なんか召喚されたんですけど!?
「あぁ……!!やっと我が元に聖女が……!!」
耳に入って来たのはそんな声。
いつものように学校へと向かっていたはずの最後の記憶にあるのは『光る穴』。
そして今、目の前の輝きが落ち着いてきたと周りを見渡せば、ステンドグラスが煌めくまるで結婚式場みたいな場所。
「ここ……は?」
何が起きたかわからないと床に座ったままに呟けば、周りの光が落ち着き、見えてきたのは歓喜の笑みを浮かべていた明らかに日本とは違う衣装を着た男たち。
しかしその表情は、こちらを見るなりみるみる歪んでいく。
何が起きたのかと聞こうと改めて口を開こうとしたとき、目の前の明らかに身分の高そうな金のサラサラ髪のイケメンくんが剣を此方へと向けて来た!
「なっ……、いきなり何するんですか!?」
「それはこっちの台詞だ!! なんなんだお前は!?」
武器を向けられて思わず両手を上げる降参ポーズで後ずさると、今までいた足元には魔法陣のような物が描かれているのに気がついた。
「なに……これ?」
先程まで煌めいていた光も完全に消えていくのを見て、まるで映画やゲームで使われるエフェクトようなそれに目を輝かせれば、対照的にイケメン君は気に入らないとばかりにその魔法陣に足を振み入れて、更にこちらへとその剣が迫ってくる。
「模造刀……?」
引きつる笑顔で願いを込めて聞けば、その発言すら気に食わないとばかりにその剣が縦に振られたのを必死で横へと避けたが、持っていた肩掛けバッグの一部に当たり……そこがスッパリと切れた。
「え!? ホンモノ!?」
「そうだ!!本物はどこにやった!!?」
冷や汗とともに何の事かわからないと首を振れば、改めてそのイケメン君はまたも剣を振り翳さんとばかりの怒りを含んだ視線と声で、
「聖女は何処かと聞いているんだ!! 」
その言葉でやっと理解できた。
ここに来た理由。
それに早々に剣を向けられてる理由も。
「そしてお前は誰なんだ!! 黒髪の男ォ!!!」
つまり……俺、聖女の代わりに召喚されてしまったみたいです。