やっぱり地産地消!
「つーかーれーたー」
「お疲れ」
部屋についてベッドで横になれば、キヨラが上着を脱いで荷物の整理をしながら淡々とだけど癒しの言葉をくれる。『お疲れ様』とはなんと良い言葉なのか!『疲れる』に『様』つけちゃうんだよ!!日本語の尊さよ!……いや、キヨラは様つけてなかったか。まぁいいや。
「ところであれさーギルドでEランクの依頼だったけど、絶対Eじゃなかったよね!?」
「そうだな。行ってみたら崖の中腹に咲いてる花だったしな。安心しろ。僕がこのままじゃ渡せないって依頼料釣り上げてきた」
「流石キヨラ様!!神様仏様聖女様〜グエッ」
最後の言ったところで「その名前で呼ばないで」とポーション投げつけられた。くそう、痛いけどこれ飲めばすぐ治っちゃう!!地産地消!違うか?自給自足??なんだっけ?
ちなみに崖の中腹で普通ならめちゃくちゃ大変だけど、キヨラが崖の上から浮遊で降りて、その身体に縄巻いといて、降りるはいいけど上がるのはどうも苦手だというキヨラを俺が力技で引っ張り上げたので、多分まだ危険は少ない方だったかとは思う。
「ポーションありがと」
「いいよ。材料また取ってきてくれれば」
「やっぱり地産地消!」
「うるさいなぁ」
何言ってるのと嫌な顔をされるけど、まぁいいかと聖女様のありがた〜いポーションを頂けば、疲れも回復、元気も回復。なんで便利なんだとジッと瓶を見る。
「ねぇねぇこーゆーのってさぁ、煮沸消毒?」
「ハジメってどうでもいいこと気にするよね」
「日本人としちゃ衛生面が気になるじゃん?」
「僕の浄化の魔法だよ。菌の汚れもピッカピカになるよ」
言われて思い出して俺はベッドから身体をおこして指をを鳴らす。
「あー!キヨラが旅の途中でたまに身体にもしてくれるやつか。瓶にも使えるのか!凄いな魔法」
「たまにって、僕は僕に毎日してたけどね」
「え!俺には大体2日に1回か3日に1回だったじゃん!?」
「ハジメは川があれば水浴びしてたし、僕みたいな美少年はそう油断して脱げないからね」
「見張ってあげるのに」
「僕の身体を?」
親切心で言えばアキラは身体を守るように腕を回してジト目で返されて首をブンブンと左右に振る。
「いや、俺は違うじゃん!? 見ようと思えば宿でも見れるし、一緒に寝てるんだからわかるよね!?」
「つまり僕のこと、そーゆー目で見てたの?」
「だからーーー!!」
ぴえんと嘆けばキヨラはおかしそうに笑うのを見て揶揄われたのだと気付いて、俺は胡座をかいて不貞腐れる。
「ふふっ、ごめん。ハジメがあまりに揶揄い甲斐があるからさ」
「怒るぞ」
「ごめんね」
そう言うとキヨラは俺の頬にキスを落として「シャワー浴びてくる」と笑って、浴室へ向かった。
美少年だろうと美少女だろうと、美であるには変わりないキヨラの行動に、俺は思わず両手で顔を押さえて、そのまま俺はベッドで倒れるように横になると、
「………やめてぇ〜〜。DTの情緒を揺らがさないでぇ〜……」
ちなみに俺はいつの間にかそのまま寝てて、妙に不機嫌なキヨラにベッドから蹴り落とされて、そうか汗臭かったのかとシャワーを浴びにいけば、やっぱり不機嫌そうなキヨラは壁に向けて話しかけるなとばかりに寝てて、俺はなんとなくその横で小さくなって寝た。