探したいです!
「で、どうすんだよ」
「え?何が?」
いつの間にかキヨラくんは勝手に俺の服を着ていて胡座をかきながら聞いてくる。ショートカットになったところで美少女が彼シャツでベッドとか、
「おい」
声もなんだか可愛いのにドスの効いた声で呼ばれて、アオの説明をしながら椅子に座っていた俺は姿勢を正す。
「俺はアオを探したいです!」
「なら行くか」
「え?」
あっさり返された言葉に驚いてるうちに、キヨラくんは荷物をまとめ始める。いや、まってそれ、俺のじゃない?
「キヨラくん」
「セイラな。文字表記変わられたら厄介なんだよ」
ステータスに性別表記がない以上、名前は女性名でいきたいのだと察して頷けば、キヨラ……じゃなくて、セイラちゃんはニコッと笑ってくれると、俺の荷物を放り投げて来た。
「え?セイラ……ちゃんはあれだな。セイラも一緒に?」
「だからそうだって言ってんだろ。こんな可愛い美少女聖女、いつ狙われたっておかしくねぇだろ」
「ええっとぉ」
「お・か・し・く・ねぇだろ?」
「はいっ!」
年下だが妙な圧にやられて頷けば、セイラも出会った時に持っていた手荷物と杖を手に取った。
「コレ拾ってきてくれてサンキュ」
「いえいえ。え、でもアオはどこにいるかわかんないんだよ?」
「まぁ僕は目的も無いし、城には戻りたくもない。それに出来ることなら色々バレる前に遠くにいきたい。それなら一緒に行くのも悪くないだろ?」
「それは……そうかもだけど」
「それに、帰る場所もねぇしな」
その言葉はここには家も実家も無い異世界だと告げていて、セイラの顔を見つめれば笑みを浮かべられるがそれでもその心境こそ互いのものだと思えてくる。
「問題はハジメのレベル表記がないんだよな。弱い……わけじゃ無さそうだけど。あのエグい必殺技。うわっ、マジで必ず殺す技じゃん」
「ぴえん」
「古っ」
3歳しか変わらないセイラの一言に傷ついていれば、「まぁ……」と話が続けられてその顔を見れば、
「傷付いたら僕が癒してやるし、ハジメが倒せそうも無ければ逃げればいいしな」
そう言って笑ってくれて、なんだか心強くて……。
「……ん? ね、セイラ。そん時は一人で浮遊で逃げようとしてない?」
「……」
合わせられない視線は肯定を示すようで、俺はその身を抱きしめ、
「キヨラー!死ならば諸共だろー!?」と嘆けば、
「僕みたいな美少女が死んだら世界の損失だろ!?ってゆーかキヨラって呼ぶな!!」
そう言って暴れられたけど、確かに力は弱いなと、このなんだかんだで優しい聖女さまを守ってあげなくちゃなと思ってしまった。