ファンタジーと言ったらレベリング
そしてその後、眞銀は心の中で盛大にため息をはいた。
はぁ、俺はこれからどうすればいいんだ。
外はさっきのゴブリンやオークのような魔物、そして自分に同種のような魔物も見つけてしまった。
だが、このままでいても何も状況は変わらない。何か行動を起こさなければ。
そして思い出す。あの、まるでゲームのような声は、この世界が狂ったのはひと目で分かるしもしかしたらさっきの声も本当なんではないか、と。
そして試しに念じてみる。
『ステータス』
すると本当にそれが自分の頭に中に直接入ってくるような不思議な感覚に襲われる。
そしてついにその処理が終わったのか何かが見えるようになる。
そこには…
名のなきウルフ
称号:無し
種族:シャムウルフ:『G』 進化先:有り
レベル:2/15
HP:30/30『G』
魔力:20/20『G』
筋力:15『G』
体力:10『G』
敏捷:40『F』
魔力制御:0『H』
魔法:無し
ユニークスキル:『気配遮断』『魔獣本能解放』
装備:無し
総合評価:『G』
しっかりとステータスボードになっていた。
シャム…嘘ね…皮肉だな。俺が自ら選んだわけだはないと言うのに…
魔法なんて欄が本当にあるのか…レベル上げたら使えるようになるのかな?もし使えるなら是非とも使ってみたい。
ユニークスキル…これは種族特有スキルみたいなものか。
て言うかかなり弱いな。敏捷以外全部『G』以下だ。
進化あり?これもしかして、MAXのLv15まで行ったら進化できるのか?
もしかしたら物語の定番の高位の魔物になったら人化のスキルも手に入るかもしれないし、だったら上げるしかないよな。
実を言うと眞銀、かなりのゲーマーだったりする。これはまさにキャラ育成と言っても過言ではない。そしてこの数値おそらく嘘はついていない。実際、世界バグってるしあってるっしょ!みたいなのはなくはないが…。
どっちにしてもこの化け物だらけの世界で生き残るには強くなることが1番手っ取り早いだろう。
そう言うことで眞銀はモンスターを狩ってレベルをあげることに決めた。
眞銀は校庭に出た。周囲を見渡す。多くのモンスターが目に入る、そしてそれをみると改めて実感する。
(世界、代っちまったな。)
生きることが大変な時代。そんなの現代っ子は想像もつかないだろ。
だがそれは目の前にある。はっきりいっていまだに理解できない。
(でも、だからこそ、今できることをしなくちゃな。)
それに嫌なことだけじゃない。眞銀は大のゲーム好き。このゲームの中に入ってしまったような世界が楽しくないって言ったら嘘になる。
むしろ嬉しいまであるのかもしれない。
勉強に縛られ、自分のやりたいことがしにくい現代、眞銀達にとってそれが当たり前だったから別に不満はなかったが…
(実際解放されるといいもんだな)
と言った感じだった。
よし、考えるのはここまでにして、レベリング、始めますか。
んー、どの魔物を倒すのが効率がいいのだろう?
ぱっと見て感じ校庭には、ゴブリン、オーク、ウルフ、そして虫っぽいやつ。
えーと、まず虫は却下。
眞銀は大の虫嫌いだし、今の自分が持っている攻撃手段は噛みつくだ。絶対気持ち悪い汁とか緑っぽい何かが出てきそうなので絶対に交戦したくない。
次にウルフは却下。
ウルフは今の自分にとっては同族だ。と言う理由もあるが大部分は別の理由だ。
やっぱ群れをなしているやつと戦うのは無謀だな。
そう、ウルフは群れなのである。自分と相手のレベルさが大きかったら良かったかもしれないが今は無理だ。
そうなると候補はゴブリンかオーク。
だがオークはかなりでかい。今の自分の攻撃が通るかもわからないし。ましてや、負ける可能性さえある敵命かけてに自分から立ち向かうなんて滑稽すぎる。
でもそのうち戦ってみたいとも思っているのでレベルが上がってから試すとしよう。
だから、戦う相手はゴブリンに決定。
だが、レベル1の時ノーダメだった相手にレベリングを続けるのは飽きる。けれど、そこには考えがある。
(ユニークスキル、せっかくあるんだからしっかり活用しながら行こう)
実は眞銀は世界が変わってから1度もスキルを使っていない。
今持っているユニークスキルは『気配遮断』『魔獣本能解放』だ。
『気配遮断』を使えば暗殺のような形で的に詰め寄ることで一瞬で倒し余計なダメージを負わずに済むことも、オークやインセクターなど戦いたい敵にバレないようにすることもできるかもしれない。
それができるならかなり良い効率でレベルを上げられるはずだ。
もう一つの『魔獣本能解放』は能力の説明的要素が名前に入っていなさすぎる。多分予想では身体能力強化と、名前からしてなんかあるかもしれない少し怖いスキルだ。
これはあまり使いたくないが実戦で初めて使って失敗などにはならないように1度だけ使うようにしよう。
ランク『E』のモンスターが持つにはかなり強力だな。もしかしたら自分よりレベルの高い相手には効かないとかあるかもしれない、強力なスキルがあるからと言って慢心せずに気を付けて安全第1で行動しよう。
それに『魔獣本能解放』、もしデメリットがあるかもしれないからその1回の内になるべく探っておくべきだな。
そこまで考えてからついにレベリングを開始する。
『気配遮断』発動。
目標はすぐ近くにいる3人組のゴブリンだ。
目標まで後約2m。まだ気がつかない、がキョロキョロと周りを見始めた。違和感ぐらいは感じているのだろう。
やはり『G』ランクの魔物のスキル。完璧には行かないか。が、それでも戦闘においては十分すぎるくらいだ。
一体目の首を噛む。
そのまま噛まれてしまったゴブリンは絶命する。
そして1体のゴブリンが倒されたことにより、ついに認知される。
けれど俺は種族的に素早さは圧倒的に勝っていると読み、勢いを止めずに今も迫ってきている二匹のゴブリンのうちの今自分から遠い方の後ろに回り込む。
一瞬というのと、『気配遮断』の効果もあり、ゴブリンは反応を遅らせる。
そして俺はその隙を見逃さず二体目の首も噛み切る。
『名のなきウルフのレベルが上がりました。 2/15→3/15』
よしいい感じだな。このままレベル上げていくぞ。
「グギギ!グギギッ!」
残ったゴブリンが声を上げる。
仲間を殺され、悲しみ激怒している。
が、知ったことだはない。この世界は弱肉強食だ。そっちも俺を殺そうとしたんだし殺されても文句は言えないはずだ。
ゴブリンが刀を振り上げる。
俺は一度会えて動きを止め、相手の調子を狂わす。
あとは…
俺はそのまま思いっきりゴブリンめがけて跳躍する。
ゴブリンは意表を突かれ止まってしまう。
そしてそのまま俺は右前足でゴブリンの首をつき首を折る。
『名のなきウルフのレベルが上がりました。 3/15→4/15』
そして俺はゴブリン三体を無傷で倒すことに成功し、レベルも2上げることができた。
俺はこの戦闘で自分の長所、短所をある程度は理解できた。
まず長所、俺は自分で言うのもなんだが思いの外スキルを使いこなせる。これはセンスなのか、ゲームの知識からなのかどうかはわからないが。
もう一つ、フェイントなどが得意ということだ。小学校の時はスポーツをしていたおかげだと思う。
次に短所だ。まず、決定打にかける。俺のステータスは攻撃力が低く、首を噛む、首を折るなど弱点を狙わない徒相手にダメージをいれられない。これは耐久力のある敵と戦ったらほぼ敗北という大きすぎる弱点だ。
次に、リーチが短い。今の自分はウルフなのだ、つまり飛び防具さえも使えないということだ。これは非常にまずい。早急に解決策を考えなくてはいけない。
もしかしてさっきのレベルUPで丁度良い好きルテに入ってない?と思いステータスを開けてみる。
名のなきウルフ
称号:首狩り
種族:シャムウルフ:『G』 進化先:有り
レベル:4/15
HP:36/36『G』
魔力:25/25『G』
筋力:18『G』
体力:14『G』
敏捷:48『F』
魔力制御:0『H』
魔法:無し
ユニークスキル:『気配遮断』『魔獣本能解放』
装備:無し
総合評価:『G』
「…。」
そんな都合のいい事はなかった。それどころか1番欲しい筋力が3しか上がってない。
本当にキツくなるかもしれないな…。
ってか、称号:首狩りってすげ〜いらないんだけど!もしこの代っちまった世界で人間に鑑定スキル持ちが存在したら討伐チーム組まれそうだぞ!
んんー、他には、あ。敏捷の上がり幅が他に比べて大きい。これを使って全部避けて『当たらなければ意味がないのだよ!』とかやれってか?絶対無理!
やっぱりもっとレベルを上げないと何にも決められないな。
ということでレベル上げ続行が決まった。
首狩りの称号を早いとこ返却したかったんだけどな…。
そしてまた眞銀は獲物に向かって駆け出した。
よかった。気になる。という方は、評価、ブックマークをしてくれたら嬉しいです。というのは鉄板なのでつまんな!っていう人は全然幼くて大丈夫です!