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 アルムは教室を出ると寮の方向とは別方向に歩いていき、普通の部屋のスライド式のドアではない、開閉式の扉の前で立ち止まる。


 するとその横にジナイーダがスッと近づいてくる。因みに彼女はもう立ち直っている。

 シアロ帝国では昔の外征政策時に性病が大規模で蔓延した事があり、それを受けて身分が高いほど、また精神的成熟の早い女性には、早期よりしっかりと性教育が施されるようになっている。

 また、この世界には実際に神々がいる訳で、そんな神々のほぼ100%は人の生殖行動に一々口など出してこない。象が蚤の交尾に関心がないのと同じである。そんな生物として当たり前の営みをすると地獄行きとか天国に行けないとかそんな事を言う神は1柱も無いので、シアロ帝国のみならず世界に共通して言えるが明確な貞操観念など無い。


 しかし、シアロ帝国は強固な貴族制の国なので女性に好き勝手されると財産権などが滅茶苦茶になるし、結婚前に色々と火遊びしても大概もめるので自然と貞淑さは求められるようになった。

 また、シアロ帝国がまだ帝国になったばかりの時に性病対策に苦しめられたので、男性にも“紳士たれ”と教育を施し軽率な行動を控えるように言い含めた。

 それが少しずつ積み重なり、シアロ帝国ではスイキョウでも不自然には思わないざっくりとした貞操観念らしき物はある。別に強制される物ではないが、貴族や上流階級ほど暗黙の了解として模範的な態度を教えられるのである。


 ただし、双方合意なら浮気は男女共に問題なしだったり、かなりの上流階級や貴族になると政略結婚が当たり前なのでお互いに勝手に愛人を囲っているなどザラという実態はあったりする。

 かと言って庶民も奔放化というとそうでもない。身分が低くなってくるほど経済的な理由で一夫一妻に落ち着きやすいし、例えばアルムの故郷だと狭い社会なので好き勝手やればいつかは必ず噂になってしまう。不義密通すれば割とあっさりバレるし、それが拗れても逃げ場など無い。結婚前は割と適当だが結婚後は自然と落ち着きを求められるのである。


 

 閑話休題。


 ジナイーダは帝国公権財商の娘なので社会的な地位はほぼ貴族と変わらない。また正妻の産んだ子でただ1人の女の子である。つまりモスクード商会の会長の持つカードの中でもかなり強力で、もし何処かへ嫁がせるにしてもケチがつけられないようにしたい。

 なのでジナイーダは母よりその手の物にも理解がある様に教育されている。


 具体的にしっかり教えられているからこそ理解があり、逆に復活までが早かったのである。


「紅牙組ももう解散?」


「はい、つい先ほどです。そして其方の部屋が、一年次生のクラス長のミーティングルームになります」


「わざわざ専用のミーティングルームがあるんだね」


 アルムがその扉を開けると、18畳程度の空間に背も座る部分もクッションの貼られているサロンチェアが5つと、大きな長机がくっつけて複数並べられているのが目に入る。背に低い箪笥と高価そうな上部がガラス張りの棚があり、中には既に色々と入っていた。部屋の奥には綺麗な水の入った大瓶や高価そうな魔宝具も置いてある。明らかに学生の為の施設とは思えない豪華さだった。


「んーと、棚にはポットとかが置いてあるよ。しかもハーブは何種類もあるね。下の収納スペースには魔宝具に補充するための魔残油がストックされてるね。あ、メモがあった。室内の物は原則持ち出しはできないけど御自由にお使いくださいだって」


「箪笥の中は紙やペンなどの筆記用具などだけですね。此方も自由に使えるそうですよ」


 スイキョウからすると、印刷機やパソコンがない生徒会室に近い物に見えてしょうがない部屋だが、瓶に十何種類と詰められ棚にストックされてるハーブ類が存在感ありすぎて違和感を感じまくっていた。


「暖房用の魔宝具はまだしも、湯沸かし用の魔宝具もあるし、ヤカンもあるし、至れり尽くせりだね」


 アルムとジナイーダが無駄に金がかかってるミーティングルームを見ていると、ガチャッと扉が開く。


「おー、結構いい感じの部屋だね〜」


「アルム殿とジーニャさんは先に来ていたか」


 アルムたちに続いてミーティングルームに入ってきたのは、レキアウスとヘルクートの2人だった。


「青鱗組と緑角組も終わったんだね」


「そうそう。ところでそのハーブティーって勝手に煎れていいのかな?ちょっと喉渇いたからちょうどいいなあって思ったんだけど」


 部屋に入ってくるなりハーブの入った棚をロックオンするレキアウスは、既に勝手知ったる部屋のように振る舞い、一方でヘルクートは椅子などに触れて「高そうだな」と呟いていた。悉く反応が対象的である。


「いいんじゃない?メモにも御自由に使っていいよって書かれてたし」


 じゃあ早速お湯沸かそうかな〜、とやかんを机の上に置き、瓶の水を注ぎ、魔宝具でお湯を沸かそうとするレキアウスをアルムは止める。


「あ、僕が沸かそうか?多分そっちの方が早いし」


「いいの?でも風呂のお湯と違って火を撃ち込むのって危なくない?あれって大きな桶だからできるんでしょ?」


 少し心配そうな顔をするレキアウスにアルムは大丈夫だよ、と言って水の入ったヤカンを受け取る。


「どうする?ハーブの匂いがとんじゃうし沸騰させなくてもいいよね?それとも一回沸騰させて冷ます?」


「個人で飲みたい物が違うかと思われますし、一度沸騰させて各個人で適温と思う時に煎れるのは如何でしょう?ポットも5つある事ですし」


「そうだね」


 魔法に関しては門外漢なのでアルムがなにをする気なのかレキアウスもヘルクートも興味深そうに見ていたが、アルムがジナイーダに同意した数秒後にはヤカンの注ぎ口から湯気が立ち昇っていた。


「はい、沸いたよ」


 スイキョウのレベルには到底敵わないが、今のアルムは量熱子鉱より熱を分割して取り出して供給すればお湯を直ぐに沸かす程度そう難しくは無い。


 しかし、普通の魔法にあるような目に見える工程がないので、レキアウス達にはなにがなんだかよく分からなかった。


「え、もう沸いてるの?」


「うん、沸かしてあるよ」


 アルムにそう言われてヤカンを受け取るレキアウス。そこにヘルクートも寄ってきて、レキアウスがやかんの蓋を開けると派手に湯気が立ち昇り、おお、と2人で声を上げる。


 そんな時に再び扉が開き、部屋に入ってきたその人物はレキアウスとヘルクートが2人でやかんを覗き込んでる変な光景を見て眉を潜める。


「やかん持って2人でなにしてんの?」


 まず、その人物の特徴的な点は比較的肌の白い人が多いシアロ帝国において目立つ褐色の肌。その褐色の肌に映えるシャンパンゴールドのロングの髪はウェーブがかけられていた。そんな髪に隠れて少し見え辛いが、眉間の少し上には魔人族特有の第3の眼、真珠の様な見た目の魔力眼があった。

 制服は首回りを軽く緩め、スカートも丈を上げていて、ジナイーダと比べると明らかに短かく、耳には赤い宝石のついた非常に高価そうなピアスをしていた。そして紺ベース制服にはよく目立つ白いネクタイに、金の六芒星のバッチと共に白龍のバッチをつけていた。


 スイキョウは「なんかすごいギャルっぽい奴が入ってきた」と思うが着崩しはギリギリ校則の範囲内で、校則に引っかかる化粧もしてはいなかった。

 それは化粧など要らないぐらい彼女の顔立ちが整っているという事の様にも感じられたが、少し気の強そうな感じも見られたし、口調もぶっきらぼうとは違うが少し鋭い感じだった。


 スイキョウから見ればやはり美人なギャルにしか見えないのだが、アルムもスイキョウもレキアウスの言葉はよく覚えている。

 ジナイーダが低等部の時は万年首席だったが、副首席もずっと変わらなかった。そしてその人物は白翼組のクラス長だとも。

 試験の結果や席次は全てが全て武力だけと言う訳ではない。マナーや座学の成績も当然加味される。

 そしてクラス長は『模範的な生徒』である事も条件にある。


 気が強そうなギャルに見えても、それを補って余りある極めて優秀な人物である事はスイキョウも察した。


「こんにちは、貴方が白翼組のクラス長だよね?黒尾組のクラス長のアルム・グヨソホトート・ウィルターウィルです。よろしくね」


 そんな彼女にアルムが声をかけると、彼女の視線がアルムに向いてアルムやその近くにいるジナイーダに初めて気付いたような顔になる。


「なに、あーし1番最後?あーしはスヴェトラーナ・ゼーレヒテ・レオンブルク、略称はヴェータ。あーし、あんたの事知ってる。ジーニャの婚約者なんでしょ?」


 初っ端から飛ばしてきた彼女、ヴェータにアルムは内心驚くも、微笑で流す。


「正式な婚約者ではないよ、まだね。ジナイーダって呼ぶ関係であるけどさ」


 アルムが落ち着いて回答すると、ヴェータは手前の椅子に座りつつアルムを値踏みするように見る。


「ジーニャがマジで本腰入れて仕留めにかかるくらいは相当だって思ってたけど………………あんたってお母様があーしの婚約者にしたがった奴と一緒だよね?」


 アルムがなんの話か分からず首を傾げていると、ジナイーダはピンときたようで、アルムの耳許で囁く。


「実はですね、私のお母様がアルムさんをご覧になるべくイラリアさんのお店に向かったの、元をたどればヴェータさんの母君であらせられる帝国公権財商が1つ、酒関係の重鎮であるグンレッド商会の会長の正妻様が、私のお母様に『アルムさんを娘の婚約者にしたい』、つまりはヴェータさんの婚約者にしたいと仰ったからなのです。グンレット商会はバナウルルに存在する酒場などに広く影響力を持ち、当家と同格の商会になります。そしてヴェータさんは正妻様の長女ですので、私同様にグンレット商会では強力なカードです。そんな彼女の婚約者にアルムさんを据えたいと正妻様が皆のいる場で仰ったので、興味を強く惹かれたお母様が重い腰を上げたのです」


 ジナイーダの囁きにアルムは成る程と納得し、ジナイーダに「じゃあ実質僕らを引き合わせた人でもあるんだね。感謝しなきゃ」とアルムが囁くと、ジナイーダはクスッと笑い、嬉しそうに微笑んで頷いた。


「ねえ、あーし内緒話とか嫌いなんですけど。なんかあるわけ?」


「いや、直接的に関係は無いけど実質的に僕らの縁を繋いでくれた人だから感謝しなきゃね、って話」


 アルムがにこやかに告げると、レキアウスは冷やかすように口笛を吹き、ヴェータは胸焼けでも起こしたような顔をする。


「ジーニャってこう言う男が好みなわけ?」


 言葉こそ失礼に聞こえるが、言葉の感じに強い否定的なニュアンスはなく単純に興味が先行したヴェータの言葉に、ともすれば誤解を招くようなヴェータの言い方に慣れているジナイーダは別に悪い意味でいているわけではない事を心得ており「はい」と嬉しそうに答える。


「アルムさん“が”タイプです」


 アルムの様な人、ではなくあえて少し奇妙な言い回しをしたジナイーダの意図にヴェータは気付き少しげんなりする。


「ぞっこんじゃん。アルム、マジ後ろ気をつけたほうがいいかんね。ジーニャって昔からお姫様みたいだったし、低等部でも超モテてたから」


 口調は相変わらず鋭い感じだが、どうやら彼女なりに忠告してくれているのかも、とアルムは思い、根は悪い人じゃないのかな?と彼女の株を少し上げる。


「そんなヴェータさんも、沢山の殿方に恋文を貰っていませんでしたか?」


 ジナイーダがにこやかに問うと、ヴェータはフッと鼻で笑った。


「あんなんあーしのステータスに目が眩んでるだけだし。それかあんたに振られてそのあとダメ元でとかいるし、親に言われて試しにとかマジふざけんなって感じなんですけど。てかビビって震えてるくらいならそもそもやるなっての」


 色々鬱憤が溜まっているのか吐き捨てる様に言うヴェータ。

 その雰囲気はかなり刺々しい物で、見た目の気の強そうな感じも合わさりかなり強烈な威圧感があった。


「てか、あーしより全てで遥かに劣っているのに言い寄るとかプライドのかけらも無いのかって言っただけで泣き出すとかマジ意味わかんないし。あーしに寄生でもする気かってのっ」


 魔法や武霊術があるこの世界においては、男女の格差は殆どない。女性だろうが平気で一般男性より高い身体能力を持っている人は存在するし、総合戦闘能力でも余裕で勝る女性は少なくない。

 特に武を重んじるシアロ帝国では男女関係なく戦ってきたので古来より女性が内で守るという風習は薄く、社会進出の具合では女性も男性とそう変わらない。


 それはアートがバリバリ働いている事も、アルヴィナと北方開発のプロジェクトリーダーを任されていることからもわかる事であり、“主夫”も稀にいるのである。

 

 ただし子供を産む関係上、やはり男性の方が表に出る事の方が求められる。

 加えてシアロ帝国では、強さ=将来的な財力とも言える。そして公塾では万年副首席、上等部に上がり実力主義が強くなってなお第3席次である彼女は、アルムから見てもその戦闘能力は未知数だった。魔力の反応的に魔術師なのは確定的だが、肉体的な強度は普通の女子である。最初に部屋に入ってきた時もアルムに言われるまでその存在に気付いていないようだった。


 加えて、魔力の動き的にヴェータは金属性魔法が使えないし、自動的に地属性魔法も使えない事はわかる。つまりそれは金属性持ちであることを前提とした探査の魔法が使えないと言う事であり、また、金属性魔法が使えないと推理した時点でヴェータが使える属性は水・火・天と予想できた。


 そんな彼女が、アルムから見ても武霊術使いでも上位にいると思えるレキアウス、ヘルクートよりも常に上位をキープしていたのは少し不思議な事だった。


 武霊術使いは人間を超えた身体能力を発揮できる連中なので、もし1対1になったら金属性魔法の使えない魔術師はかなり辛い戦いになる。

 簡単に言えば、武霊術を使えば一般から見れば人外級の身体能力を持っているわけで、金属性魔法を使える者はスーパースーツもとい金属性魔法を使う事でそのスピードに一応対抗できない事もないのである。


 金属性魔法が使えないと、ゼリエフの言ったまさにただの的になりかねないのだ。

 

 そして武を重んじ、多くの戦闘のノウハウを蓄積しているルザヴェイ公塾がそれを知らない訳もなく、その上で彼女のスペックを考えれば、もうアルムは謎の答えに辿り着いていた。


 また、確かに実力を持つ彼女は将来的にも大きな財を得る事は自他共に予想できる事で、自分より格の低い家の男や能力値の低い男に言い寄られても寄生される様に感じてしまう気持ちもアルムは理解できなくはなかった。


 そんなアルムの思案中もヴェータは独り言の様に毒を吐き出していたが、アルムの顔を見てその勢いが止まる。


「なんでそんな面白そうなもの見る目であーしを見てんの?」


 毒を吐いていて溜まった怒りが再燃していたのか、その語気のまま刺々しい口調でアルムに問うヴェータに、アルムはなんでも無いよ、と笑顔で受け流す。

 今のヴェータではレキアウス達でも結構威圧感を感じる物だったが、完全に受け流したアルムにレキアウス達は肝が座っているな、と感心する。


「さ、そろそろミーティングを始めようか。お湯もそこそこ冷めたでしょ?」


 そして話がひと段落した隙を突き、アルムはナチュラルに場の主導権を取る。


 そんなアルムにヘルクートもアルムから独特の風格を感じて、感心する。

 1人だけ上等部からの編入生ながら一切ものおじせずアルムはキッチリとその場を取り仕切り、余計にレキアウスとヘルクートはアルムに強い興味を抱き、ヴェータもアルムが見た目や雰囲気だけで無く、ジーニャを強く惹きつける物がある男性なのだと少し納得していた。







【補足】

ルザヴェイ公塾の施設について



ルザヴェイ公塾は全公塾中でも最も、学校をも上回る施設のレベルの高さで有名です。


まず校門を潜ると、ちょっとした要塞に見えなくも無い大きな3階建ての校舎が見えます。校舎はロの字型で、中央にはシアロ帝国では珍しい事に中庭のある構造をとっています。

しかしアルムの故郷ほどバナウルルはどさっと雪が積もる事は無く、冬場には『二十八の星』の生徒達が体力作りの一環で中庭の雪かきをする(つまり魔法は使ってはダメ)のがルザヴェイ公塾の風物詩です。


そんな校舎の左奥一階エリアには食堂や購買、図書館が存在します。そのエリアから右に廊下を進むと、更衣室、シャワールームや共同の廁があります。またシャワールームの裏にも更衣室があり、裏口から外へ出れます。

これは校舎裏にある校庭などで運動をした生徒がわざわざ校舎を迂回して昇降口からシャワー室へ向かわずとも、スムーズにシャワーを浴びる為です。

因みにシャワールームには専属の魔術師がいて、お湯を用意してくれます。加えて万が一覗きなどがいれば排除します。


校舎の手前には職員室や面談室、塾長室、会議室、一般の寮に住む生徒が使う共同自習室などが幾つかあります。また一階のその他のフロアも主にある程度教える教科ごとに教員が分りふられる部屋があります。要するに研究室の様な物です。

2階、3階フロアは各年次のクラス毎の部屋や、クラス合同で行う科目の為の講義室があります。

また屋上は存在しますが、通常は立ち入り禁止です。


校舎は右奥のエリアから渡り廊下で寮のエリアと繋がっています。校舎は原則朝6時から夜8時までしか立ち入りは出来ません。シャワーを浴びてなかろうと飯を食べてなかろうと容赦なく立ち入りは一切認められません。

また就寝時間は夜10時と定められており、夜10時以降は自分の組の寮から出る事はできません。


『二十八の星』の生徒だと、校舎には朝5時から夜12時まで立ち入りできます。寮から校舎への渡り廊下には警備員が立っており、夜8時以降は金の六芒星のバッチを見せれば立ち入りできます。また就寝時間は夜12時であり、12時までには専用寮に戻っていることが推奨されます。

また、他の生徒が自分の組以外の寮への立ち入りを禁じられている一方で、『二十八の星』の生徒は各個人同士の部屋の出入りを禁じられていません。とにかく実力を伸ばす事を怠らない限りは、推奨しませんが黙認されます。


首席と副首席は専用寮の見回りも任されていますが、他の部屋に迷惑をかけるような騒音を出している部屋でも無い限りはドアをノックすらしません。


一般寮は食べ物の持ち込みやその他諸々の持ち込みが禁じられていますが、『二十八の星』の生徒は危険物でも持ち込まない限り校則に従う限りは基本的に部屋での飲食も自由です。

ただし休日には首席か副首席が部屋の中に立ち入らせてもらい、部屋の状況を確認します。


そしてクラス長には校舎の立ち入り時間の制限はありません。食堂も使用可能で、深夜には夜行性の異種族が常勤しており、頼めば簡単な夜食を提供してくれます。

また就寝時間の規定はありません。クラス長は色々とハードな代わりに自由度は極めて高くなっています。


ですが、クラス長でも立ち入り可能なのは校舎だけで他の施設はその限りではありません。

例えば校舎裏手の左側にある3つの鍛錬場は、一般生徒は午後6時まで、クラス長を含め『二十八の星』の生徒でも夜9時までしか利用できません。

また、

鍛錬場の利用には事前の予約が必要になります。

その鍛錬場の右側、寮のエリアの奥には教職員及び使用人などの寮があります。


そして校舎裏の少し奥には大きな校庭が存在します。ここにはただ砂地が広がっているだけでなく、両サイドにはアスレチックを超ハードにした様な物が設置されています。


例を挙げると、木組みの10m程度の塔からロープが何本も垂れ下がった物があります。『運動』の試験ではこれを手だけ登り切るなどという課題が与えられるわけです。

そんな校庭の更に奥にはルザヴェイ公塾の目玉である人工森林が広がっています。人工森林の中には本当の川が通っており、敢えて起伏の大きい場所なども作られています。



以上でルザヴェイ公塾の説明を終わります。



補補足:低等部の校舎は別に存在し、上等部のロの字型の校舎から少し離れた左側にあります。

校庭も低等部用の物があります。






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