美咲の最期
「姉ちゃん!!姉ちゃんっ!!」
一瞬の後に意識を取り戻す。
ぼやける視界の隅で、大河が泣いているのが辛うじて見えた。
どうやら私は派手に撥ね飛ばされたあげく、頭を強く打ったらしい。額の傷から血がとめどなく溢れてくる。あー、これ多分無理だ。死ぬやつだ。
「今、救急車呼んだから、もうすぐだから!」
「ごめん……、先に天国の下見に行ってくるね」
「そんなこと言わないでよ!!俺、姉ちゃんがいないと……!」
「大河」
毎日を楽しく生きてきた私に未練なんてない。あるとすれば、それはやはり弟のことしか思い付かない。
「男の子が、そんなにギャーギャー喚かないの。発情期ですかーこのやろー、あ、この台詞は違うか……、まあいいや、とにかく、」
大河の頬に手を伸ばす。
「強く楽しく生きなさい!……優しさは私なんかよりよっぽど持ってるから言うまでもありません!大河が元気でいることが私の唯一の望みです……」
はい、遺言終了!
「それで、いつか私を養って、ね、……」
あれ、なんか最後の台詞だけ最低だったような……。うーん、ま、いっか。どうせ死ぬし。
そして私は目を閉じた。
で、目を開けるとそこは森だった。
…………。
ここどこ?
え?てかなんで私生きてるの?
え?どゆこと?
えーーーーーー??
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