表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
19/43

桜田陽


 突然だが、私、桜田(はる)は、前の席の草野君と日下部さんのことが、少し、いや、かなり気になっている。



 草野君とは、去年同じ緑化委員で、一緒に花壇の手入れなんかをしながら、何度か話したことがある。

 極度の人見知りのせいで、人と仲良くなるのが苦手な私にとって、草野君と話せるようになったことはほとんど奇跡に近い。


 いや、人見知りと言っても、用があれば基本誰にでも話しかけられるし、笑顔が下手とかそういう話でもない。会話自体は普通に好きなのだ。

 …ただ、雑談ができない。

 特に用もないのに何を話していいか分からない。よって人に話しかけない、話しかけてもらっても会話を広げられない。

 話術がないから面白い話なんてできないし、人のボケを「なんでやねん!」みたいな、鋭いツッコミで返すのも無理だ。

 昔やってみたけど向いてなかった。その場が一瞬で白けたを通り越して凍りついた。


 会話が途切れると何か話さないといけない気分になるが、話すことがなくて黙っていると向こうがすうっと消えていく。最近そういう状況にいたたまれなくなって、いっそ自分で「じゃあ」と表面上にこやかに立ち去るようにしていたら、「ドライな人なんだね」と言われることが多くなった。


 ドライってなんだ。いや分かるけど。私ってドライなのかしら。

 ねちねちしているほうではないにしても、自分的にしっくりこない。


 一度、「ドライ…私、そんなに乾いてる?あ、でも、会話の盛り上げ役は下手だから、きっとチータラやさきいかのように酒の席でアテにはならないわよ」とボケたつもりで言ってみた。

 すると相手はさぁっと青ざめ、慌てて「ごめん、悪い意味で言ったんじゃないの」と謝った。

 その時、私はどうやらボケも向いてないようだと悟った。

 私としては、「そうだね、あなたは乾きものじゃなくて変わり者だよ」なんて答えが返って来たら、私はこれから一生ボケで生きていこうと考えていたくらいなのに。

 別に怒っちゃいないわよ全く。



 …まあ、色々努力はしたのだ、私も。

 その上で、ジタバタしても割と無駄だということを学び、最近は大人しくしているというわけだ。


 ところでその草野君だが、この間放課後に一人で花壇の手入れをしているのを偶然見つけた。

 こんな格好のチャンスを逃す手はない。

 私は至って自然に彼の隣にしゃがみ込み、さも当然というように話しかけた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ