勝手に呼び出した癖に捨てられましたが!?
俺の名前は佐藤一。
大学に通う為に一人暮らし中の20歳。
「ねっむ……」
その日は朝練に向かう為に始発の電車に合わせようとジャージで住宅街を歩いていれば、前には制服を来た可愛らしい女子高生が一人。
(朝早くから大変だねぇ、って俺もか)
欠伸をして無意識に閉じた目を開いた時、その女子高生の足元のマンホールの蓋が空いてるのが見えた。
思わず「危ない」と声を掛けるが早いか無意識に駆け出して、その腕を掴んだ時……マンホールだと思ったその穴からは何故か光が溢れ出していた。
「え!?」
「な、んだ!?コレ!?」
引っ張た彼女はその光の外へと出していたらしく、穴の上には俺だけ。
しかし落ちることなく何故か宙に浮かぶようになった俺に、さっきとは逆に伸ばされたその美少女の手を掴もうと、こちらも手を伸ばした……までは覚えている。
「………え、つまり俺、召喚されました?」
「お前なんかを召喚してない!! 僕の伴侶になる聖女はどうした!?」
「いや、そんな勝手なこと言われても」
俺にとってもその彼女にとっても正に勝手でしかない言い分に苦笑いを返せば、その様子が腹立たしく思われたのか、またもその剣が振られるのをなんとか避けた。
「王子!! たとえ目的と違ったとはいえ、彼も召喚されし者です!何か特別な力を秘めているかもしれません!!」
必死な神官らしきヤツの言い分に、王子とやらはまた振り上げようとしていた剣を舌打ちしながらもなんとか鞘へと収めてくれると、見た目は金髪イケメンな王子のテンプレ満載な彼がこちらへと歩み、胸元を掴んでくる。
「ステータスをオープンしろ」
「なんてベタな」
「なんだと!?」
掴まれた胸ぐらの力が強くなり、伸びるタイプの生地の服で良かったと、184センチと長身な俺よりも背の低いように見えるイケメンくんの態度に溜息を吐きたいが、また剣を出されては堪らないと諦める。
「ステータス、オープン」
まるでゲームだと言われたままに言葉を出せば、“ヴヴンッ”と、目の前に透明モニターのような物が現れれて、そこに書かれていたのは、
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サトウ 1
種族 ヒト科
年齢 20
職業 学びビト
スキル 持たぬ手 たがいに打つ シノビ
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「なんだこのよくわからないクズスキルは!?しかもレベル1だと!!?」
「あ、いや、それは……多分、ハジメ……」
なんか日本語で読めるけど、日本語を翻訳して、更にまた日本語に戻したような……それとも素直に文字化けなのかと、色々ツッコミどころしかたないこのステータスを訂正しようと思った時、「もういい!」と王子の声と共に俺は簀巻きにされて城下町を囲う門の外に捨てられました。
「え!? ちょ!? マ!?」
「安心しろ、お前のことは無かったことにする!!殺さないだけ感謝して自由に生きろ!!」
王子様にそんな酷いこと言われて、紐だけ切られて、目の前の門はバターーン。
え? 酷すぎない???