お前たちは優しいな
前話投稿時に間違えたお話を投稿してしまい誠に申し訳ありませんでした。
上書きで正式な話数に変えてありますので、ご確認していただけると幸いです。
誠に申し訳ありませんでしたぁぁぁぁ!!!
尚。こちらのコメントは後日消します。
本当にすみませんでした_| ̄|○
そう言ってまた飛び上がりの竜の背を狙うが、竜はまた口から火を噴くと相手の動きを止め、立派な尻尾を使いその背に俺を乗せて空を飛びあがった。
「ごめん兄貴!俺、弱くて」
『弱くなどない。お前達は余を守ってくれたのだろう』
「全然駄目だし、キヨラの壁が無きゃ俺一撃であの世だったし!」
『カッカッカッ!なぁに、気持ちで十分だ!お前たちは優しいな』
背中に乗せて飛んでくれたのは、きっとキヨラの存在を気付かれて距離をとってくれたんだろう。俺なんかよりも羽根に傷を負ってるのにも関わらずそうしてくれる、兄貴の優しさに申し訳なさが溢れる。
「ごめん!元はと言えば俺が兄貴に話しかけてなければ」
『そんなことは関係ないな。ヤツは元より余を狙ってやってきたのだろう。称号の為に』
「称号?」
『異世界にはないのか?ステータスに称号は』
「元の世界じゃステータスがまず目に見えないんだわ」
『不便な世だな』
「まぁそれはそれ」
不便と言われてもそれが当たり前の世界では別に問題は無いし、パッと見えちゃう方がなんだか嫌だとかの押し問答はする必要はないとか思っていれば、兄貴は突然スピードと体制を変えると、今までいたあたりに鎌鼬の鎌みたいな何かが見えた。
「ナニ今の!?」
『風の魔法か。空気を切ったんだろう』
「よくわかんないけど、俺との相性最悪っぽい!!」
空気を掴む手と表された俺の技相手ではそりゃ掻っ切れて血もダクダク出るわと、こんな時のためにとキヨラから常にポケットに一本ポーションを入れられてたと半分飲めば傷が塞がる。
「半分で悪いけど兄貴も飲んで!」
『気にするな。人の回復薬は余には効かんからな』
「試してみなきゃわかんないじゃん!?」
『カッカッカッ!長く生きればわかるものだ。ハジメ、だから気にせず傷の深いお前が飲め』
その目は優しくて、でも嘘を言ってるようには見えなくて「俺だけごめん」と、明らかに俺より傷の深い兄貴に謝ってから残りも飲めば、体力も回復したのを感じる。
「おわわっ!!」
体力が回復して早々に、右に左に旋回する兄貴に必死でつかまってれば、あることに気がつく。
「俺下ろした方が自由に飛べるじゃん!?」
『降ろせば先に殺されるだろうなぁ』
「ごめんっ! それは困るっ!!」
ぴえんと涙を浮かべれば、必死の旋回中だろうにまた竜の兄貴は笑った。
『こんな時だが、ハジメ達と会えてよかった』
「それは俺もだけどさ!」
『人には畏怖されてきた故、恐れさせぬように山にいたが……もう少し早く出てくれば、こうして人とももう少し触れ合えたかもしれんな』
「兄貴は人が好きなんだね」
『……』
答えはなくともその優しげに細まった目に言葉を発しようとした時、兄貴の体がグラリと傾いた。
「兄貴!!」
『案ずるな。落ちたりはしないさ』
見ればその羽には更に大きな傷が付き、先程までのようには飛べないと示していた。
『ハジメ……いいか』
その先に告げられた言葉に俺は息が止まる。
「嫌だよ!!どんな事情があったって俺は……!」
首を振り断っても兄貴のこちらを見る目はやはり優しく、それでも厳しさが見えた。
「嫌だからな……!」
繰り返し嫌だと首を振ったとき、またも風の力で兄貴の片方の羽根は傷付き、バランスを崩てそのままなんとかバランスを保ちながらも地面へと降りていった。
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