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 全てを最後に掻っ攫って去っていたロヤルノスト。

 アルムはずっとスイキョウと討議をし続けてており、ヴィーナは魂が抜けたようにポカーンとしてメダルを見つめていて、気づけば2人は帰りの馬車に乗っていた。

 

 

「……………まずは優勝おめでとう。そして辺境伯のメダルを授与された事を祝いたい、のだが、アルム君……君は、どうやら違うみたいだね?」

 

 アルムはニコッと笑って誤魔化そうとしたが、ゼリエフもロベルタもジッとアルムを見つめており、その笑みは苦笑いになった。

 

「やっぱり分かります?」

 

 アルムは頬を掻くが、ゼリエフもこれを苦笑いで応える。

 

「普通は、ヴィーナ君の反応が正しいのだよ。12歳にして辺境伯のお抱え私兵の内定……………つまりは、将来的に子爵クラスの待遇になれるのだから、誰だって茫然としてしまうだろう。しかし君は一度として喜んでいるように見えない。ただただじーーーっと何かを考え続けている。肝が座っているとかのレベルではなく、君にとってそのメダルは、言葉を選ばないなら厄介ですらある。違うかい?」

 

 ゼリエフが真剣な瞳でそう問いかけると、アルムは頷く。

 



「今回の騒動を考えるに、僕らはかなり前から見張られていたと考えました」

 


 そこでヴィーナがハッとしてアルムを見つめるが、アルムもゼリエフも反応せずただ無言で向き合っていた。

 

 アルムとて最初は呆然としていた。だがスイキョウは、辺境伯の動向をただの偶然だとは思わなかった。そしてアルムに警告を発していた。

 おそらく自分達はどこかの段階でマークされていたと。

 

 スイキョウも貴族社会に馴染みがあるわけではないが、常識自体はアルムを通して学んでいる。辺境伯クラスがいきなりあのような私塾抗争に顔を出す理由は、一体なんだ?そう考えたときに、展開の速さや準備の手際の良さから辺境伯がある程度すべてを織り込み済みで動いていたような気がしてならなかった。

 

 辺境伯のメダルは身元保証人になる印でもあるので、渡す前に素行調査も本来は入念に行うべき。商人や他の貴族達にアルム等が取られるのは勿体ないと思ったら、宣言だけでも良かったはず。辺境伯が手を出すなと言えば誰も手を出したりしない。

 しかしそこでメダルを与えた。まるで首輪でも着けるように、メダルを授与した。

 

 つまりはある程度アルムやヴィーナの素行について既に理解があった可能性が浮上する。


 ではいつから調べていた?一体何故アルムやヴィーナは目を付けられていた?

 

 そこでスイキョウが謎を解く鍵となるポイントを考えた結果、アルムの父カッターか、ヴィーナの恐らく凄く偉いと思われる素性不明の父親に焦点を当てた。

 

 何方かにアプローチをかけようとした結果、芋蔓式にその子供にも辿り着いた。その子供がすごく優秀だから自分がガッチリ抱え込もうとする。ギリギリ筋は通っている。

 

 しかしずっと監視されていればアルムやスイキョウの魔法の探査で引っかかるはず。異能で探られた可能性もあるが、そこまで労力をかけてくるかは些か疑問が残る。

 加えて正確な実力を知っているならリスクを犯して試合中にアルムに探査の魔法をぶつける必要はない。つまり正確な実力は把握し切れていない可能性の方が高い。

 

 

 及んでいるのは素行調査のみ。それならば今まで一切気が付けなかったのみ理解できる。イヨドもアルムの周りをウロチョロされて全く何の反応もしないとは思えない。

 

 そしてもう一度客観的にアルムとヴィーナについて考えてみる。

 辺境伯はアルムとヴィーナを確保に走ったが、お抱え私兵にするのもかなりの金額が必要だ。いきなり2人を内定するのは異例の事態。

 そしてヴィーナはこの段階で急いで押さえ込む程、辺境伯にとって大事なのか?スイキョウは少し疑問を覚える。確かにヴィーナは天才だ。素晴らしい実力を持っている。しかし属性は水・金・地の3属性のみ。公式には5属性を使う使うアルムに、しかも使える属性が被っているヴィーナをそんなにがっちり抑え込む必要はあるのか?

 ヴィーナと謎の父親との縁が完全に切れてないとはいえ、ヴィーナを押さえ込んでその父親がどうにかなるとも考えづらい。

 

 つまり狙いは最初からアルムやその周辺。

 

 そこから何故ヴィーナを抑える必要があったかを推測するなら、アルムやヴィーナの抱え込みに動いているミンゼル商会への牽制を含んでいると考えられる。

 

 スイキョウは他にも複数のパターンを考えたが、アルムと話し合った結果これが1番正解に近いのではないかと読んでいた。

 

 

「…………ヴェル辺境伯家は代々、蝙蝠辺境伯家と渾名を付けられるぐらいに、色々な派閥をふらふらしている。しかしそれでも周りが追い落とせないほど、隙のない優秀さを持ち合わせている。故にヴェル辺境伯はずっとここまでその歴史を途絶えさせる事はなかった。加えて派閥を形成しない変わり者の辺境伯で基本的に引きこもり体質。大っぴらに動くケースは他の辺境伯に比べても更に少ない。そんな彼が気紛れで動くとは私も思わない。最初からマークされていたと考える方が自然だ」

 

 

 そしてゼリエフの弾き出した結論もスイキョウと同じような物だった。

 

 スイキョウは事の重要性をかなり重く見て、アルムに身体を渡してもらって問いかける。

 

「辺境伯家が僕らを探った理由と、抱え込みに動いた理由を何でしょうか?」

 

 ゼリエフはアルムの雰囲気がガラリと変わったことに少し驚くが、すぐに考えを口にする。

 

「現ヴェル辺境伯家はカッター君と関わりがあり、彼が失踪した後はその行方を探っていた。彼とはトラブルがあったわけではないみたいだがね、縁を切るには惜しいと思ったのかもしれん。そして彼は、君に辿り着いた。君が第二のカッター君、いや、それ以上になれるかもしれないとなれば、早期から自分の元で更なる教育を施したい。カッター君の実力とその価値を理解している彼なら、メダルを渡すだけで首輪を付けられるのだから、その重い腰も上がったのだろう。

それともう一つ、ヴェル辺境伯家は派閥を形成しない代わりに昔に接収された獣人を始めとした異種族を重用している珍しい貴族だ。カッター君がまだ若かりし頃、彼は交流を持った獣人種の村の為、異種族弾圧派の貴族を退けた事があってね、その武力と相まって獣人種などではカッター君を慕う者が多く、ヴェル辺境伯の治める地の獣人達とも少ない交流があった。

となれば、その息子にも同じ様な感情を抱く者は多いだろう。色々な利益を含めてヴェル辺境伯は動いた筈だ」

 


 人型と分類される知的生命体には、人間以外にも色々な種族が存在する。シアロ帝国は勇者の子孫を名乗り外征を繰り返しその支配域を拡大した。

 その中で色々な種族が接収されたが、人間がその大多数を占める。そしてそれが大きくなると、異人種を弾圧する動きが出たりする。特に異人種のみしか信奉していない神は一定数存在するので、余計に攻撃をしたりするのだ。

 

 

 その中でもアルムの様に家から飛び出したばかりのカッターは擦れておらず、飛び出したはいいが直ぐに行き倒れかけた所を、暖かく迎え入れてくれた獣人達に深い感謝を覚えた。

 

 遡ればカッターの始まりは全ては其処から始まる。

 自分を迎え入れてくれた獣人達を不当に弾圧する貴族と事を構え、見事それを撃退した。彼はその村で英雄として讃えられて、少し気分が良くなった。

 そうして他の異種族達の元にも訪れて、不当な扱いをされている場合は助けてやった。彼は自分が英雄のように祭り上げられるのは恥ずかしくもあったが、その称賛は素直に嬉しかった。

 

 そして気付けば、貴族達から追いかけ回される羽目になっていたのだ。

 

 

 カッターが旅した道中で、彼は獣人種などが多くいるヴェル辺境伯の治めるエリアにも立ち入っている。そこで彼等と語らい、カッターは異種族への理解を深めた。また、当時はまだ家を継ぐ前の現ヴェル辺境伯とも交流を持ちその統治について意見を交換した事もある。その当時はカッターも理想に燃える若者だったのだ。

 

 

 

「父がやはり関わっていますか。ではヴィーナ…ちゃんを抱え込みに走ったのはどうお考えでしょうか?」

 

「………………君はもう気づいているのではないかね?ヴィーナ君を抱え込んだのは、ただ単に将来性や実力を評価しただけではない。君につけた首輪の鎖をより頑丈にする為だ」

 

 

 ゼリエフが重々しい言葉で言い切ると、ヴィーナははっと息を呑む。

 

 

「さてアルム君、君に1つ聞きたい。いや、ずっと聞きたかったが、今日でより関心を抱かざるを得なかった。アルム君、君は今、何を目指して動いているのかね?」

 

 なぜ今その話を持ち出したのか、関係がないように見えてその実ゼリエフが今から語ろうとする何かに深い関わりがあるはず。スイキョウは暫くの沈黙の後、ゆっくりと口を開いた。

 

「父さんの行方を知る為に全て動いています。僕は父さんが戦死したとは思っていません。父さんの実力もその性格も、僕はずっと見てきました。父さんは戦死するくらいなら逃げ出しますし、そもそも戦死する危険性のある場所に行くとは思えない。僕はどうしても父さんの死が信じれません」

 

 スイキョウがそう言うと、ゼリエフは目を瞑って沈黙した。

 

 スイキョウはゼリエフから何かを聴きだすなら今しかないと思い、準備なしの賭けに出た。本当ならば卒業後にもう少し下準備をしてからゼリエフを訪れて色々と聞くつもりだった。だがスイキョウが予測している最悪の事態ならもう時間もないはず。

 ヴィーナはアルムの腕をギュッと握り不安そうな表情のまま、ロベルタは何を考えているかわからない無表情な顔。重い沈黙の中、目を瞑ったままゼリエフは語り出す。

 

 

「私もね、アートさんから彼の死を聞いた時、あり得ないと思ったのだ。彼の異能からみても、経験値や性格、実力など様々な観点から見ても、彼の戦死は信じがたいものだった。だからね、私もその死の真相を探し出した」

 

 スイキョウはその答えに目を少しばかり細める。

 

「まず戦死と聞いた私は、自分の持ち得る伝手を使ってカッター君の事は伏せて、その時の出兵記録などが無いか確認した。“戦”ならどんな規模でも必ず軍は動くからだ。しかしめぼしい記録は一切なかった。不自然な迄に全く情報が出て来なかったのだ。そうなると、私はこれが貴族絡みだとすぐに考えた。それもカッター君を見つけて呼び出せる程の貴族となればだいぶ絞り込める。そして私は3つの手掛かりを手に入れた。1つは外套だ。アルム君、君の父親はいつも黒い毛皮のすごく厚手な防寒着をよく着ていなかったかい?」

 

 スイキョウがアルムに確認を取ると、父さんが冬に愛用していて、父さんの執務室にずっと掛かっていたと答えた。

 

「はい、着ていました」

 

 それがどうかしたのか、スイキョウはが続きを促す様に視線を送ると、ゼリエフは頷く。

 

「あれはね、寒がりだった彼に私が贈った物なのだよ。魔獣の素材を使っていた上等な代物だが、私のサイズに合わなかった。なのでカッター君に着せてみたら珍しく気に入っていたので、そのまま彼にあげたのだよ。以後彼は寒くなるとあればかり着ていた。この地に引っ越した私の元に顔を出した時もね」

 

 ゼリエフにとっても思い出の1つなのか、少し懐かしげにゼリエフは語る。

 

「私は軍が無関係だと一度あたりをつけると、まずは基本に立ち返りアートさんに少し話を伺った。彼は結婚後もあの外套を愛用してくれていたみたいだね。しかし、彼は家を出る時に外套を置いていった。確認してみると旅立ったの11月のこと。ここで2つ目の手がかりに絡むが、彼は家を出る前に、アートさんに3ヵ月間、上冬になる前には必ず帰ると口にしたそうだ」

 

「11月に旅立って3ヶ月なら寒さの厳しい11月〜13月に彼は家を開ける予定だった。なのに外套を置いていった。つまり彼は、少なくともこの地より暖かい地方へ向かった可能性がある。いや、帰還する時には携えていくはずだったのかも知れない。しかし荷物が嵩張るから置いて行かざるを得なかった。私はそう考えた」

 

「私は軍が動いていない時点で、国内の出来事であるとは思っていた。この地域は知っての通り広大なこの国全体から見て北東部に位置する場所。これより寒い北に行くなら近場故に荷物は多くなくていいから、外套を持っていってもいいはず。しかし南に行くとなれば遠いので荷物は多くなり、活動期には外套が必要ない気候なので置いていったのではないかと思った」

 

 そこでスイキョウは口を挟む。

 

「南北のみに着目していますが、移動方向が東西のラインはありませんか?」


 対してゼリエフはノータイムで否定する。

 

「いや、東は崖と海と魔重地が広がる土地で用があるとは思えない。あちらの貴族も面識は殆どないだろう。一方で西は異人種云々のトラブルでカッター君とは仲の悪い貴族ばかり。お互いに険悪だった。もし仮に脅して彼を引っ張り出しても、彼の死後、報奨金を払う様な関係ではない。彼が主に縁を持っていた貴族がいるのは帝都から南北にかけてのエリアだ。だから東西の可能性は低い」

 

「成る程」

 

 納得のいく説明に、スイキョウは特に疑問に思う点も無かったので頷く。


「話を戻すよ。2つ目の手がかりでもう1つ気になるのが『3ヶ月』という期間自体だ。もし北方に用があるなら、どんなにゆっくり動いても彼単独なら往復1週間ちょっとでいいはず。つまり丸々2ヶ月以上の活動期間があった。だが2ヶ月もかかる様な大掛かりな事ならば、流石に全てを隠す事は相当難しい。私自身、こうして北方にいるのでね、そこそこ情報は入ってくるが、カッター君が旅だったあとの期間で北方で大きな動きは一切なかったと断言できる。

だがこれが南方に移動したとなれば、移動は往復で2ヶ月近くかかってもおかしくはない。着いてからも即行動に移れるわけでもないので、カッター君がフルで動けるのは1週間か2週間前後。この期間なら戦という観点でも順当な期間だ」


 戦の長さはマチマチだが、カッターが参戦したら1カ月も長引かないはずだとゼリエフは語る。



「そして私がカッター君が確実に南方へ向かったと確信させたのが3つ目の手がかりだ。それはアート君にカッター君に支払われるべき報償金を渡しに来た使者だ」

 

 それを聞いてスイキョウは少々疑問を感じる。アルムの記憶では、アートは使者について、口元をマスクで覆った何と言って特徴がない男と説明していたからだ。

 

「私はアート君にその使者について詳しく細部まで聞いた。カッター君の様な有名人の消息を完璧に隠蔽出来る存在ならば、その出来事の重大さだけに他の貴族を経由したりはしないと思ったのだ。つまり何処かにその縁故を表すものがないか、アート君にごく僅かな事でも全て話してもらった。そして重要な情報があった。その使者が来たのは13月の中旬だったそうだが、やけに厚着だったそうだ。

 体格を誤魔化す為もあるだろうが、彼は立ち去る時に少し寒そうに震えたそうだ。もし彼が北方から来ていたなら、むしろ我々が思うより薄着かもしれない。何故なら北方はこの地より更に寒さが厳しい。なので彼等は寒さに強い。逆に南方はこちらより暖かい。なので彼等にこの地の寒さは堪える。カッター君が寒がりだったのも、国の中央部南方で育ったからだそうだ。つまり使者は南方からやってきた。だが…………そこで調査は終わった」

 

 今まで熱に浮かされた様に語っていたゼリエフだが、急にトーンダウンをした。そして胸ポケットの奥深くからある物を取り出した。

 それを見てスイキョウは顔を痙攣らせる。

 

「アルム君には『特別教養』で教えたね。今回はヴィーナ君もいるから改めて説明するが、これはとある魔獣の羽だ。戒めとお守りとして、私は今も持ち歩ている」

 

 それは細くて長く、一切光沢の無い真っ黒な鳥の羽だった。

 

「この魔獣にまつわるエピソードは割愛するが、これを誰かに送り付けるというのは特別な意味がある。『これ以上余計な真似をすると、お前やお前の近辺の安全は保証しかねる』………………余程送り付ける相手との力量差が無い限り贈られない代物が、これがある日私の机の上に置いてあった。アートさんから話を聞き南方だと辺りをつけて、もう一度軍の知り合いに『南方を重点的に調べてもらえないか』そんな旨の手紙を出したのだ。その手紙を出した翌日に、開封された手紙と共にコレが私の机の上にあった」

 

 そこでゼリエフは悔しさを堪える様に歯噛みする。

 

「私はこれを見て恐れた。カッター君の真相を探るよりも、ロベルタや塾の子達に手を出される事が恐ろしくて、私は臆病にも手を引いた。だが、逆にハッキリする。伯爵レベルでも伝手がある私にこれを送れる相手となれば、それは宮廷伯・辺境伯以上の人物。更に言うなら、恐らく南方の辺境伯の確率が非常に高い」

 

 スイキョウはそこで待ったをかける。

 

「では、ヴェル辺境伯は完全に白に近く、父さんの消息には関わっていないと考えるのですか?」

 

 ゼリエフは少し唸った後、眉間を揉み解しつつ答える。

 

「ヴェル辺境伯は勝ち馬に必ず乗るその気質から、他の貴族からも信頼が無い。引きこもり体質で秘密主義で、不敬極まりない言い方をするなら、とても胡散臭い。だが驚く程に統治自体はまともでね、不正を働いた貴族は容赦無く処分するし、凶作の時は領民に多大な配慮をしたことも聞き及んでいる。様々な種族や宗教の入り混じる統治の難しい土地でありながら、派閥を持たずにその勢力を維持し続けている。カッター君もヴェル辺境伯も互いに隔意は無く、そして2ヶ月以上のトラブルがヴェル辺境伯の元で起きるとも考えづらい。利己主義なので信用はならないが、白と考えていいだろう」

 

「むしろ関わってないからこそ、父さんの行方を探して僕に行き着いたと考える方が自然ですか?」

 

「私はそう考えるよ。もし彼に直接アルム君の事を託されていたらもっと早く接触しているはずだ」

 

 スイキョウは一応の納得をしたが、実の所ゼリエフについても完全に信頼してはいないので、限りなくグレーの白の位置にヴェル辺境伯を一応当て嵌めた。

 

 アルムにも明かしていないが、ゼリエフが口止めされてアルムを誘導しようとしている線や、異能などの影響を受けて思考誘導を受けている可能性などもスイキョウは考えていた。それ程までにヴェル辺境伯の動きは少し怪しく感じたのだ。それとは他所に、スイキョウはもう1つの疑問をぶつける。

 

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