ声をかけた。
「不躾で悪いけどさ、荷物を……見せてくれないか?」
「町の門番には確認させた。なんでお前になんか見せなきゃいけねぇんだ」
「いいから……頼むから」
息切れしながら必死で頼めば、その男たちは顔を見合わせると、こちらに笑みを浮かべた後に、
「嫌だね」そう馬鹿にするように笑うと全員勢いよく馬車に乗り込むと馬をけし掛け走らせてしまう。
「待ってくれ!!」
「馬鹿正直に見せるやつがいるか!!!」
ヘラヘラと笑い逃げる姿を見れば、そいつがいつか見たキヨラを探す聖職者と一緒にいた男だと気がつく。
「おい!!その子は、聖女なんかじゃ……!」
「そんなもん知るか!俺らはピンク髪の女を連れてこいしか言われてないからな!!」
その言葉はもう肯定でしかなくて、俺は走り出した馬車に追いつくわけもないのに、走り出していた。
「馬鹿が!! 人の足で追いつけるはずがねぇだろ!!なぁ!?」
冒険者風の男が馬鹿にするように笑い、荷台にのる味方に目を向けて声をかけた時、その視界に入ったのは巻かれた布団の紐を解いて気絶したキヨラを抱きしめた……俺だった。
「テメェ……!? どうやって!?」
男は馬を嘶かせて止め、荷台の気絶した仲間を心配するより俺たちに先に手を伸ばしてきたのを避けると、急いで馬車を降りれば男はその場の仲間を叩くように起こす。
「ハジメ……」
抱いたキヨラが伸ばした手はそっと頬に当てられれば冷たくて、それでも無事で良かったと息を吐く。
「キヨラ、良かった……」
「……ごめん。鍵は、閉めてたんだけどさ……」
「うん。後で聞く」
「……う…ん」
そういうとキヨラはまた意識を失うのを見て、その首筋や腕に掴まれたであろうアザが見えれば、心臓が掴まれるような痛みを覚えた。
「てめえ……!どうやって……!?」
掛けられた声に振り向けば、無意識に声を張り上げていた。
「ウァァァアァァァアアァァァァッッッッッ!!!!!!!!」
我ながら地響きさえ起こしそうなその声に驚きながらも、止められない怒りに震えていれば、ペチンと頬が掴まれた。
「五月蝿い」
「あ、なんかごめん」
俺がみるみる冷静になると腰を抜かした先程の男が目に入り、馬車で起こされた男たちはまた気を失っているのを見て、キヨラを抱いたまま俺が近付けば、失禁でもしそうなそのリーダー格の男の肩を踏みつけ、
「またコイツに手ぇ出してみろ。切り刻んで豚の餌にしてやるからな」
「……はひ」
男の粗相なんぞ、いやダレ相手のでも粗相なんぞ見たくないから、そのまま足に力を入れて蹴り倒して振り向きざまに、
「……この子のことを教会にでも伝えてみろ。孫の代まで祟り続ける」
「も、勿論で……す……」
何故だか男は立ち上がる力すらないまま、そのままグルンと白目を剥いて倒れたので、
「えー……そこまで?」
ちょっと脅しが効きすぎだと我ながら引くと、まぁいいかとキヨラを抱いたまま町まで戻った。
*****
「いや、怖いから」
「ハジメさんは人畜無害、ちょっと平均身長が高いだけの堅実な大学生だよ!」
部屋に帰って早々に疲れたと椅子に座れば、向かいに座ったキヨラに指差されていわれた。
「殺気出てたからね」
「まぁ出ちゃうかもよね。オコだもん」
「可愛く言っても駄目だからね」
「え!?キヨラ、俺を可愛いと思ってくれてるの?!」
嬉しくて指先でハートマーク作ってウインクしたら、なんかすんごいヤな顔された。すみません。ガタイのいい男の可愛いは、本物の可愛いの前では無様に散るのみでした!!





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